NTT東日本とNTTは、パートナー企業56社や参加モニタの多大なご協力を頂き、本年3月より「Biportable」※1トライアルを実施してきましたが、平成13年8月31日(金)にて終了し、このたびそのトライアル成果をとりまとめました。 |
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※1 |
Broadband IP Platform with the Optical & Radio Technical Abilityの略称。光ファイバと無線の融合による新しいブロードバンド時代の幕開けを表しています。 |
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1.トライアルの概要
本トライアルではNTT東日本の光IPネットワークと、NTTアクセスサービスシステム研究所が開発した高速無線技術AWA※2を利用し、高速・高品質なブロードバンド環境をパーソナルかつポータブルに提供しました。(システム構成は別紙2頁参照) |
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※2 |
Advanced Wireless Accessの略称。国内ではMMAC(マルチメディア移動アクセス推進協議会)/ARIB(電波産業会)に準拠し、国外ではETSI(欧州電気通信標準化機構)−BRAN(Broadband Radio Access Networks)に準拠した無線アクセス方式。 |
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| (1)期間 |
| | 平成13年3月21日(水)〜8月31日(金) |
| (2)場所 |
| | 東京の渋谷駅周辺を中心としたオフィス、タウンスポット、ホームエリア |
| | (別紙3頁参照) |
| (3)実施規模 |
| | 無線カード型端末 200台
PDA一体型端末 200台(平成13年6月から) |
| (4)トライアル参加者 |
| | <1> 継続モニタ |
| | | オフィス、ホームにおける継続的なモニタとして、渋谷駅周辺のネットベンチャー企業の勤務者、インターネットヘビーユーザ、大学生、OL、主婦などにご参加頂きました。 |
| | | (別紙4頁参照) |
| | <2> 一般参加者 |
| | | 渋谷駅周辺のタウンスポット(屋内)を中心に体験コーナーを常設し、一般の方々へも公開し、タッチ&トライを通じてトライアルにご参加頂きました。 |
| (5)コンテンツ・アプリケーション等(別紙5頁参照) |
| | トライアル期間中56の企業・団体がコンテンツやアプリケーション等を提供し、新たなビジネスモデルの創出を模索しました。
<1> インタラクティブ(双方向)型 |
| | | 継続モニタ・一般参加者が双方向でつながるTV会議システムを活用して、遠隔授業やイベント中継等を実施しました。 |
| | <2> オンデマンド(配信)型 |
| | | トライアル専用サイトより、オンデマンド形式のストリーミング映像を124番組1163アイテム(PC・PDA累計)にわたって提供しました。 |
| | <3> 発信型 |
| | | 継続モニタ・一般参加者自身が自ら作成した映像等のストリーミング映像の発信を行いました。 |
| | <4> アプリケーション |
| | | その他ブロードバンド環境が実現するASP等の様々な機能をトライアル専用サイトを通じて参加モニタに提供しました。 |
2.トライアルの成果
本トライアルの主な成果は以下のとおりです。 |
| (1)オフィス内・家庭内・店舗内での無線LANソリューションとしての検証 |
| (別紙6頁参照) |
| | 本トライアルで利用したAWAは、既存無線LAN(11Mbps)と比べて実測値で4倍強の帯域を確保しており、同一エリア内での複数台の端末の同時利用が想定されるスポットにおいても、安定かつ高品質なブロードバンド環境を無線技術により提供可能なことを検証することができました。
特に一部の店舗内において、トライアル期間中にも頻繁にフロアレイアウトの変更が生じましたが移設工事が不要でしたので、参加者(店舗オーナー等)より高い評価を頂きました。 |
| (2)ブロードバンド環境のシームレスな利用についての検証 |
| (別紙7,8頁参照) |
| | 本トライアルでは、無線基地局における認証とネットワークの位置管理機能により、オフィス、タウンエリア、ホームエリア等様々なスポットにおいて、同一端末を設定変更等の必要なく利用できる、シームレスなブロードバンド環境を提供しました。
このような、自宅で使っている端末をそのままタウンスポットで利用できるといった点に対する利用者の評価はおおむね良好でしたが、利用できる環境がどこまで広がるかといった点や端末機器の軽量化がどこまで進むかといった点を今後の課題として抽出することができました。 |
| (3)ブロードバンド環境下でのコンテンツ・アプリケーション利用についての検証 |
| (別紙9〜15頁参照) |
| | ストリーミング映像に関しては、2Mbpsを中心とする高品質な映像のオンデマンド配信や音楽LIVE中継・映画試写会等、様々な試みを実施しました。
映像品質については、参加モニタ・パートナー企業双方より高い評価を得ることができました。また、擬似課金システムを利用した有料配信モデルや広告付配信モデルなどのマーケットにおける受容性の評価を行うことができました。
さらに、ストリーミング映像に関し、再生までの待ち時間に対するユーザーの反応等、様々なノウハウの蓄積ができました。
ユーザ自らがコンテンツ発信をすることに関しては、高いニーズが汲み取れた一方、映像制作から発信までの作業手順の簡略化等の課題抽出を行うことができました。
インタラクティブ(双方向)型アプリケーションに関しては、潜在的なニーズが汲み取れた一方で、映像付のコミュニケーションを行う際に、“不慣れである”、“恥ずかしい”といった心理的なハードルの存在等が浮き彫りとなりました。
また、ネットワークのブロードバンド化に対応したアプリケーションソフトの必要性も併せて明らかなものとなりました。 |
| (4)電波功績賞(電波産業会会長表彰)を受賞 |
| | NTTアクセスサービスシステム研究所ワイヤレスアクセスプロジェクトは、電波産業会(ARIB※3)よりブロードバンドアクセスシステムの開発・実用化において、電波の有効かつ適正な利用に特別の功績をあげたとして、「電波功績賞(電波産業会会長表彰)」を受賞いたしました。 |
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※3 |
Association of Radio Industries and Businessesの略。 |
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3.今後の予定
無線基地局、無線カードについては商用バージョンの開発を平成14年春頃を目処に進めております。これを用いたホーム・オフィス・タウンスポットでの高速ワイヤレスの本格展開を本トライアルの検証結果をふまえて検討して参ります。 |
(別紙 16、22頁参照) |