平成13年9月13日
報道発表資料

東日本電信電話株式会社
東急建設株式会社


建設業界向け情報流通システム
「OCIネットワークシステム」の本格運用開始について

−建設業界のデータ標準に対応した
Webベースの建設情報流通システム−


 東日本電信電話株式会社(以下 NTT東日本、本社 東京都新宿区、代表取締役 井上 秀一)は、東急建設株式会社(以下 東急建設、本社 東京都渋谷区、代表取締役社長 小俣 芳明)の協力を得て、昨年9月から建設業界向け情報流通システム「OCI(Open Construction Information Sharing)ネットワークシステム」の実証実験を進めてきました。
 このたび、実験結果を踏まえたシステムのバージョンアップが完了したことから、NTT東日本が提供する光ファイバを利用したブロードバンドサービス「Bフレッツ(100Mbps)」を新たに導入して、平成13年9月17日から東急建設においてシステムの本格運用を開始します。ブロードバンドインターネットを実際の業務システムに活用するのは建設業界初の試みとなります。


1.経緯
 本システムは、購買見積業務や施工業務において必要となる見積書、図面、写真などを電子化し、それらのデータを発注者、設計会社、協力会社、建設会社などの間でインターネットを介してやりとりできるシステムです。
 NTT東日本と東急建設は、平成12年9月18日から、本システムの実証実験を進めてきました。実験開始時の参加協力会社は7社でしたが、現在では84社とネットワーク接続し、実際の購買見積業務においてシステムの運用を行っています。平成13年4月上旬には、全参加協力会社に対するアンケート調査を行うとともに、12社とは直接意見交換を行うなど、利用者の生の声を聞いてきました。その中で、協力会社においては、きれいな図面を必要に応じて自由に取得できるとともに、建設会社への訪問・応対の稼動を削減しながら受注機会の拡大が図れるというメリットが確認できました。さらに、東急建設においては、OCIネットワークシステムによる運用を行った物件について、従来の見積依頼に要していた稼動が50%程度に半減するとともに、FAX・コピー等の経費も削減することができました。
 これらの成果や利用者からの要望等を踏まえ、本格導入に向けて本システムのクライアント/サーバ版からWebベースに対応させるとともに、各種機能の業界標準への対応や操作性の向上を進めてきました。


2. 機能見直しの概要
 システム全体を実証実験版のクライアント/サーバ版からWebベースに変更するとともに「購買/見積機能」、「図面管理機能」、「写真管理機能」、「文書管理機能」の拡充を図りました。
 従来のOCIネットワークシステムでは、クライアント側で専用のソフトウェアの導入が必要だったことから、情報システム担当等の専門部署を持たない小規模な協力会社においては、システム導入に大変な手間を要しました。今回、Webベースに変更したことにより、協力会社はクライアントパソコンにブラウザとインターネット接続環境を準備するだけで容易にシステムを利用できるようになり、導入作業の能率が格段にアップするとともに、ユーザサポートも容易になりました。
 さらに、東急建設では、このシステムの変更にあわせて、図面や写真などの大容量データをストレスなく高速にやり取りできるよう、NTT東日本が提供する光ファイバを利用したブロードバンドサービス「Bフレッツ(100Mbps)」を導入しました。今後、NTT東日本と東急建設が協力会社へ「Bフレッツ(10Mbps)」や「フレッツ・ADSL」などを推奨することにより、システム全体のブロードバンド化を推進していきます。


実証実験の結果を踏まえて見直しした機能は次のとおりです。
項目 内容
Webベースへの変更
実証実験版のクライアント/サーバ版からWebベース対応への変更
購買/見積機能の充実強化
実証実験をふまえて、使い勝手の改善を図るため図面連続印刷等の機能改善
CI-NET*1データ(CSV)の取り込み/吐き出し機能の追加
図面管理機能
建設CALS/EC*2のSTEP/AP202*3データ(国際標準)、DXF・DWG・JW-CAD*4ソフトのデータフォーマットへの対応
図面登録・変更修正における履歴管理機能の追加
図面へのコメント挿入機能の追加
写真管理機能
建設CALS/ECのXML形式への対応
レイアウト出力(管理台帳印刷)機能の追加
文書管理機能
建設CALS/ECの電子納品基準への対応
各種文書の登録・閲覧機能の追加


3.システムの特徴
調達業務から現場施工業務にいたる幅広い領域において、自席にいながらにして業務に関係するメンバー相互間の情報共有を実現できる。
暗号方式としてSSL*5を採用しているので、十分なセキュリティを確保できる。
サーバアクセス時には、ID、パスワードの他に企業コードを採用することにより、アクセス時における十分なセキュリティを確保している。
本システムが取り扱うデータは、国土交通省の建設CALS/ECやCI-NETで扱う標準データ形式に対応させているため今後のシステム拡張への柔軟性が高い。
システムをWebベースへ変更したことにより、クライアント側はブラウザとインターネット接続環境を準備するだけでシステムの利用が可能になるため、協力会社の費用負担やユーザサポートの手間が少なくて済む。


4. 今後の展開
 今後、NTT東日本では、本システムを建設業界の他の企業も含めて広く販売を開始する予定としております。
 さらに、データセンタビジネスを展開するNTTビズリンク株式会社(本社 東京都文京区、代表取締役社長 小野 展義)において、本システムを利用したサーバホスティングによる提供やASPサービスとしてのメニュー展開が予定されています。





*1 

CI-NET(Construction Industry Network)
『建設産業情報化ネットワーク』のことで、 標準化された方法によるコンピュータ利用により、建設生産に関わるさまざまな企業間の情報交換を実現し、建設産業全体の生産性向上を図ろうとする。財団法人 建設業振興基金に設置される「建設産業情報化推進センター」で実用化が進められている。

*2 

建設CALS/EC(Continuous Acquisition and Life-cycle Support/Electronic Commerce)
『公共事業支援統合情報システム』の略称で、これまで紙でやりとりされていた公共事業に関する情報を、標準に基づいて電子化し、情報機器をネットワークに接続することにより、特定の機器、システムに縛られることなく、組織を越えて情報の伝達、共有、処理、加工、検索、連携を可能とする環境の総称であり、国土交通省が導入を推進している。

*3 

STEP/AP202 (Standard for the Exchange of Product Model Data)
ISO(国際標準化機構)が標準化を進めている製品データ交換のための国際標準規格(ISO10303)。「STEP」というのはこの規格の愛称。 STEPは概念設計から詳細設計、試作・テスト、生産、サポートに至る1つのライフサイクル全体にわたって必要になるすべてのデータ(製品データ)を表現し交換するための規格。

*4 

DXF・DWG・JW-CAD
現在多くの分野で利用されているCADソフトのデータ・ファイル形式。DXFとDWGは、米オートデスク社が定めた形式、JW-CADは、現在、国内で多くの利用者を獲得しているフリーのCADソフト。

*5 

SSL(Secure Socket Layer)
Netscape Communications社が開発した、インターネット上で情報を暗号化して送受信するプロトコル。


[News Release トップ]