1. 業 績 の 概 況


 当期におけるわが国経済は、個人消費が概ね横ばいで推移し、企業部門の自立的回復に向けた動きは継続しているものの、期末にかけては米国経済の減速の影響により輸出や生産が減少し景気が弱含むなど厳しい状況が続いております。
 情報通信分野においては、情報通信技術の飛躍的な進展を背景として、インターネットや移動体通信が急速に普及・拡大しており、これまでの「音声を中心とした情報の伝達」から「ディジタル化された情報の流通」へ移行するなど、市場構造の急激な変化と市場規模の拡大が続き、地域通信から長距離・国際通信までの全分野において激しい競争が展開されております。地域通信市場では、中継系事業者による市内通話市場への参入表明や、CATV、DSL、光ファイバ事業者による市内アクセス網分野への相次ぐ新規参入など、競争が急速に本格化してきております。
 このような事業環境のなか、当社は、市場の動向を的確に捉え「安く」、「使い易く」、「信頼のある」魅力的なサービスをタイムリーに提供することを事業運営の基本とし、経営体力の強化を図り「電話」から「情報流通」への事業構造の転換を行うことによって新たな収益源を開拓するとともに、わが国の「IT革命」の推進に積極的に貢献していくため、さまざまな取り組みを実施しました。
 まず、急速に拡大するインターネットのニーズに対応して、インターネット向けアクセスサービスのラインアップの充実に努めました。具体的には、完全定額制のインターネットアクセスサービスとして、昨年7月に「フレッツ・ISDN」の本格提供および昨年12月に「フレッツ・ADSL」の提供をそれぞれ開始するとともに、光ファイバをアクセスラインとした最大10Mbpsの「光・IP通信網サービス(仮称)」の試験提供を昨年12月に開始しました。また、通信コストの低廉化および利便性の向上に対するお客様のご要望に応えるため、昨年10月に県内市外通話、高速ディジタル伝送サービス・ATM専用サービスの料金の値下げを実施し、あわせて県内通話料金割引サービス「ケンタくん」および複数回線割引サービス「ワリマックス(企業単位)」・「ワリビッグ(事業所単位)」の提供を開始しました。さらに、本年1月には市内通話料金の値下げを実施し(本年5月にさらなる値下げを実施)、あわせて県内市外通話料金割引サービス「スーパーケンタくん」・「ケンタくん5」の提供を開始しました。
 このほか、インターネット利用者の裾野拡大やディジタルデバイドの解消に貢献するサービスとして、家庭の電話から簡単・便利・安価にインターネット上の情報検索やメールの送受信ができる新サービス「Lモード」の早期提供に向けて、コンテンツ・プロバイダや通信機器メーカとの協力のもと準備を進め、本年2月に契約約款の認可申請等を行いました(本年4月に認可申請等の内容を一部補正し、認可等を得ました)。また、光ファイバと高速無線技術(AWA)を利用したパーソナル・ワイヤレス・ブロードバンド「バイポータブル」の実験を本年3月に開始しました。
 また、本年5月から導入される優先接続制度に対応するため地域会社のサービスとして「マイライン」(電話会社選択サービス)および「マイラインプラス」(電話会社固定サービス)を提供することとし、本年1月より申込受付を開始しました。これにともない、当社では、市内および県内市外通話の登録にあたってお客様に当社を選択していただけるよう積極的な営業活動を推進しました。このほか、事業者間接続料金の算定にあたって長期増分費用方式が導入されたことにより、平成12〜14年度の3年間で段階的に接続料を引下げることとしました。
 次に、法人向けの営業につきましては、「チーム・マーケティング・ソリューション」ブランドのもと、お客様とのチーム・コラボレーションを通して、システム構築・コンテンツ作成から保守・運用・サポートに至るまでのトータルなソリューションビジネスを展開するとともに、プラットホーム型のソリューション市場の拡大やアウトソーシング・ニーズの高まりに対応したパッケージ商品「Ephelio(イフェリオ)」の販売やデータセンタの設置など、情報流通市場におけるビジネス領域の拡大にも積極的に取り組みました。
 また、当社の保有する技術・ノウハウの活用と情報流通の普及促進を目指し、株式会社スカイパーフェクト・コミュニケーションズの東経110度CS事業における顧客管理業務の事業化検討を行う企画会社について、昨年8月に同社の要請に応じ「株式会社データネットワークセンター」として事業会社としたほか、テレビ放送事業者によるブロードバンド時代の映像コンテンツ流通の事業化検討を行う企画会社「株式会社ビーバット企画」を昨年9月に日本テレビ放送網株式会社などと設立しました。また、教育コンテンツ流通のためのプラットホーム運営会社「エヌ・ティ・ティ エデュケーショナルイニシアティブ株式会社」を本年3月に設立しました。
 経営の合理化につきましては、事業環境の急激な変化に対応できる経営基盤の確立および「電話」から「情報流通」への事業構造の転換を早期に果たすために、平成11年11月に発表した「中期経営改善施策」の早期実施に向け、営業拠点の統廃合や本社・間接部門のスリム化、グループ各社への出向・転籍による大規模な人員再配置、新規採用の見合わせなどに全社的に取り組んでおります。また、料金のさらなる低廉化も見据えた財務基盤の安定に向け、平成12・13年度において希望退職を実施することとしました。設備投資についても、機器などの購入価格の低廉化、工事設計・発注の効率化など一層のコストリダクションを推進するとともに、需要動向を踏まえた設備高度化投資の推進に努めました。
 環境保全への取り組みにつきましては、平成11年12月に制定した「NTT東日本地球環境憲章」に基づき、紙資源節約、地球温暖化防止、廃棄物削減などを推進するとともに、環境会計の導入、ITを活用した環境保全技術の開発、「NTT東日本環境報告書2000」の発行など地球環境保護に対する企業責任の遂行に努めました。
 また、社会から信頼される企業として発展していくため、今後とも、お客様情報管理の徹底に全力で取り組んでまいります。

 以上の結果、当期の営業収益は2兆7,945億円(前期比29.7%増)、経常利益は141億円(前期比75.1%減)、当期利益は200億円(前期は当期損失1,572億円)となりました。

(注) ( )内の前期比は平成11年7月1日〜平成12年3月31日(9ヵ月間)との比較によるものであります。


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