平成12年4月6日
報道発表資料
秋田県由利郡矢島町
東日本電信電話株式会社


「矢島町マルチメディアタウン事業」の開始について


 秋田県由利郡矢島町(ゆりぐんやしままち)(以下 矢島町、町長:佐藤清圓(さとうせいえん))と東日本電信電話株式会社(以下 NTT東日本、本社:東京都新宿区、代表取締役社長:井上秀一)は、平成11年度「先進的情報通信システムモデル都市構築事業」*1 の対象の矢島町において、NTT東日本のテレビ電話「Phoenix mini」*2 (以下 フェニックスミニ)等を利用した総合情報ネットワークを構築し、日本初のマルチメディアタウン事業を平成12年4月7日(金)から開始します。


1. 背景

 矢島町は秋田県の南部に位置し、山形県境にある鳥海国定公園の北東山麓に開けた人口6672人(平成11年4月1日現在)の町で、過疎と高齢化(65歳以上の町民が全町民の25.8%以上、うち独居老人が約8%)が進んでいる上、主要交通路からも外れるなど、情報化が主要課題となっています。
 情報化及び高齢化対策が必要とされている中、双方向で高齢者にも簡単に使えるテレビ電話端末等を保健・福祉分野等に活用し、高齢者の肉体的な負担を少なくするとともに、一般の町民にも使いやすいマルチメディア端末を普及させるという観点から検討を進める矢島町と、情報通信技術を活用した地域活性化施策を検討してきたNTT東日本が共同で事業を行うこととしました。


2.事業の概要

 矢島町役場内に設置する総合情報センターと各公共施設を光ファイバーで結び、町内の小中学校のパソコンと矢島町民のフェニックスミニやパソコンをISDN回線でネットワーク化し、各種保健・福祉の支援、遠隔教育の充実、防災安全対策に活用します。
 また、町の観光情報等の提供や各種イベント・町議会の中継等をフェニックスミニ及びインターネットによって実施していきます。
 さらに、複数地点のフェニックスミニを接続するために多地点接続装置*3 を利用したり、通信衛星を利用したモバイル端末により、災害発生現場の情報を配信し避難勧告等に活用するなど、先進的な情報通信技術を使ったアプリケーションも取り入れていきます。


3.役割

(1)矢島町
 地域の情報化を推進するため、役場内に総合情報センターを整備し、各公共施設とネットワークを結び、行政・教育・福祉・防災等の各分野において、テレビ電話とインターネット技術を活用していきます。
 また、町民との双方向の情報交換を活発にすることにより、町と町民が一体となった行政を推進していきます。

(2) NTT東日本
 マルチメディアビレッジ事業*4 によって蓄積したノウハウを、行政・教育・福祉・防災等の分野で提供しながら、マルチメディアタウンにおける各種アプリケーションの充実化を進めていきます。


4. 主なアプリケーション

(1) 行政情報提供システム
 情報センターと町内公共施設に設置したフェニックスミニ及びパソコンをネットワーク化し、行政情報・生活情報等の提供を行います。
 また、ビデオ・オン・デマンド(VOD)により情報センタに蓄積された情報を町民がいつでも入手することができるようにします。

(2) 災害情報提供システム
 災害発生状況を防災関係者等に発信するとともに、通信衛星を利用して被災現場の情報を町民に提供して避難勧告等に活用し、町の安全対策に活用します。

(3) 学習支援システム
 フェニックスミニ及びインターネットを活用し、町内の小中学校の交流学習、学校及び地域の交流学習、役場から町民への郷土資料の配信を行います。
 また、講演会・英会話教室及び各種文化団体活動の中継やVODによる画像配信を行うことにより、公共施設における情報入手を可能にします。さらに、都市部の大学等で開催される生涯学習講座等も自宅や近隣の集会所等で受講できるようにします。

(4) 福祉保健支援システム
 フェニックスミニ及びインターネットを利用し、最寄りの公共施設または家庭から各種福祉・保健情報を入手可能とします。
 また、保健婦・ヘルパーに健康・福祉相談を行うことができるようにします。

(5) 観光情報提供システム
 フェニックスミニ及びインターネットを活用し、町の観光情報や観光施設の気象及び道路情報や施設の予約状況案内を提供するとともに、各種イベントの中継等を行います。


5. 今後の予定

 矢島町では、今後、フェニックスミニに緊急呼出し機能や遠隔監視機能等を盛り込んだ在宅介護支援システムを導入し、高齢者介護福祉における総合的な実験・検証を行っていき、本事業の一層の推進を図っていきます。
 また、NTT東日本では、フェニックスミニを使った各種アプリケーションを充実させながらマルチメディアタウンの全国展開を進めていきます。



* 1: 先進的情報通信システムモデル都市構築事業
 郵政省及び通産省の共同事業で、情報センター等を設け、ネットワークを介して双方向映像等の情報を提供することを内容としている。主な補助の対象はサーバー、伝送路等の情報通信システムであり、総事業費のうち半分を国が補助、残り半分を事業主体が負担する。

*2:

フェニックスミニ
 ISDN回線利用のテレビ電話端末で、小型・軽量・低価格(Mタイプ:74,800円、Sタイプ:59,800円)・高品質、しかも通常の電話感覚で簡単にご利用いただけます。

*3:

多地点接続装置
 複数拠点のテレビ会議システムを同時に接続し、音声と映像情報を多地点に配信する装置。今回、矢島町が導入する装置は最大64ヵ所の同時接続が可能です。

* 4:

マルチメディアビレッジ事業
 平成10年4月から開始した福島県双葉郡葛尾村(村長:松本允秀(まつもとまさひで))と福島県及びNTT東日本の共同利用実験。葛尾村は郵政省の平成9年度「自治体ネットワーク施設整備事業」の対象となり、保健福祉・教育・行政サービス分野での各種双方向アプリケーションを活用することにより、山村地域の高齢化対策及び活性化を目的としている。実験期間は平成13年3月までの予定。



[別紙]
矢島町マルチメディアタウン事業


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