INTERVIEW荒川龍太選手 ロングインタビュー

ROAD TO TOKYO 2020
東京2020オリンピック出場内定までの道のり
2019〜2021

リオから東京へ

荒川龍太選手は、2017年NTT東日本漕艇部に入部。大学からボートを始めた荒川選手は185cmの長身と長い手足を生かしてすぐさま頭角を現し、大学4年時の2016年にはリオ2016オリンピック世界最終予選に男子軽量舵手なしフォアで出場。結果は5位(2位以内が出場条件)とわずかに及ばず、出場権獲得には至らなかった。

入部以降は、東京2020オリンピック出場を見据え、体重制限のないオープン種目に転向。2018年に行われたアジアの国際大会では、男子シングルスカルで銅メダルを獲得、同年のボート日本一を決める国内大会でも圧倒的な強さを発揮して男子シングルスカルで創部以来初の優勝を果たし、スカル種目のエースとして一目置かれる存在となった。

日本の出場枠獲得を目指して

東京2020オリンピックへの戦いは、日本の出場枠獲得から始まる。
2019年6月発表の『日本代表選手選考基本方針』では、まず2019年8月にオーストリアで行われる選考大会でオリンピック対象男女3種目(軽量ダブルスカル、オープンシングルスカル、オープンダブルスカル)のいずれかで出場枠獲得が目標とされた。しかし獲得した選手がそのままオリンピック代表内定とはならず、オリンピック直前にクルー決定レースが行われる苦難のプロセス。
男子オープンダブルスカルに出場した荒川選手は、11位以内に食い込めば権利を獲得できたが、世界の壁に阻まれ21位。その他の出場種目もすべて出場条件をクリアできず、日本勢の出場枠獲得は翌年のアジア・オセアニア大陸予選へ持ち越された。

2020年、ついにオリンピックイヤーが幕を開けた。3月の日本代表候補選考レースからオリンピック予選競技会、代表決定、そしてオリンピック開幕と、良い流れに乗りたいところだったが、新型コロナウイルスが世界中に蔓延。
日々状況を窺いながら3月22日の日本代表候補最終選考レースは行われたものの、3月24日に東京2020オリンピック延期が発表。日本ボート協会は28日から開始予定の日本代表クルー決定レースを中止せざるを得ず、アジア・オセアニア大陸予選、世界最終予選も当然中止。

その後も情勢に合わせながら選手選考基本方針を何度も改訂するも、オリンピックへの門戸は2021年2月まで閉ざされる形となった。

再始動、そして海の森へ

2021年2月。コロナウイルス収束の目途が立たない中、5月開催が決まったアジア・オセアニア大陸予選出場選手を決定する評価レースが行われた。

荒川選手は唯一のオープンカテゴリー選手として出場。軽量級カテゴリー出場の4名と合わせ計5名による3本の2,000mシングルスカルレースを行い、荒川選手は全レースを1位で通過、2位以下に総合タイムで30秒以上の差をつけて総合1位を獲得。“オープンカテゴリーの選手が1位の場合はアジア・オセアニア大陸予選日本代表に内定”の規定により、男子シングルスカルの代表として再びオリンピックへの挑戦権を勝ち取った。
さらに選手選考基本方針の改訂により、出場権獲得のクルーがそのまま代表内定となるため、次回レースがオリンピックへの最終関門となった。

当初は韓国で開催予定だったアジア・オセアニア大陸予選は、コロナウイルスの影響で2021年5月、オリンピックの舞台、海の森水上競技場での開催に変更。困難な状況の中でも選考に参加した各国の選手たちは、一足早くオリンピック会場でのレースを経験することとなった。
日本チームは男女オープンシングルスカル、男女軽量ダブルスカルの4種目にエントリー。
オリンピック出場権獲得はそのうち最大2種目。1位となった種目が3種目以上の場合は日本ボート協会が選定のうえ内定の予定だったが、出場4種目がすべて優勝の快挙を達成。
うれしい誤算となったわけだが、あらかじめ定めていた各種目の世界最高水準記録をもとに比較・選考が行われた結果、荒川龍太選手が男子シングルスカルの日本代表に内定した。
日本チーム、そして荒川選手にとってやっと掴んだオリンピックの切符は、アトランタ1996オリンピック以来25年ぶりとなるオープン種目(体重制限なし)。海外の選手と比べるとまだまだ線の細い日本人でもオープン種目で戦えることを母国で証明できる絶好の機会を得られた。

東京2020オリンピックのために新たに用意された海の森水上競技場は、東京湾に浮かぶ水域長さ2,300m、幅200mの広大な海水のコース。リオ2016オリンピックへの挑戦から足掛け5年。さまざまな苦難を乗り越えてたどり着いた舞台では、どんな風と波が荒川選手を待ち受けるのか。

NTT東日本漕艇部の部訓でもある『ローアウトスピリッツ(死力を尽くしゴールを目指す精神)』を体現し、記憶に残る熱いレースで日本に明るいニュースを届けてほしい。

Profile近年の主な戦績

2016

リオ2016オリンピック世界最終予選
男子軽量舵手なしフォア 5位

2017

NTT東日本漕艇部 入部
世界選手権 男子シングルスカル 18位

2018

アジア競技大会 男子シングルスカル 銅メダル
全日本選手権 男子シングルスカル 優勝

2019

世界選手権 男子ダブルスカル 21位
全日本選手権 男子ダブルスカル 優勝

2020

全日本選手権 男子エイト 優勝

2021

アジア・オセアニア大陸予選
男子シングルスカル優勝
東京2020オリンピック
ボート男子シングルスカル日本代表に内定

東京2020オリンピック競技大会
ボート競技

【競技日程】
2021年7月23日(金)〜7月30日(金)
【試合会場】
海の森水上競技場(東京都江東区)

Tokyo2020 Tokyo2020

■男子シングルスカル 予選6組7月23日(金)9:20 〜 準々決勝3組7月25日(日)12:00〜 準決勝A/B 2組7月29日(木)11:10〜 決勝B(7〜12位決定戦)7月30日(金)9:15〜

試合結果はこちら

海の森水上競技場(東京都江東区)The Games-time Image as of Jan 2019
©Tokyo Metropolitan Government

Photo by Tokyo 2020

NTT東日本漕艇部 
今井 裕介監督からのメッセージ

大舞台での堂々たるレースの数々、本当にお疲れ様でした。
緊張する場面もあったと思いますが、プレッシャーのかかる中で、実力を存分に発揮するところはさすがの一言です。
今大会の荒川選手のレースを観ていて、立場を超えて感動と興奮をしましたし、活力をたくさんもらいました。
これに関しては、ライブ配信映像や社内のチャット応援を通じて声援を送ってくださった社員の皆さんも同様だったと思います。

レース中は「荒川行けー!」「いいぞ、その調子!」、レース後は「感動をありがとう!」「ボートおもしろいなぁ」「これからも応援します!」などのコメントがチャットに溢れていましたよ。
総合11位という結果は、荒川選手にとっては悔しいところもあるのかもしれませんが、こうして観るものの心を動かし、ボート競技の可能性を感じさせた功績は間違いなく金メダル級です。

長い準備期間とハイレベルなレースで疲れた体をしっかり癒して、次なる目標を目指してまた漕ぎ出しましょう。
本当にお疲れ様でした。