INTERVIEW桃田賢斗選手 ロングインタビュー

ROAD TO TOKYO 2020
東京2020オリンピック出場内定までの道のり
2019.4.29〜2021.6.18

オリンピック選考ランキングでも1位へ

2019年4月29日、東京2020オリンピックへのスタートが切られた。オリンピック選考ランキング対象期間の開始。オリンピック選考レースの始まりである。

2018年9月27日発表の世界ランキングで日本人男子シングルス初の1位を獲得して以来、その座を1度も譲ることなく世界王者として戦い続ける桃田選手だが、オリンピック選考ランキングは世界ランキングとは別に作成される。2020年4月26日までの1年間、3試合以上に出場してポイントを重ね、オリンピック選考ランキング16位の中で日本人2位までに入ることが出場条件だ(※)。

※シングルスはオリンピック選考ランキング16位までに日本人2名以上がランクしている場合、日本から2名出場、1名以上ランクの場合は1名出場

近年めざましい飛躍を遂げ、バドミントン強豪国となった日本。世界ランキング上位に多数が名を連ね、同世代のライバルたちが虎視眈々とその狭き門を目指す中、世界王者とて余裕ではいられない。世界中から常にターゲットとして狙われる存在となった桃田選手の、熾烈を極める長い戦いが始まった。

2019年5月、オリンピック選考レース初戦は男女混合の国別団体戦でBWF(世界バドミントン連盟)最高レベルGrade1の大会。日本チームは決勝で宿敵・中国に敗れ、惜しくも初優勝を逃したものの、準優勝で11,518ptを獲得しランキング3位でスタート。しかしその後、7月まで対象大会の出場がなく、一時は12位まで後退する。

だが、7月に日本で行われた世界大会で堂々の大会2連覇を飾ると一気に3位へ浮上(11,000pt)。8月のバドミントン世界一を決める大会で2連覇(13,000pt)、9月にも中国の大会で優勝(12,000pt)と2連続タイトル獲得で2位となり、10月のフランスでの大会ベスト8(6,050pt)でついにオリンピック選考ランキング、世界ランキングともに1位を獲得する。

世界王者を襲った悲劇

その後も11月の中国福州市での大会、2019年のツアー年間王者を決める大会でも優勝。国内でもバドミントン日本一を決める大会で2年連続3回目の優勝を果たし、BWF選出の2019年男子年間最優秀選手賞も受賞。向かうところ敵なし、金メダルに最も近いと言われる男は、いよいよオリンピックイヤー2020年を迎えた。

2020年初戦はマレーシア。変わらぬ快進撃で優勝を決め、幸先の良いスタートを切ったと思われた矢先、遠征の地で悲劇が起こる。
交通事故に巻き込まれ、顔に複数個所の裂傷、全身打撲等の大怪我を負う。
事故後は再びラケットを握れるのか不安のよぎる日々もあったが、間近に迫るオリンピックを目指し、約ひと月の静養を経て練習に復帰。だが、復帰早々に今度は眼底骨折が見つかり、2月末まで休養を余儀なくされる。

だが、世界ではコロナウイルスが猛威を振るい始めていた。日本でも日々危機感が強まる中、3月24日に当時の安倍首相が東京2020オリンピックの延期を発表。緊急事態宣言下に置かれた東京都では日常生活はもちろん練習も制限される中、事故以前の体を取り戻し、より強い自分を得るために、再び大勢の観客の前で戦う姿を見せるために、桃田選手は黙々と自身を追い込み続けた。

復活、そして東京2020大会を目指して

コロナウイルス収束の目途が立たないまま、2020年12月、桃田選手は無観客のもと唯一行われた国内大会で公式戦に復帰した。
世界中が注目する中、さすがに緊張を隠せない様子ではあったが、一戦一戦に全力で挑み、決勝では同世代で、オリンピック選考ランキング日本人2位の選手を相手に、一時は追い込まれたものの、その後は集中してすべてを出し切り、80分の大熱戦を制して3年連続4回目の優勝を達成。
久々の優勝に試合後には喜びと安堵の表情を見せたが、その目は常に上を見据えていた。

オリンピック選考ランキングはコロナウイルスの影響で2020年3月中旬以降、大会がすべて中止となったため、3月15日で第1次選考ランキングを終了。2021年1月4日から第2次選考ランキングがスタートした。
桃田選手は1月にタイの大会へ出場予定だったが、自身のコロナウイルス感染が発覚。日本チームは派遣中止となり、国際舞台への復帰はお預けとなったが、ついに3月、オリンピック選考ランキング対象大会ではないが、イングランドの大会に出場。成績はベスト8と今一つ振るわなかったが、桃田選手復帰のニュースに世界中のファンは歓喜した。

だが、その後も大会の中止、延期が相次ぎ海外遠征はかなわず、最後のオリンピック選考ランキング対象大会となるはずだったシンガポールでの大会も中止が決定。

その後、5月28日にBWFは「これ以降に選考ランキング対象大会は行わず、選手選考規定の変更もなし。オリンピック選考ランキングは6月15日に終了し、現在のオリンピック選考ランキングリストも変更されない」旨を公式サイトで通達。6月13日の対象期間終了を待たず、選考レースは実質的に終了となった。
そして、BWFおよび日本バドミントン協会による検討の結果、6月18日、桃田賢斗選手は男子シングルス日本代表として東京2020オリンピックへの出場が内定した。
オリンピック選考ランキング、世界ランキングともに1位の世界王者は、母国日本で開催される最高の舞台での金メダルを目指し、東京2020オリンピックのコートにいよいよ立つ。

2年以上をかけ、数々の苦難を乗り越えてきた男は何を思い、どんな戦いを見せるのか。バドミントンファンでなくても人々を魅了してやまない桃田賢斗に世界中の目が注目する。

Ranking to The Olympic Gamesオリンピック選考ランキング&
世界ランキングの変遷

Profile近年の主な戦績

2019年

4月29日
第1次オリンピック選考レーススタート
5月26日
スディルマンカップ2019[Grade 1] 準優勝(団体)
7月21日
インドネシアオープン2019[Super 1000] ベスト16
7月28日
ジャパンオープン2019[Super 750] 優勝 <大会二連覇> 7/30付オリンピック選考ランキング3位
8月25日
世界バドミントン選手権[Grade 1]優勝 <大会二連覇>
9月22日
中国オープン2019[Super 1000] 優勝 9/24付オリンピック選考ランキング2位
9月29日
韓国オープン2019 [Super 500] 優勝
10月22日
デンマークオープン2019[Super 750] 優勝
10月27日
フランスオープン2019[Super 750] ベスト8 10/29付オリンピック選考ランキング1位
11月10日
福州中国オープン2019[Super 750] 優勝
12月1日
全日本総合バドミントン選手権 優勝 <2年連続3回目>
12月9日
2019年男子年間最優秀選手賞受賞(世界バドミントン連盟発表)
12月15日
BWFワールドツアーファイナルズ[Finals] 優勝 <4年ぶり2回目>

2020年

1月12日
マレーシアマスターズ2020[Super 500] 優勝
3月15日
第1次オリンピック選考レース終了
11月18日
ギネス世界記録™認定「バドミントン男子シングルス年間最多勝利数」記録数値11回
12月27日
全日本総合バドミントン選手権 優勝<3年連続4回目>

2021年

1月4日
第2次オリンピック選考レーススタート
3月21日
全英オープン選手権[Super 1000] ベスト8
6月15日
第2次オリンピック選考レース終了
6月18日
東京2020オリンピック バドミントン男子シングルス日本代表に内定

東京2020オリンピック競技大会
バドミントン競技

【競技日程】
2021年7月24日(土)〜8月2日(月)
【試合会場】
武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)

Tokyo2020 Tokyo2020

■男子シングルス 予選ラウンド−グループA ・桃田賢斗(日本/1位)
・ティモシー・ラム(アメリカ合衆国/89位)
・ホ・グァンヒ(韓国/31位)

※順位はオリンピック選考ランキング

予選ラウンド(グループA): 第1戦:7月25日(日)18:00〜(コート1) 桃田 賢斗 vs.ティモシー・ラム(アメリカ合衆国) 第2戦:7月28日(水)20:00 〜(コート1) 桃田 賢斗 vs.ホ・グァンヒ(韓国)

試合結果はこちら

武蔵野の森総合スポーツプラザ(東京都調布市)Photo by Tokyo 2020

Photo by Tokyo 2020

NTT東日本バドミントン部
須賀隆弘監督からのメッセージ

東京2020オリンピック、お疲れ様でした。
いろいろな苦難を乗り越えオリンピックのコートに立てたこと、そして周囲への感謝の気持ちやいろいろな想いを独りで背負いながら、苦しい状況でも必死に勝とうと執念を持って戦ってくれたことを誇らしく思います。
結果だけでとらえたら満足いくような結果ではないと思いますが、桃田選手が今の自分が持てるパフォーマンスを発揮できたのであれば、それでよいと思います。

今まで桃田選手は誰にも真似が出来ないようなこと成し遂げてきましたし、オリンピックの金メダルを獲る意味は確かにあると思いますが、苦難を乗り越え、オリンピックのコートに立つまでのプロセスに本当の価値があると思っています。

東京2020オリンピックでは、これまで支えてくださった方々への感謝の気持ちは十分伝わったと思います。
チームに戻って来るときは、是非、胸を張って帰って来てください。
チームみんなで待っています。
本当にお疲れ様でした。そしてありがとう!