地域経済の発展に貢献する取り組み
アフターコロナにふさわしい安心・安全快適に仕事ができる環境を目指した研究開発
お客さまの利用回線の多様化に即した、有線・無線のハイブリッドなアクセスサービスの開発
コロナに対応したリモートワークが推進される中で、ネットワークの重要性と、その管理コストは増大しています。NTT東日本では、ネットワークのセキュアかつ一元管理を可能とするManaged-SD-WANを2020年から提供を開始し、お客さまのIT管理・運用稼働の軽減・生産性向上を目指してきました。Managed-SD-WANでは、接続する回線として、有線接続のほか、無線LANやモバイル回線からの接続も可能としており、お客さまの状況に応じた多様なネットワークに対応しています。
さらに、お客さまから「閉域網内からISP接続を可能とすることでインターネット接続を実現できる機能を提供してほしい」等のご要望をいただいていました。こうした要望を踏まえ、2020年度には閉域網内からISP接続を可能とする機能を追加する等、順次機能追加を行っています。リモートワークなどのさまざまな働き方の広がりにより、さらに多様化するお客さまのご要望に応えるネットワークサービスを提供していきます。
Managed-SD-WAN概要図
誰でも簡単に在宅勤務環境が構築できるシン・テレワークシステムの開発
新型コロナウイルス感染症の急激な拡大によってテレワークの実施拡大が急務となったため、本格的なシンクライアントやVPN等のテレワークシステムが整っていない方々に対して、ユーザー登録不要で、だれでも利用可能なシンクライアントのしくみが必要とされていました。
シン・テレワークシステムは、これを可能にするソフトウェアおよびVPN 通信システムです。クライアントとサーバにインストールすることで、ルーター/ファイアウォールなどを意識することなく、自宅等からSSLにより暗号化された通信で職場等のサーバにアクセス可能となります。
オフィス等のパソコンやファイルサーバー等にアクセスしなければ継続困難な仕事や研究を実施している各企業の社員や大学の学生・研究者の方々が、新型コロナウイルス感染症の感染リスクのある時期に出勤をすることなく、できるだけ普段通りに活動継続できるようにすることを目的として研究開発中の技術の実証実験を兼ねて、2020年4月21日に緊急的に無償提供※しました。
- ※本システムは、NTT東日本 新型コロナウイルス対策プロジェクト 特殊局(仮設)および独立行政法人情報処理推進機構(IPA)産業サイバーセキュリティセンター サイバー技術研究室が共同で構築し、筑波大学OPENプロジェクト、株式会社KADOKAWA Connected、ソフトイーサ株式会社等の複数組織の連携協力により、実現するものです。連携協力組織で研究、開発または整備されてきた各種ソフトウェア技術や実験用通信インフラを1つに統合して、緊急に構築をしたものであり、無保証かつ非営利で、一時的に開放するものです。なお終了する場合は終了の6カ月前までにお知らせすることといたします。
「シン・テレワークシステム」によるリモートアクセスイメージ
地域課題の解決を実現する、地域DXの実現に向けたAI・IoTの研究開発
多様な無線アクセスサービスを活用した地域向けIoTソリューションの開発
昨今、農業や防災などの分野でもIoT機器の活用やDXが試みられています。NTT東日本では、これらの取り組みを支援するため、無線LAN、ローカル5G、電力消費の少ないLPWA(Low Power Wide Area)といった無線技術の活用についても研究開発、実証実験を実施しています。
ローカル5Gを活用した最先端農業の実装に向けた連携協定(東京都)
2020年に東京都と共同でローカル5Gと超高解像度カメラやスマートグラス、遠隔操作走行型カメラ等を活用し、ハウス内の作物の生育状況等を高解像度の映像データで研究所とリアルタイムに共有することで、迅速かつ的確な遠隔での農作業支援を実現する実証実験を開始しました。
遠隔農業支援に関する東京都との実証実験
自治体の自営無線ネットワークを活用した地域版スマートシティ(山梨市)
山梨市が保有するLPWA等の無線ネットワーク(自営無線ネットワーク)をベースインフラとして、これらを複数の用途で重畳的に活用することで、さまざまな産業や地域の社会課題の解決を協同で推進しています。
農業用途では、シャインマスカットの圃場(ほじょう)に温湿度・照度等の環境データを取得できるセンサーを設置し、クラウドを通じて自宅や外出先等から確認できるしくみを構築しました。取得したデータを活用することで、農作業の省力化の他、勘や経験に頼りがちな育成ノウハウの見える化を図っています。
防災用途では、河川に水位センサーを設置し、水位の状況をリアルタイムに把握することで川の氾濫を検知する他、傾斜地に傾斜センサーを設置することで地崩れの検知に活用しています。
山梨市自営無線ネットワーク
映像解析に対する高度なニーズに応えられる映像AI解析プラットフォームの開発
スマートシティ構想の実現においては、大量のカメラ映像のリアルタイム解析の重要性が増しています。しかしながら、リアルタイムでの映像解析は通信するデータ量・計算量が多く、クラウド上で処理する場合は遅延や通信コストに懸念があります。一方で、お客さまが解析基盤を準備するのは初期投資や保守に課題があります。そこで、お客さまに近い通信ビルにNTT東日本が映像解析の基盤(映像AI解析プラットフォーム)を設置・提供することで、これらの課題解決が期待できます。
NTT東日本が開発する映像AI解析プラットフォームは従来よりも効率的に計算リソースを活用する(コスト低減を図る)ため、NTTソフトウェアイノベーションセンタが開発したリアルタイム映像解析技術「Deepack®」を使用しています。これにより、本技術適用前と比較し、GPU(画像処理を行う部品)で処理可能なカメラ台数を2倍以上に増やしています。
また、自動運転や防犯のようなリアルタイムでの処理が必要なデータを優先し、店舗における顧客の動線解析のような後日解析でも構わないデータを蓄積し、空き時間で処理することで効率化を図る、データレイク技術の確立にも取り組んでいます。
Deepack®によるGPU高収容化
- ※NTTソフトウェアイノベーションセンタが開発した、リアルタイム映像解析技術
地域の教育機関との産学連携の取り組み
ICT・DXの活用による新潟県の地域課題解決
NTT東日本は、地域課題解決をめざし、地域の教育機関と双方が有するリソースや強みを活用した産学連携に取り組んでいます。取り組みの一例として、2021年7月に新潟大学とNTT東日本は、「組織的な産学連携推進に関する協定」を締結しました。本協定締結により、新潟大学と技術的・組織的な交流を加速し、大学の先進的知見や研究成果とNTT東日本のICT・DXを活用することで、新潟のさまざまな地域課題の解決と地域社会の発展をめざします。
ル レクチエの外観品質評価システムの構築をめざした共同研究
総務省令和2年度「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」において、新潟県での「遠隔会議や遠隔協調作業などの新しい働き方に必要なリアルコミュニケーションの実現」に参画し、下記の実証実験に取り組みました。
農業の生産性向上をめざした研究に取り組む新潟大学ビッグデータアクティベーション研究センターとの共同研究において、NTT東日本のAIやIoTといった技術の社会実装に向けた実証実験環境である「スマートイノベーションラボ」を活用しています。スマートイノベーションラボのAIを活用することで、果樹野菜の外観検査における画像処理に適したAIの学習モデルを確立し、現場へのAIシステム実装を推進していきます。
AIを活用した果樹野菜の外観品質検査のイメージ
新潟駅南口でのローカル5G実証実験
総務省令和2年度「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」において、新潟県での「遠隔会議や遠隔協調作業などの新しい働き方に必要なリアルコミュニケーションの実現」に参画し、下記の実証実験に取り組みました。
- (1)遠隔会議の品質向上や会議の効率性向上等に関する実証
- (2)VRデバイス等を用いた大容量データ3Dオブジェクトによるデザイン制作等の遠隔協調作業に関する実証
本実証では、NTT東日本の地域エッジにローカル5Gを活用した高精細遠隔会議システムと3D-VR遠隔協調作業システムを構築し、新潟県と東京都の拠点を結んで実証しました。