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泌尿器科

当院の泌尿器科について

  • 泌尿器科は腎臓、尿管、膀胱、前立腺、精巣(睾丸)、副腎などに発生する疾患に対して外科的あるいは内科的に治療を行う診療科です。
  • 高齢化社会に伴い排尿障害を訴える方や悪性腫瘍の症例は増え続けておりますが、当科ではできるだけ低侵襲かつ生活の質(クオリティーオブライフ:QOL)を高める治療を目指しています。
  • 腎腫瘍、尿路悪性腫瘍、副腎腫瘍に対しては原則的に腹腔鏡手術を行い、術後疼痛の軽減、早期社会復帰に努めています。
  • ほぼ全疾患にクリニカルパスを用いており、在院日数の短縮を図っています。例えば腹腔鏡下根治的腎摘除術では術後5日目、根治的前立腺摘除術では術後9日目に退院となります。
  • 前立腺癌が急増しています。早期(限局性)前立腺癌に対しては、2017年1月よりダヴィンチXiサージカルシステムを用いたロボット支援腹腔鏡下根治的前立腺摘除術を施行しています。放射線治療に関しては2016年10月より治療装置がバージョンアップされ、前立腺内に金マーカーを挿入し、より精度の高い治療を放射線科医と共同で行っています。
  • 尿路結石に対しては症状に応じて初診日に体外衝撃波結石破砕術(ESWL)を行うようにしています(月・水・金、枠が空いている場合)。ホルミウムレーザーを用いた経尿道的尿路結石砕石術も短期間の入院で行っています。
  • 当科は男性不妊症に対して外科治療を施行している北海道内唯一の施設であり、顕微鏡下精巣内精子採取術(MD-TESE)、顕微鏡下精索静脈瘤切除術などを行っています。MD-TESEは市内の複数の婦人科と共同で行うことで男性不妊症治療の中心的役割を果たしています。
  • 近年急増している骨盤臓器脱に対しては婦人科医と合同でメッシュ挿入手術を行っています。
  • 男性更年期障害に対する精査、男性ホルモン補充療法も積極的に行っています。

対応症状・疾患

対応症状(こんな症状の時)

  • 尿の出が悪い、尿が近い、残った感じがある
  • 夜、尿のために何度も起きる
  • 尿をしている時、した後が痛い
  • 咳をしたりお腹に力を入れると尿が漏れる
  • 尿が急にしたくなり我慢できなかったり漏らしてしまう
  • 尿に血が混ざっている
  • 背中やわき腹が突然痛くなる
  • 子供ができない
  • 勃起力が弱くなった
  • 検診でPSA(前立腺特異抗原)が高いと指摘された

対応疾患

疾患名 説明文
前立腺肥大症 男性で夜間あるいは昼間頻尿、残尿感、尿勢低下、尿線途絶、尿意切迫感などの症状があれば前立腺肥大症を疑います。多くの症例ではアルファ交感神経受容体阻害薬、5アルファ還元化酵素阻害薬、それらの併用による薬物療法をまず初めに行います。しかし、繰り返す尿閉、水腎症、尿路感染症を合併する症例、前立腺が大きい症例や自覚症状が強い症例で将来的に急性尿閉を起こすリスクが高い症例に対しては積極的に手術(経尿道的前立腺切除術)を行います。
泌尿生殖器腫瘍(癌) 腎癌、膀胱癌、前立腺癌が頻度の高いもので、いずれも50代以上の中高年齢者に多く発症します。症状は、腎癌、膀胱癌では血尿が、前立腺癌では前立腺肥大症と同様な排尿障害が主なものですが、いずれも初期の段階では無症状です。最近は検診や診断技術の発達により、初期のうちに見つかる偶然発見例が増加しています。特に前立腺癌は、血液中の腫瘍マーカーであるPSA(前立腺特異抗原)による診断率が高く、患者さんが増加しています。これらの癌に対する治療は、手術療法が中心となります。早期のうちに癌を見つけ、手術にて取り去るのが完治の決め手になります。手術以外の治療としては、腎癌に対してはインターフェロンや分子標的薬剤による治療、膀胱癌に対しては抗がん剤あるいはBCGの膀胱内注入療法や抗がん剤の注射療法がありますが、いずれも手術ができない患者さんや手術後の再発予防の目的で行われる治療です。前立腺癌では、早期の前立腺限局癌に対しては2017年1月よりダヴィンチXiサージカルシステムを用いたロボット支援腹腔鏡下、根治的前立腺摘除術あるいは放射線療法、局所進行癌に対しては内分泌療法併用放射線療法、進行癌に対しては内分泌療法や抗癌剤治療が行われます。当科では根治的前立腺摘除術を行う場合、術後の性機能や尿禁制保持を目的に可能な限り神経温存手術を行っています。また放射線治療に関しては前立腺内に金マーカーを挿入することで精度の高い放射線治療が放射線科医により行われています。早期前立腺癌で、悪性度が比較的低いものに対しては無治療経過観察(PSA監視療法)も選択肢の一つとなります。手術療法や放射線治療法のほかに抗男性ホルモン剤による内分泌療法も行われ、同等の治療成績をあげています。進行した前立腺癌に対しては、放射線療法や内分泌療法が行われます。
腹腔鏡手術 腹腔鏡手術はお腹を切らずに3から5本のトロカーという筒を挿入し、カメラでお腹の中を見ながら様々な器具を挿入して手術を行う低侵襲手術です。当科では日本泌尿器内視鏡学会および日本内視鏡外科学会により認定された泌尿器腹腔鏡認定医により安全に手術が行われています。腎臓、腎盂、尿管、前立腺の悪性疾患および良性疾患、前立腺癌における病期決定を目的とした骨盤リンパ節郭清術、非触知精巣の診断などに対して腹腔鏡手術を行っています。
尿路結石症
(腎、尿管、膀胱結石など)
尿路結石症は、尿が作られて排出されるまでの経路に結石ができる病気で、腎、尿管、膀胱などに結石ができて、突然に背中、脇腹、下腹部などに強い痛みを発生し、同時に血尿が出現します。20代から50代に多く、男性のほうが女性の2.5〜3倍多く起こります。結石の成分はシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムからなるカルシウム含有結石のほかに、代謝異常による尿酸結石やシスチン結石などがあります。治療は、小さなものはまず自然排石を促すようにし、排石がない場合や排石の見込みがない大きな結石に対しては、体外衝撃波による破砕術(ESWL)や内視鏡による経尿道的 破砕術などを行います。当科では、ESWLは痛みが少なく破砕力が強い装置を導入して日帰りで施行しています。経尿道的腎尿管結石破砕術はホルミウムレーザーを 用いて3泊4日で施行しています。
男性不妊症 10組に1組が不妊カップルと言われ、その約半数が男性側の原因と考えられています。精液中に精子がいない無精子症、精子の数が少ない乏精子症、精子運動率が低下している精子無力症、勃起障害、射精障害などがあります。現在、男性不妊症に対する有効な薬物療法はなく、閉塞性無精子症に対する精路再建術、非閉塞性無精子症に対する顕微鏡下精巣内精子採取術 (MD-TESE)、精索静脈瘤に対する顕微鏡下精索静脈瘤切除術などの外科的治療を積極的に行っています。
性機能障害 性機能障害はED(erectile dysfunction)といわれ、勃起力低下あるいは勃起消失を自覚するものです。EDはストレスなどによる心因性EDと動脈硬化や糖尿病による血管障害や末梢神経障害を原因とする器質性ED、さらには両者の混合型に分けられます。いずれにしても薬物療法がまず行われます。しかし、一部の症例では薬物療法に抵抗性であり、当科では陰茎内プロスタグランディン自己注射療法を施行しています。近年ED患者はかなり多いと推測されています。EDに対する治療は生活の質(クオリティーオブライフ:QOL)向上に重要と考えられています。
尿路性器感染症
(腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎、前立腺炎など)
原因のほとんどは、尿道から細菌が入り込んでおこる上行性感染です。特に淋菌やクラミジアによる男性の尿道炎は性感染症であり、最近は若年齢での増加が危惧されています。これらの感染症は、自覚症状や細菌検査により診断され、治療は抗菌剤による化学療法が基本です。治療に対しては比較的よく反応しますが、再発する場合には原因疾患の究明が、また感染を繰り返す場合には適切な予防策の実行が必要です。
男性更年期障害 更年期障害は女性特有のものと考えられていましたが、近年男性においても加齢に伴う緩やかな血中男性ホルモンの低下が種々の症状を引き起こしていることが明らかとなってきました。症状は多彩で、筋力低下、脂肪増加、骨粗鬆症、ほてりなどの身体的症状、不眠、いらいら、うつ、記憶力低下などの心理的症状、性欲低下、EDなどの性機能症状があります。さらに男性ホルモン低下がメタボリック症候群や心血管系疾患の危険因子であると報告されています。男性ホルモン低下群では死亡率(全死亡率、癌死亡率、心血管系死亡率)が高いとする報告もあります。当科では適応のある症例に対して男性ホルモン補充療法を施行しています。
過活動膀胱 急におしっこがしたくなる尿意切迫感、そして尿を漏らしてしまう切迫性尿失禁を自覚される方が増えています。従来の抗コリン薬の他にも交感神経刺激薬が登場し、治療の幅が広まっています。水分摂取量などの生活習慣を見直すだけで改善する場合もあります。当科では排尿日誌や尿流測定などの精査を十分施行してから治療を選択しています。
骨盤臓器脱 加齢に伴い膣から膀胱や直腸が突出する疾患です。悪性疾患ではありませんが、生活の質を低下させる疾患です。当科では婦人科医と共同でメッシュを挿入する手術を行い良好な成績をあげております。

外来担当医表

 
午前 伊藤 直樹
(ストーマ専門外来)
佐藤 俊介 佐藤 俊介 松木 雅裕 伊藤 直樹
(男性不妊・性機能・
更年期外来)
(ストーマ専門外来)
松木 雅裕
(9:30〜)
松木 雅裕
(9:30〜)
佐藤 俊介
(9:30〜)
午後 (予約外来) 手術 (予約外来) 手術 (予約外来)

※印の付く専門外来は、事前に予約が必要です。

※朽木恵美:皮膚・排泄認定看護師(WOC)

スタッフ紹介

氏名 伊藤 直樹(いとう なおき) 伊藤 直樹
役職 外科診療部長、泌尿器科部長
専門分野 泌尿器科全般、腹腔鏡手術、排尿障害、泌尿器科腫瘍、男性不妊症、男性更年期障害、性機能障害、女性骨盤臓器脱
資格 医学博士
札幌医科大学大学院 臨床教授
札幌医科大学医学部 非常勤講師
日本泌尿器科学会 専門医・指導医
日本泌尿器内視鏡学会 泌尿器腹腔鏡手術技術認定医
日本内視鏡外科学会 技術認定医
日本がん治療認定医機構 がん治療認定医
日本生殖医学会 生殖医療専門医
日本性機能学会 専門医
ICD(感染管理医師)
BestDoctors2016-2017
氏名 佐藤 俊介(さとう しゅんすけ)
役職 医師
氏名 松木 雅裕(まつき まさひろ)
役職 医師
氏名 植木 洋平(うえき ようへい)
役職 医師

診療実績

術式別手術件数

[単位:件]
  2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
合計 700 649 611 653 624
副腎摘除術 5(5) 9(9) 7(7) 6(6) 2(2)
根治的腎摘除術 15(11) 12(10) 9(8) 14(14) 12(12)
腎部分切除術 11(5) 8(7) 8(7) 10(8) 8(6)[2]
腎尿管全摘除 9(8) 10(6) 16(16) 12(10) 5(5)
腎盂形成術 5(5) 1(1) 1(1) 3(3) 0
経尿道的尿管結石砕石術(TUL) 21 38 40 41 45
膀胱全摘除術(+尿管皮膚廔 or 回腸導管 or 回腸新膀胱) 4 4 4 3 1
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TUR-BT) 113 113 108 120 107
根治的前立腺摘除術 16 5 4 12 39[39]
経尿道的前立腺切除術(TUR-P) 12 15 9 5 6
前立腺針生検術 117 92 95 119 131
尿失禁・膀胱脱手術 10 10 13 9 6
精巣内精子採取術(MD-TESE) 23 26 26 19 27
精索静脈瘤手術(顕微鏡下低位結紮術) 25 30 18 35 34
体外衝撃波腎・尿管結石破砕術(ESWL) 102 65 40 46 43
その他 212 211 213 199 158

():腹腔鏡手術
[ ]:ロボット支援手術

施設・設備紹介

最新の診断・治療機器

内視鏡手術支援ロボット「ダ・ビィンチ Xi」
内視鏡手術支援ロボット「ダ・ビィンチ Xi」(2017年1月導入)
主に「前立腺がん手術」や「腎がん手術」で使用します。従来の開腹手術や腹腔鏡下手術と違い、術後のQOLを低下させにくくまた、早期社会復帰が望める手術です。
体外衝撃波砕石装置
体外衝撃波砕石装置(2015年2月導入)
腎、尿管結石に対して体外から衝撃波で破砕し尿と一緒に体外へ出す治療です。身体を切らずに麻酔も必要ありません。基本的に日帰り治療で行っています。
バイポーラーTURシステム
バイポーラーTURシステム
前立腺肥大症や筋層非浸潤性膀胱腫瘍に対する経尿道的切除術で使用します。従来のモノポーラー型と異なり、生理食塩水を使用することができるため、TUR症候群を起こすことがなく、身体に優しい手術が可能となっています。
トイレ一体型尿流測定装置
トイレ一体型尿流測定装置
排尿状態を客観的に評価する尿流測定を行う器械です。従来型と異なり一見普通のトイレと同じです。普通にトイレで排尿するように尿流測定ができるため、患者さんには非常に好評です。