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産婦人科

診療

2017年度はスタッフの異動があった。6月からは里吉雅恵が加わり念願であった常勤医が一人増員となり6人体制となった。黒田が4月で馬場と交代、その後8月から金が勤務となった。非常勤では水曜日の外来は佐藤まり子が、月金の外来は村岡友美子が担当している。

業務内容

産科

分娩方針はこれまでどおり、リスクを的確に把握し、リスクの低い妊婦さんには自然分娩を推奨している。2017年度の分娩数は592件であった。帝王切開率は昨年度より若干上昇し23.6%であった。(図1、表1、2)

当院は地域周産期センターの役割も担っており、2017年は8件の母体搬送を受け入れた。逆に他病院への搬送は2件であった。今年度の、産科の統計を表1に示す。30週未満の早産は今年度も発生しなかった。搬送の受け入れは、妊娠30週以降の切迫早産、子宮内胎児発育遅延、妊娠高血圧症候群などを中心に受け入れている。

助産師外来(パール外来)を導入し13年が経過した。院内助産も定着して行くことを見守りたい。外来の妊婦健診では、超音波スクリーニング、早産予防の取り組みを行っている。また、出生前診断について希望のある妊婦には専門助産師による出生前診断の相談外来を行っている。産後のメンタルヘルスケアへの取り組みとして、以前より産後うつ病のスクリーニングを行っている。リスクのある症例には産後2週間健診や電話訪問など行っている。

表1 2017年度産科統計

総計 583
帝王切開 138
  帝王切開率 23.67%
【合併症】
  常位胎盤早期剥離 3
  前置胎盤 6
  IUGR 1
  PIH 10
  双胎 9
早産 44
  30週未満 0
  30週0日〜34週6日 7
  35週0日〜36週6日 37
分娩時異常出血(1000ml以上) 64
  1000〜1499ml 39
  1500〜1999ml 16
  2000ml以上 9
吸引分娩 22
双胎経腟分娩 1

表2 帝王切開の適応

緊急帝王切開の適応
分娩停止 13
胎児機能不全 15
妊娠高血圧症候群 8
常位胎盤早期剥離 2
子宮内感染 3
41
選択的帝王切開の適応
前回帝切 52
骨盤位 13
前置・低置胎盤 8
筋腫核出後 10
双胎 9
子宮内胎児死亡 1
CPD 1
94

図1 分娩、帝王切開件数の年次推移

婦人科

表3に示すように、2017年度の婦人科手術件数は987件(術式別の総計)であった。年間手術件数は腹腔鏡手術:471件、子宮鏡手術:60件、レーザー手術:151件、骨盤臓器脱手術:72件となっている(表3)。腹腔鏡手術の内訳は、附属器の手術が最も多く、233件。子宮摘出術(LAVH/TLH)が159件。子宮筋腫核出術が56件となっている (図3、4) 。レーザー手術は子宮頸部上皮内癌には原則円錐切除を行っているが、中等度ないし高度異形成の症例にはレーザーによる蒸散術を日帰り手術で行っている。今年度は151件のCIN治療をレーザーで行ったことになる。骨盤臓器脱に対する手術術式としては、メッシュを用いたTVM手術と、ノンメッシュの従来法によるものがそれぞれ半数を占めていた。一時はほぼ全症例にメッシュを使用していたが、最近のトレンドを踏まえ従来の術式が復権してきた感がある。患者の年齢、身体的および社会的状況に応じて術式の選択をおこなっている。

子宮筋腫、子宮内膜ポリープに対する子宮鏡手術、過多月経に対するマイクロ波子宮内膜焼灼術(子宮鏡下子宮内膜焼灼術)は計60件施行した。

表3 2017年度手術術式別件数

産科手術
選択帝王切開術 83
緊急帝王切開術 48
シロッカー氏頸管縫縮術 2
帝王切開術(32週未満) 1
妊娠子宮摘出術(ポロー手術) 1
前置胎盤合併帝王切開術 6
卵管結紮術 1
外陰血腫除去術 1
胎盤用手剥離術 1
計144
婦人科手術
腹腔鏡下子宮付属器腫瘍摘出術 233
腹腔鏡下腟式子宮全摘術 159
腹腔鏡下子宮筋腫核出術 56
腹腔鏡下内膜症病巣除去術 12
腹腔鏡下子宮外妊娠手術 3
腹腔鏡下子宮附属器癒着剥離術 2
腹腔鏡下卵管形成術 2
腹腔鏡下試験開腹術 2
腹腔鏡下卵巣部分切除術 1
腹腔鏡下多嚢胞卵巣焼灼術 1
小計:腹腔鏡手術 471
腹式子宮全摘術 61
腹式子宮付属器腫瘍摘出術 31
子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 17
子宮筋腫摘出(核出)術(腹式) 10
子宮附属器癒着剥離術(開腹) 2
小計:良性開腹手術 121
卵巣癌手術 17
子宮悪性腫瘍手術 15
腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮体がん) 3
腟壁悪性腫瘍手術 1
リンパ節群郭清術(骨盤) 1
小計:進行癌手術 37
子宮頸部レーザー照射術 117
子宮膣部円錐切除術 34
小計:レーザー手術 151
流産手術 30
子宮内膜掻爬術 21
胞状奇胎除去術 3
子宮頚管ポリープ切除術 8
人工妊娠中絶(11週まで) 3
バルトリン腺腫瘍摘除術 2
女子外性器腫瘍摘出術 2
癒合陰唇形成術(筋層に及ばない) 2
処女膜切開術 2
尖圭コンジローマ手術 1
腟壁腫瘍摘出術 1
小計:腟式(掻爬など)手術 75
子宮内膜ポリープ切除術 36
子宮鏡下子宮筋腫摘出術 18
子宮鏡下子宮内膜焼灼術 6
小計:子宮鏡手術 60
子宮脱手術(腟壁形成+子宮全摘術)(腟式) 21
腟壁形成手術 21
膀胱脱手術(メッシュ使用) 20
腟断端挙上術(腟式) 5
腟閉鎖術(中央腟閉鎖術) 5
小計:骨盤臓器脱手術 72
計987

図2 手術術式別年次推移

図3 2017年腹腔鏡手術の内訳

図4 腹腔鏡手術の年次推移

研究活動

別掲のように、学会発表、講演など行った。継続しているトキソブラズマの先天感染について前向き臨床研究は継続して行っている。出版は来年度になるが、MEAに関する本と子宮頸部細胞診採取法に関する手引を出版予定である。

研究活動について

講演

  1. 西川 鑑:「リスク・ベネフィットを考えた子宮内膜症の治療選択」婦人科疾患治療Up to Date 講演II 、2月24日、札幌
  2. 西川 鑑:「子宮腺筋症アップデート」道北産婦人科医会学術講演会 特別講演、3月9日、旭川
  3. 西川 鑑:「症例から学ぶ 〜子宮内膜症・子宮腺筋症〜」子宮内膜症・子宮腺筋症ファーマシーフォーラム、5月15日、札幌
  4. 西川 鑑:「子宮内膜症の予防と治療」婦人科疾患フォーラム、5月22日、札幌
  5. 西川 鑑:「元気な赤ちゃんを産むために」プレママわくわくセミナー ハロー赤ちゃん!、5月29日、札幌
  6. 西川 鑑:「女性のライフステージとヘルスケア」北海道看護研究学会ランチョンセミナー、6月18日、札幌
  7. 西川 鑑:「意外と身近ながんと遺伝〜わかれば防げるがんもある〜 婦人科がんとその予防」第23回日本家族性腫瘍学会 市民公開講座、8月5日、札幌
  8. 西川 鑑:「生命倫理に関するもの」第一回母体保護法指定医研修会(1) 、8月6日、札幌
  9. 西川 鑑:「女性のライフステージと子宮内膜症 -Beyond infertility-」道南産婦人科医会 特別講演、10月13日、函館
  10. 西川 鑑:「子宮頸がん検診 細胞診・HPVのエビデンス」道北産婦人科医会 10月例会 特別講演、10月18日、旭川
  11. 西川 鑑:「子宮内膜症と女性のヘルスケア」臨床産婦人科フォーラム 講演、10月20日、札幌
  12. 西川 鑑:「元気な赤ちゃんを産むために」プレママわくわくセミナー ハロー赤ちゃん!、11月22日、札幌

座長・司会

  1. 西川 鑑(司会):第42回札幌市医師会医学会ポスターセッション、2月19日
  2. 西川 鑑(司会):北海道産婦人科医会総会、3月5日
  3. 西川 鑑(座長):第7回北海道GYN腹腔鏡セミナー 特別講演、6月10日
  4. 西川 鑑(総合司会):平成29年度産婦人科医師ウェルカムガイダンス、学術講演会、7月1日
  5. 西川 鑑(座長):北海道大学医学部名誉教授 水上 尚典 先生:「臓器による妊娠の記憶: 女性にとって恋は命懸け」NTT東日本札幌病院周産期セミナー 【特別講演】、7月21日
  6. 西川 鑑(司会):日産婦医会北海道ブロック協議会、9月10日
  7. 西川 鑑(座長)演者 塚田訓子:「子宮内膜症予防は思春期から〜フレックス処方を含むOC/LEPの可能性を考える〜」札幌市女性医療フォーラム 札幌グランドホテル 特別講演1、9月23日
  8. 二瓶岳人(座長)演者 西川 鑑:「子宮内膜症と女性のヘルスケア」臨床産婦人科フォーラム 講演、10月20日
  9. 西川 鑑(座長)演者 三重大学産婦人科 池田智明教授:「FGR・妊娠高血圧症候群に対する新治療」臨床産婦人科フォーラム 講演、10月20日

学会発表

  1. 4月13日〜16日、公益社団法人日本産科婦人科学会第69回学術講演会(広島)
    ポスター
    「当院における妊婦風疹・トキソプラズマ抗体保有率の検討」黒田 敬史、西川 鑑1、岡田 匡氷、水柿 祐子、清水亜由美、二瓶 岳人1 (NTT東日本札幌病院
    「全腹腔鏡下子宮全摘出術における膣からの摘出物回収方法の工夫と手術成績」西川 鑑1、水柿 祐子、黒田 敬史、清水亜由美、山中 郁仁、二瓶 岳人1、真里谷 奨(NTT東日本札幌病院1
  2. 7月16日〜18日、第53回 日本周産期・新生児医学会総会および学術集会 (パシフィコ横浜)
    ポスター
    「産褥期に大量性器出血を繰り返し子宮鏡下に切除しえた胎盤ポリープの一例」清水亜由美、黒田敬史、山中郁仁、西川鑑
  3. 7月27日〜29日、第59回公益社団法人日本婦人科腫瘍学会学術講演会(熊本)
    ポスター
    「癌性心内膜炎による心タンポナーデを発症した卵巣癌術後再発の1例」山中 郁仁
  4. 8月19日、第7回北海道産婦人科周術期合併症研究会
    一般講演
    「術中体位と合併症」馬場 敦志
  5. 10月28日、Chugai Gynecologic Cancer Symposium 2017 (札幌)
    〈一般演題〉
    「卵巣癌に対するアバスチン長期投与症例」金 美善
  6. 11月4-7日、European Gynecological Oncology Congress (Vienna, Austria)
    〈Poster Session〉
    Types and multiple infection of HPV are related to viral persistence and CIN recurrence after laser surgery
    Akira Nishikawa1, Tasuku Mariya, Atsushi Baba, Ayumi Shimizu, Ikuhito Yamanaka, Takehito Nihei1  (NTT East Sapporo Medical Center, Dept. Obstetrics and Gynecology1)
    〈E-Poster Session〉

    Types and multiple infection of HPV are related to viral persistence and CIN recurrence after laser surgery Akira Nishikawa1, Tasuku Mariya, Atsushi Baba, Ayumi Shimizu, Ikuhito Yamanaka, Takehito Nihei1  (NTT East Sapporo Medical Center, Dept. Obstetrics and Gynecology1)
  7. 性周期関連ホルモンのP-糖タンパク基質薬物体内動態に及ぼす影響
    坂上麻美、高橋健太、関沢祐一、大江利治、西川鑑、小林道也、齊藤浩司
    日本薬学会第126年会 (2006年3月、仙台)
  8. 性周期におけるP-糖たん白基質薬物の体内動態の変動-ガチフロキサシン(GFLX)の場合-
    高橋健太、坂上麻美、関沢祐一、大江利治、西川鑑、小林道也、齊藤浩司
    第19回北海道TDM研究会研究発表会(2005年11月、札幌)

著書

  1. 臨床医のための最新産科婦人科 吉村泰典、小西郁生編 分担執筆 西川 鑑 2017年、先端医療技術研究所

論文

  1. Umbilical cord extracts improve diabetic abnormalities in bone marrow-deriverd mesenchymal stem cells and increase their therapeutic effects on diabetic nephropathy. (Sci Rep.7(1):8484, doi:10.1038/s41598-017-08921-y, 2017 Aug)
    Nagaishi K1,2, Mizue Y1,2, Chikenji T1,2, Otani M2, Saijo Y1, Tsuchida H1, Ishioka S, Nishikawa A3, Saito T, Fujimiya M1,2
    (Second Department of Anatomy, Sapporo Medical University1, Department of Diabetic Cellular Therapeutics, Sapporo Medical University2,ical Pathology, Department of Gynecology and Obstetrics, NTT Sapporo Hospital3)
  2. Cell competition with normal epithelial cells promotes apical extrusion of transformed cells through metabolic changes.
    Kon S, Ishibashi K, Katoh H, Kitamoto S, Shirai T, Tanaka S, Kajita M, Ishikawa S, Yamauchi H, Yako Y, Kamasaki T, Matsumoto T, Watanabe H, Egami R, Sasaki A, Nishikawa A, Kameda I, Maruyama T, Narumi R, Morita T, Sasaki Y, Enoki R, Honma S, Imamura H, Oshima M, Soga T, Miyazaki JI, Duchen MR, Nam JM, Onodera Y, Yoshioka S, Kikuta J, Ishii M, Imajo M, Nishida E, Fujioka Y, Ohba Y, Sato T, Fujita Y.
    Nat Cell Biol. 2017 May;19(5):530-541.

講義

  1. 西川 鑑:札幌医科大学医学部 子宮体部の良性・悪性疾患、4月27日