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心臓血管外科

人の動き

心臓血管外科は副院長 松浦弘司(58期)、部長 瀧上 剛(65期)、医長 松崎賢司(68期)の3人体制で2017年も人員の変更はありませんでした。作年は、2年目研修医の原田裕輔先生(3月から合計7か月間、そして2018年1-3月)、高橋琢哉先生(8、11月の2か月間)と当科研修に来られました。原田先生は当院研修後は心臓血管外科医師を目指し、後期研修は手稲渓仁会病院で行う予定、高橋先生は関東の病院で外科の後期研修を予定しており前途悠々な若いお二人が年老いたスタッフの面倒を見、また当科を盛り上げていってくれました。今後のお二人のご活躍を祈念いたします。

業務内容

2017年1月1日から12月31日までの手術総数は214例で、ここ数年大きく変わりません。心臓・胸部大血管手術総数は63例、人工心肺使用症例+OPCABは56例でほぼ昨年と同数でした。手術による病院死亡は弁膜症1例、大血管症例1例の計2例でした。

手術症例の傾向として、虚血性心疾患、弁膜症疾患、大動脈疾患はほぼ均等にありました。(表2, 3, 4)。弁膜症は21例で、単弁手術のほか、複合弁膜症あるいは虚血性心疾患や、不整脈に対する手術の合併例で、再弁置換症例も2例ありました(表2)。大動脈弁置換術のActive IE症例を術翌日に脳出血で失いました。感染性脳動脈瘤の破裂が原因ではないかと考えています。虚血性心疾患では、後壁梗塞のVSPに対して右室切開よりdouble patch法で閉鎖した症例を経験しました(表3)。胸部大血管疾患は17例で約半分が大動脈解離症例で緊急手術はA型解離3例、腕頭動脈瘤破裂1例、慢性B型解離の破裂1例(TEVAR)でした。A型解離の症例でIliac以下のmalperfusion症例が2例あり、1例は数日経過していたため血行再建することができなく、臀部から下の虚血がひどく両下肢の切断と、臀部の壊死潰瘍となりましたが救命はしました。もう一例は上行・弓部置換施行後もIliacの血流の再開が得られず、F-F bypassを追加施行しました。定期手術で弓部置換術症例の1例を術後LOSで失いました(表4)。末梢血管疾患(表5)は、腹部大動脈以下の末梢動脈疾患が54例、下肢静脈瘤を含む静脈疾患が64例、透析用の内シャント症例が12例で合計132例でした。腹部大動脈瘤および腸骨動脈瘤は26例で、うち腹部大動脈瘤ステントグラフト(EVAR)は15例で、破裂例に対しても1例施行し経過は良好でした。EVAR後のリークに対する追加治療の症例は2例で、うち1例に開腹による人工血管置換を施行しました。末梢動脈症例は30例で、血管形成やbypass手術、stent留置を同時に施行するいわゆるハイブリッド治療は例年と同じぐらいでした。傾向として単独バイパス手術は少なくなり、下腿以下のdistal bypass症例は今年は無く、EVT治療が行われました。下肢静脈瘤に対する手術は57例で、そのうち54例にレーザー治療を行い、内視鏡下の穿通枝離断は2例に施行しました。ほとんどの症例でレーザー治療を行っています。また奇静脈瘤という稀な疾患に対して、胸腔鏡下に切除した症例を経験し地方会で原田先生に報告してもらいました。静脈血栓症に対するカテーテル溶解治療やステント留置などの治療も継続的に施行しています。

2017年も院内および、近隣の先生方から多くの症例のご紹介をいただき、大変感謝しております。また定期手術ならびに緊急手術にも対応していただいた麻酔科の先生方、手術場のスタッフ、さらに臨床工学士のスタッフをはじめたくさんの方々に支えてもらいながら我々は高齢ではありますが、心臓血管外科疾患の診療をこの一年も無事(?)やらい続けてこられたと感じております。この場を借りて御礼申し上げます。本年も多くの方々のご期待に沿えるよう日々診療に当たり、また最先端の情報を取り入れ時代に後れを取らぬようstuff一同一層の努力をさせていただき、さらに頑張っていきたいと考えております。

表1 手術症例数(2017年1月1日〜12月31日)

心疾患 人工心肺使用症例 45
OPCAB 11
TEVAR(人工心肺使用症例+OPCAB症例+TEVAR 63) 7
末梢動脈疾患(腹部大動脈以下) 56
静脈疾患 64
内シャント関連 12
ペースメーカー関連 1
その他 18
手術総数 214

表2 弁疾患、成人先天性心疾患、その他の開心術(24例、死亡1)

Valvlar disease MVR 1
re-MVR 1
MVR + 乳頭筋吊り上げ 1
MVR + Maze 1
MVP 1
MVP + Maze 1
MVR + TAP 1
AVR(primary isolated)m-3 b-(1)
re AVR 1
AVR + CABG 4
AVR + AsAo replace + Maze 1
AVR + MVR 1
AVR + MVR + CABG 1
AVR + MAP + Maze 1
AVR + TAP + ASD closure 1
TAP + CABG 1
Cardiac tumor LA myxoma 1
Congenital VSD 1
ASD + Maze 1

( ):死亡

表3 虚血性心疾患(22例、死亡0)

単独冠動脈バイパス術(20例)
Conventional CABG 6
(6枝2、 5枝 1、4枝 2、3枝 1)
On pump beatin g CABG 2
(3枝 1、4枝 1)
Off pump CABG 11
(4枝 4、3枝 3、 2枝 3、1枝 1)
OPCAB conversion to c-CABG 1
(4枝 1)
心筋梗塞後合併症に対する手術(2例)
CABG + MAP 1
(4枝 1)
VSP (posterior) closure 1

表4 胸部大動脈疾患(17例、死亡1)

解離性(8例)
急性A型解離 (3例)
上行置換 1 上行+弓部置換 1
Bentall +上行+弓部置換+Open Stent + CABG 1
慢性A型解離 (3例)
上行置換 1 弓部置換 + Open Stent 1
弓部部分置換+ Maze 1
慢性B型解離 (2例)
TEVAR(Rupture 1) 2
非解離性(9例)
弓部 (2例)
弓部+ Open Stent 1 弓部 + Open Stent + CABG 1(1)
下行 (5例)
TEVAR 2 Debranching TEVAR 3
胸腹部 (1例)
Graft replacement 1
腕頭動脈瘤破裂 (1例)
Graft replacement 1

( ):死亡

表5 末梢血管疾患(132例)

腹部および腸骨動脈領域(26例)
AAA及び腸骨動脈瘤 (26例)
EVAR (Rupture 1) 15 人工血管置換術 9
EVAR後Endoleakage 開腹、人工血管置換 1 EVAR後Endoleakage 開腹、腰動脈等処理 1
末梢動脈バイパス、形成 、血栓摘除、ステント治療(30例)
F-P(AK) bypass 3 F-P(BK) 3
EVT (Iliac stentなど) 10 FA形成 ± α 7
血栓摘除± α 3 Ax-Ax bypass (Subclavian steal Synd,) 1
その他(仮性動脈瘤修復、肝動脈再建、PCPS抜去) 3
静脈疾患(64例)
EVLA(+SEPS 1) 54 Stripping(+SEPS 1) 3
奇静脈瘤 1 その他(IVC filter+CDTなど) 6
透析内シャント作成 12
ペースメーカー関連 1
その他 18

研究活動について

全国学会

  1. 瀧上、剛、松崎賢司、松浦弘司:「ポスター 腹部大動脈瘤術後、遠隔期に特異な形で再手術を要しEVTが有効であった2例」第45回日本血管外科学会学術総会、2017.4.19-21、広島
  2. 瀧上、剛、松崎賢司、松浦弘司、森猛、神幸二、三森太樹、松居喜郎:「ポスター 生体弁による大動脈弁置換術、中等度人工弁位圧較差残存例の術直後および遠隔期の圧較差の変移」第47回日本心臓血管外科学会学術総会、2017.2.26-3/1、東京
  3. 松浦弘司:「ポスター(成人心臓2)大動脈弁1」座長、第70回日本胸部外科学会学術総会、2017/9/26-9/29、札幌
  4. 松崎賢司、瀧上剛、松浦弘司:「ポスター 左下肢深部静脈血栓症で発症した後腹膜線維症の1例」第37回日本静脈学会総会、2017/6/、徳島
  5. 松崎賢司、瀧上剛、松浦弘司、葛目将人、濱口早苗、乗安和将、川嶋望、宮本憲行:「ポスター 化膿性心外膜炎に続発した感染性胸部大動脈瘤に対してTEVARを施行した1例」第58回日本脈管学会総会、2017/10/17、名古屋

地方会

  1. 松崎賢司、原田裕輔、瀧上剛、松浦弘司:「一般演題、左下肢深部静脈血栓症で発症した後腹膜線維症の1例」第37回日本血管外科学会北海道地方会、2017/9/17、札幌
  2. 松崎賢司、原田裕輔、瀧上剛、松浦弘司:「一般演題、上腕尺側皮静脈橈側転位法による内シャント作成術」第37回日本血管外科学会北海道地方会、2017/9/17、札幌
  3. 原田裕輔、松崎賢司、瀧上剛、松浦弘司:「一般演題、胸腔鏡手術で切除した奇静脈瘤の一例」第102回日本胸部外科学会北海道地方会、2017/9/17、札幌

その他

  1. 松崎賢司:「一般口演 静脈血栓症の診断と治療」心血管地域医療連携講演会、2017/1/17、札幌
  2. 松崎賢司、瀧上剛、松浦弘司、葛目将人、濱口早苗、乗安和将、川嶋望、宮本憲行:「一般口演 化膿性心外膜炎に続発した感染性胸部大動脈瘤に対してTEVARを施行した1例」Endovascular Surgery Forum in Hokkaido、2017/5/17、札幌
  3. 松崎賢司:「一般口演 Endurantの補助デバイスを用いたEVAR」札幌ステントグラフト研究会、17-Jul、札幌
  4. 松崎賢司:「一般口演 下肢静脈瘤について」男性ストッキングコンダクター講習会、2017/8/17、札幌
  5. 松崎賢司、瀧上剛、松浦弘司:「一般口演 下行置換30年後の吻合部瘤」血管外科交流会、2017/10、名古屋