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外科・呼吸器外科

診療・業務内容

2017年は井上医師が3月までの勤務を終えられ、北海道大学消化器外科IIへ帰局されました。新たに、4月より北海道大学での臨床研修を終えて桐山医師、10月より北見赤十字病院より猪子医師が赴任しました。手術数増加に伴い常勤医師6名に増員となり、外来、手術、病棟診療を行っています。臨床研修医6名が外科研修を行いました。

外来は毎日午前2診体制にしております。水曜午後は検査、セカンドオピニオン、ストーマ外来などの予約外来です。乳腺外来は月火水金の午前行っています。週に3回は検診センターでの乳癌検診も担当しています。第3日曜午前にNTTサンデーマンモ乳がん検診を開始し、平日は仕事や家事でお忙しい方にご利用いただいています。

2017年の手術件数は822件と過去最多となっております。悪性腫瘍手術数は肺癌88件(胸腔鏡手術75件)、乳癌143件、胃癌32件(腹腔鏡手術31件)、大腸癌85件(腹腔鏡手術72件)、肝癌16件(腹腔鏡手術9件)、膵・胆道癌6件でした。悪性腫瘍以外では胆石症76件(腹腔鏡手術全例)、ヘルニア82件(腹腔鏡手術64件)、虫垂炎37件(腹腔鏡手術36件)でした。

消化器領域

当院では外科専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医、消化器外科専門医が責任を持って体に負担の少ない内視鏡手術を多くの症例で安全に行っております。からだを大きく切る手術ではなく、小さいキズからカメラ(手術用内視鏡)で覗きながら行う腹腔鏡手術を、胆石、ヘルニア、胃癌、大腸癌、肝臓、膵臓など多くの疾患で行っています。

胃癌、大腸癌に対して、消化器内科によるカメラでの治療が非常に多く行われています。病状の進行程度によりカメラではなく手術が必要となる症例を綿密に把握し、侵襲の少ない腹腔鏡手術を積極的に行っています。また、肝臓手術も現在ではキズの少ない腹腔鏡手術が6割を占めるようになり、手術後の回復も非常に早くなっています。

更に、患者さんの負担を極限まで低減したへそ1箇所のキズで手術する単孔式内視鏡手術を胆石症、虫垂炎、ヘルニア、大腸癌、食道良性疾患、肝嚢胞、膵腫瘍など多くの症例で行っています。若い方はもちろん高齢な方や持病がある方などには体に負担の少ない内視鏡手術が最適と考えています。

小児ソケイヘルニアに対しても腹腔鏡下ヘルニア根治術を行っております。腹腔鏡での観察により、今まで分からなかった反対側のヘルニア門の閉鎖も同時に行うことが可能になっております(7割の患児に両側のヘルニアを認めております)。

乳腺領域

乳癌の診断と治療、乳癌検診を主体として診療を行っています。北海道内でも有数の症例数を治療しながらも「美容面」に配慮することはもちろん、正確な診断と、エビデンスに基づいた最新の治療を患者さんの立場に立って相談しながら実践しています。術前診断、術前化学療法、手術、放射線治療、術後内分泌治療あるいは化学療法など、総合病院ならではの一貫した治療が可能となっております。また術後のフォローアップも重要と考え、計画的に協力医療機関と連携をとりながら行っております。センチネルリンパ節生検にRIと色素併用法を併用し、術中より正確な転移診断を行っております。乳腺専門医、外科専門医、放射線治療専門医、病理専門医が緊密な関係を保ちながら治療に当たれるよう心掛けています。

呼吸器外科領域

肺癌を中心として転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍等の悪性疾患、気胸や膿胸等の良性疾患の手術治療を行っています。院内のみならず院外からの紹介症例など北海道内でもトップクラスの手術治療を行っております。疾患の種類に関わらず胸腔鏡手術を積極的に導入しており、2017年の呼吸器外科手術症例のうち117/131、約90%を胸腔鏡で行いました。従来多くの施設で行われてきた開胸手術と比較すると術後疼痛も少なく、全身状態の回復も速やかで、術後在院期間は平均5-6日です。当院には常勤の呼吸器外科専門医が勤務しており、あらゆる呼吸器疾患に対する手術が可能となっております。

救急疾患

虫垂炎、急性胆嚢炎、消化管穿孔、腹膜炎、自然気胸などに対して早期治療目的に緊急手術を行っております。急性胆嚢炎に対しては、早期腹腔鏡手術を行うことにより、入院期間の短縮、開腹移行の減少が得られています。消化管穿孔、腹膜炎に対しては、ICU、持続透析、エンドトキシン吸着、呼吸管理など関係各科の協力のもとに集中管理を行い救命に努めております。2017年は、手術数増加に伴い麻酔科、手術室をはじめ各部署の協力のもと94例の緊急手術を行っております。

2013年〜2017年 年間手術件数

[単位:件]
  2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
総数 480 422 646 729 822
胃癌 25(17) 24(16) 25(22) 34(30) 32(31)
大腸癌 40(30) 52(38) 68(63) 66(56) 85(72)
肝癌 8(0) 6(1) 10(4) 16(10) 16(9)
乳癌 49 34 92 151 143
肺癌 13(9) 3(3) 27(25) 38(37) 88(75)
膵・胆道癌 7 12 6 6 6
脾臓疾患 2(2) 5(5) 3(3) 2(2) 4(4)
胆石 59(59) 69(69) 93(92) 92(91) 76(76)
ヘルニア 70(17) 64(43) 80(51) 64(47) 82(64)
虫垂炎 20(17) 28(28) 29(28) 34(34) 37(36)

()内は内視鏡手術数を表します。

2013年〜2017年 緊急手術件数

[単位:件]
  2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
緊急手術総数 36 48 85 97 94
急性虫垂炎 7 13 24 20 23
急性胆嚢炎 1 7 19 16 10
腹膜炎 12 12 13 13 17
腸閉塞 6 6 7 9 6
気胸、膿胸 2 0 10 18 26
その他 8 10 12 21 12

2006年〜2017年 年間手術件数

研究活動について

論文発表

  1. Homma T, Manabe O, Ichinokawa K, Yamashita H, Oyama-Manabe N, Kato F, Hirata K, Kroenke M, Tamaki N.
    Breast cancer detected as an incidental finding on 99mTc-MIBI scintigraphy. Acta Radiol Open 2017;6
  2. Sato S, Nakamura T, Katagiri T, Tsuchikawa T, Kushibiki T, Hontani K, Takahashi M, Inoko K, Takano H, Abe H, Takeuchi S, Ono M, Kuwabara S, Umemoto K, Suzuki T, Sato O, Nakamura Y, Hirano S. Molecular targeting of cell-permeable peptide inhibits pancreatic ductal adenocarcinoma cell proliferation. Oncotarget 2017;8:113662-113672
  3. Hontani K, Tsuchikawa T, Hiwasa T, Nakamura T, Ueno T, Kushibiki T, Takahashi M, Inoko K, Takano H, Takeuchi S, Dosaka-Akita H, Kuwatani M, Sakamoto N, Hatanaka Y, Mitsuhashi T, Shimada H, Shichinohe T, Hirano S. Identification of novel serum autoantibodies against EID3 in non-functional pancreatic neuroendocrine tumors. Oncotarget 2017;8:106206-106221
  4. 山田秀久. 腹腔鏡下肝臓手術の導入成績. 札幌市医師会医学会誌 2017;42:109-110

国際学会

  1. Domen H, Hida Y, Shionoya Y, Kiriyama K, Furukawa S, Ichinokawa K, Yamada H. A case of resected cervicomediastinal lipoma. 21st Asian Congress of Surgery 2017, Tokyo
  2. Domen H, Hida Y, Inoue A, Furukawa S, Ichinokawa K, Yamada H. Resecte case of thymic large cell neuroendocrine carcinoma. 21st Asian Congress of Surgery 2017, Tokyo
  3. 3. Domen H, Hida Y, Inoue A, Furukawa S, Ichinokawa K, Yamada H. Resected lung typical carcinoid showing high fluorodeoxyglucose uptake in positron emission tomography. 21st Asian Congress of Surgery 2017, Tokyo

全国学会

  1. 山田秀久、市之川一臣、道免寛充、古川聖太郎、井上綾乃:腸瘻造設後合併症の2例. 第32回日本静脈経腸栄養学会、2017、岡山
  2. 山田秀久、市之川一臣、道免寛充、古川聖太郎、井上綾乃:急性胆嚢炎に対する早期腹腔鏡下胆嚢摘出術の手術成績. 第53回日本腹部救急医学会、2017、横浜
  3. 山田秀久、市之川一臣、道免寛充、古川聖太郎、桐山琴衣:T4乳癌症例に対する外用療法:Mohs軟膏と亜鉛華デンプンの使用経験. 第22回日本緩和医療学会、2017、横浜
  4. 山田秀久、市之川一臣、道免寛充、古川聖太郎、桐山琴衣:特発性血小板減少性紫斑病に対するReduced port腹腔鏡下脾臓摘出術の成績. 第72回日本消化器外科学会、2017、金沢
  5. 市之川一臣、山田秀久、道免寛充、古川聖太郎、井上綾乃:Trastuzumab + Pertuzumab + Paclitaxel併用療法が長期奏功しているHER2陽性転移性乳癌の2例. 第25回日本乳癌学会、2017
  6. 道免寛充、樋田泰浩、井上綾乃、古川聖太郎、市之川一臣、山田秀久:胸腺大細胞神経内分泌眼の一切除例. 第57回日本呼吸器学会、2017、東京
  7. 道免寛充、樋田泰浩、井上綾乃、古川聖太郎、市之川一臣、山田秀久:気管支背側に右後上葉区静脈(V2)破格を認めた右肺癌の3例. 第117回日本外科学会、2017、横浜
  8. 道免寛充、樋田泰浩、井上綾乃、古川聖太郎、市之川一臣、山田秀久:頚縦隔型脂肪腫の1切除例. 第34回日本呼吸器外科学会、2017、福岡
  9. 道免寛充、樋田泰浩:切除標本CT像による触知困難肺病変の切除マージンの評価(第2報). 第70回日本胸部外科学会、2017、札幌
  10. 道免寛充、樋田泰浩、井上綾乃、古川聖太郎、市之川一臣、山田秀久:FDG高集積を示した肺定型カルチノイドの一切除例. 第58回日本肺癌学会、2017、横浜
  11. 道免寛充、大高和人、桐山琴衣、古川聖太郎、市之川一臣、山田秀久:胸腺腫術後に赤芽球癆とGood症候群を発症した一例. 第79回日本臨床外科学会、2017、東京
  12. 道免寛充、桐山琴衣、古川聖太郎、市之川一臣、山田秀久:大腸癌肝転移に対する化学療法施行中に生じた肺膿瘍に対し早期に施行した胸腔鏡手術が奏功した一例. 第79回日本臨床外科17、東京
  13. 井上綾乃、山田秀久、市之川一臣、道免寛充、古川聖太郎:Stage IV 進行大腸癌に対する腹腔鏡下手術の有用性について. 第117回日本外科学会、2017、横浜
  14. 桐山琴衣、野路武寛、梅本一史、植村慧子、斉藤博樹、田中公貴、中西喜嗣、浅野賢道、中村透、土川貴裕、岡村圭祐、平野聡:門脈合併切除を要した巨大漿液性嚢胞腺腫の1例. 第48臓学会、2017、京都
  15. 桐山琴衣、山田秀久、市之川一臣、道免寛充、古川聖太郎、猪子和穂:Reduced Port Laparoscopic Surgery for Spleen Diseases. 第30回日本内視鏡外科学会、2017、京都
  16. 敷島裕之、川田将也、市之川一臣、山田秀久: 無床乳腺専門クリニックにおける病診連携の現状と今後の課題. 第25回日本乳癌学会、2017、福岡
  17. 敷島裕之、川田将也、市之川一臣:当院における若年性乳がんの検討. 第27回日本乳癌検診学会、2017、徳島
  18. 東山結美、石田直子、市之川一臣、馬場基、萩尾加奈子、押野智博、笠原里紗、奈良美也子、加藤扶美、中智昭、山下啓子:術後早期に局所再発し急速増大をきたした巨大葉状腫瘍の1回日本乳癌学会、2017、福岡
  19. 高橋琢哉、山田秀久、桐山琴衣、古川聖太郎、道免寛充、高桑康成:慢性膵炎に併発した碑破裂の1例. 第9回Acute care surgery学会、2017、札幌

地方会

  1. 山田秀久、市之川一臣、道免寛充、古川聖太郎、井上綾乃:腹腔鏡下肝臓手術の導入成績. 第42回札幌市医師会医学会、2017、札幌
  2. 山田秀久、市之川一臣、道免寛充、古川聖太郎、桐山琴衣、敷島裕之:乳腺原発腺様嚢胞癌の1例. 第15回日本乳癌学会地方会、2017、札幌
  3. 市之川一臣、山田秀久、道免寛充、古川聖太郎、桐山琴衣、敷島裕之:基幹病院とクリニックの地域連携【第2報】. 第15回日本乳癌学会地方会、2017、札幌
  4. 市之川一臣:症例報告. 乳腺を語る会、2017、札幌
  5. 市之川一臣:乳癌肺転移の1例. 第4回道東地区乳腺疾患勉強会、2017、帯広
  6. 道免寛充、樋田泰浩、桐山琴衣、古川聖太郎、市之川一臣、山田秀久:術前3D-CTで右後上葉区静脈(V2)破格を認識し安全に胸腔鏡下肺葉切除を施行し得た4例. 第23回北海道内視鏡会、2017、札幌
  7. 山田 秀久、他:急性胆嚢炎に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術の治療成績.第41回札幌市医師会医学会、2016.2.21、札幌
  8. 井上綾乃、山田秀久、市之川一臣、道免寛充、古川聖太郎:StageW進行大腸癌に対する腹腔鏡下手術の有用性について. 第106回北海道外科学会、2017、札幌
  9. 桐山琴衣、山田秀久、市之川一臣、道免寛充、古川聖太郎:単孔式腹腔鏡下脾臓固定術を施行した遊走脾の1例. 第111回日本臨床外科学会地方会、2017、釧路
  10. 桐山琴衣、山田秀久、市之川一臣、道免寛充、古川聖太郎、猪子和穂:外科研修医から始めるやさしいTEP. 第10回日本ヘルニア学会地方会、2017、札幌
  11. 桐山琴衣、山田秀久、市之川一臣、道免寛充、古川聖太郎、猪子和穂、佐藤昌明、高桑康成:アファチニブによる薬剤性腸炎を生じた1例. 第112回日本臨床外科学会地方会、2017、札幌
  12. 敷島裕之、川田将也、市之川一臣、山田秀久:当院における若年性乳がん手術症例の検討.第15回日本乳癌学会地方会、2017、札幌

座長

  1. 山田秀久: 一般口演 腹腔鏡・その他. 第106回北海道外科学会、2017、札幌
  2. 山田秀久: ポスター ヘルニア25. 第30回日本内視鏡外科学会、2017、京都
  3. 市之川一臣:一般口演 症例-2. 第15回日本乳癌学会地方会、2017、札幌

講師

  1. 市之川 一臣:平成28年度北海道マンモグラフィ読影(新規)講習会講師、2017、札幌