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産婦人科

診療

2016年度のスタッフの異動では、池田は生殖医療の研修目的で国内留学のため異動した。交代で帯広協会病院から黒田が着任した。10月から小樽協会病院から山中が着任したが、11月に水柿が札幌医大へ戻ることになった。非常勤では水曜日の外来は佐藤まり子が、月金の外来は村岡友美子が担当している。

業務内容

産科

分娩方針はこれまでどおり、リスクを的確に把握し、リスクの低い妊婦さんには自然分娩を推奨している。2016年度の分娩数は592件であった。帝王切開率は昨年度と同様に22%であった。(図1、表1、2)

当院は地域周産期センターの役割も担っており、2016年は8件の母体搬送を受け入れた。逆に他病院への搬送は2件であった。今年度の、産科の統計を表1に示す。30週未満の早産は今年度はみられなかった。

助産師外来(パール外来)を導入し12年が経過した。昨年度からさらに一歩踏み出し、長年の懸案である院内助産がスタートした。まだ、院内助産で出産した妊婦さんはごく少数だが見守っていきたい。外来の妊婦健診では、超音波スクリーニング、早産予防の取り組みを行っている。また、出生前診断について希望のある妊婦には専門助産師による出生前診断の相談外来を行っている。産後のメンタルヘルスケアへの取り組みとして、産後うつ病のスクリーニングを行っている。リスクのある症例には産後2週間健診や電話訪問など行っている。搬送の受け入れは、妊娠30週以降の切迫早産、子宮内胎児発育遅延、妊娠高血圧症候群などを中心に受け入れている。

表1 2016年度産科統計

総計 592
帝王切開 131
  帝王切開率 22.10%
【合併症】
  常位胎盤早期剥離 3
  前置胎盤 5
  IUGR 1
  PIH 24
  双胎 9
早産 51
  30週未満 0
  30週0日〜34週6日 11
  35週0日〜36週6日 40
分娩時異常出血(1000ml以上) 64
  1000〜1499ml 37
  1500〜1999ml 17
  2000ml以上 10
吸引分娩 33
双胎経腟分娩 0

表2 帝王切開の適応

緊急帝王切開の適応
分娩停止 18
胎児機能不全 14
妊娠高血圧症候群 10
常位胎盤早期剥離 3
子宮内感染 3
早産 3
51
選択的帝王切開の適応
前回帝切 29
骨盤位 18
前置・低置胎盤 7
筋腫核出後 7
双胎 6
子宮内胎児死亡 2
筋腫合併 2
中隔子宮 1
CPD 1
73

図1 分娩、帝王切開件数の年次推移

婦人科

表3に示すように、2016年度の婦人科手術件数は892件(術式別の総計)であった。年間手術件数は腹腔鏡手術:422件、子宮鏡手術:63件、レーザー手術:160件、骨盤臓器脱手術:59件となっている(表3)。腹腔鏡手術の内訳は、附属器の手術が最も多く、211件。子宮摘出術(LAVH/TLH)が148件。子宮筋腫核出術が39件となっている(図3、4)。レーザー手術は子宮頸部上皮内癌には原則円錐切除を行っているが、中等度ないし高度異形成の症例にはレーザーによる蒸散術を日帰り手術で行っている。今年度は160件のCIN治療をレーザーで行ったことになる。骨盤臓器脱に対する手術術式としては、メッシュを用いたTVM手術と、ノンメッシュの従来法によるものがそれぞれ半数を占めていた。

子宮筋腫、子宮内膜ポリープに対する子宮鏡手術、過多月経に対するマイクロ波子宮内膜焼灼術(子宮鏡下子宮内膜焼灼術)は計63件施行した。外来に導入した細径子宮鏡システムにより即日、外来での直視下バイオプシーができ、さらにハサミ鉗子による簡単な手術も可能となっている。

表3 2016年度手術術式別件数

産科手術
選択帝王切開術 56
緊急帝王切開術 53
シロッカー氏頸管縫縮術 4
前置胎盤合併帝王切開術 3
卵管結紮術 4
外陰血腫除去術 3
胎盤用手剥離術 1
計124
婦人科手術
腹腔鏡下子宮付属器腫瘍摘出術 211
腹腔鏡下腟式子宮全摘術 148
腹腔鏡下子宮筋腫核出術 39
腹腔鏡下内膜症病巣除去術 18
腹腔鏡下子宮外妊娠手術 6
小計:腹腔鏡手術 422
腹式子宮全摘術 47
腹式子宮付属器腫瘍摘出術 21
腹式子宮筋腫核出術 5
腹腔膿瘍手術 0
小計:良性開腹手術 73
卵巣癌手術 25
子宮体部癌手術 5
腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術 8
子宮頸部癌手術 2
女性外性器悪性腫瘍手術 0
小計:進行癌手術 40
子宮頸部レーザー照射術 114
子宮膣部円錐切除術 46
小計:レーザー手術 160
流産手術 35
子宮内膜掻爬術 22
胞状奇胎除去術 4
子宮頚管ポリープ切除術 4
バルトリン腺腫瘍摘除術 5
尖圭コンジローマ手術 5
外陰血腫除去術 0
小計:腟式(掻爬など)手術 75
子宮鏡下子宮筋腫核出術(内膜ポリープを含む) 52
子宮鏡下子宮内膜焼灼術 11
小計:子宮鏡手術 63
子宮脱手術(膣閉鎖含む) 59
小計:骨盤臓器脱手術 59
計892

図2 手術術式別年次推移

図3 2016年腹腔鏡手術の内訳

図4 腹腔鏡手術の年次推移

研究活動

神戸大学との共同研究により長期間にわたってトキソプラズマの先天感染のスクリーニングに関する臨床研修を継続している。2016年は日本周産期新生児学会のシンポジウムで発表した。HPVワクチンの現況について日本ウイルス学会のシンポジウムで発表した。CINに対するレーザー治療の成績は臨床細胞学会、日本産婦人科学会、性感染症学会などで報告を続けている。今年度は、その成果を英文雑誌で発表した。北日本産婦人科学会では黒田の発表が優秀演題として表彰された。

研究活動について

講演

  1. 西川鑑:「子宮内膜症、いつ手術するの?」札幌市産婦人科医会学術講演会 特別講演 札幌プリンスホテル 国際館パミール、2月6日
  2. 西川鑑:「産婦人科の日常業務〜輸液の使用場面について〜」大塚製薬工場社内研修会、2月15日
  3. 西川鑑:「子宮内膜症治療の最新エビデンス」日本新薬社内研修会、2月17日
  4. 西川鑑:「倫理に関するもの」平成27年度第4回母体保護法指定医師研修会、2月26日
  5. 西川鑑:「子宮頸がんについて」中外製薬社内研修会、3月2日
  6. 西川鑑:「過多月経に対するマイクロ波治療」バイエル薬品 社内研修会、3月14日
  7. 西川鑑:「プレママわくわくセミナー ハロー赤ちゃん!」「元気な赤ちゃんを産むだめに」、4月25日
  8. 西川鑑(座長)、演者 熊切順先生 順天堂大学:「パラレル法による婦人科腹腔鏡手術」第6回腹腔鏡手術勉強会 北海道GYN 腹腔鏡セミナー 特別講演、7月2日
  9. 西川鑑:「TLH の術前薬物療法と子宮摘出のTIPS」 札幌市産婦人科勤務医会 講演 ホテルさっぽろ芸文館、7月21日
  10. 西川鑑:「過多月経の診断と治療 UP TO DATE」 室蘭ミレーナセミナー 特別講演 ホテルサンルート室蘭、7月29日
  11. 西川鑑:「目で見る婦人科手術の実際 子宮全摘術と骨盤臓器脱編」 院内勉強会、8月5日
  12. 西川鑑:「(1)生命倫理に関するもの」 母体保護法指定医師研修会 札幌、8月7日
  13. 西川鑑:「目で見る婦人科手術の実際」 科研製薬社内勉強会、2016.11.1
  14. 西川鑑:「『最新の過多月経治療について』過多月経の低侵襲外科治療としてのマイクロ波子宮内膜焼灼術(MEA)」 札幌市産婦人科医会学術講演会 特別講演 札幌グランドホテル 本館2階 金枝の間、平成28年11月12日

座長・司会

  1. 西川鑑(司会):第41回札幌市医師会医学会ポスターセッション、2月21日
  2. 渡利英道、西川鑑(座長):「婦人科悪性腫瘍の標準治療」 第12回日本癌治療学会アップデート教育コース、5月28日
  3. 西川鑑(総合司会):平成28年度産婦人科新人医師ウェルカム・ガイダンス、学術講演会 ニューオータニイン札幌、7月23日
  4. 西川鑑( 座長):Chugai Gynecologic cancer Symposium 2016 in Sapporo 一般演題、7月30日
  5. 西川鑑(座長)、演者 塚田訓子:「OC/LEPは女性のミカタ!〜適正処方で毎日を健やかに〜」 札幌市女性医療フォーラム 特別講演1 札幌グランドホテル、9月10日
  6. 西川鑑(座長):2016年 北海道出生前診断研究会第19回大会 一般演題、平成28年11月12日

学会発表

  1. The 13th International Congress of Human Genetics(Kyoto・Apr.3-7, 2016)Genetic counseling for recurrent miscarriage patients with abnormalities of chromosome structure who have already had live children with duplication or deletion of the involved chromosomal region Toshiaki Endo, Tsuyoshi Baba, Masahito Mizuuchi, Mizue Teramoto, Shinichi Ishioka, Aki Ishikawa1, Akihiro Sakurai1,Tamotsu Kiya2, Akira Nishikawa3, Osamu Moriwaka4, Hiroshi Hata5, Takema Kato6, Hiroki Kurahashi6, Yuko Takasu, Tsuyoshi Saito (Medical Genetics, Sapporo Medical University1,Ena Ladies’ Clinic2, NTT East Japan Hospital, Sapporo3, Kamiya Ladies’Clinic4, Oyachi Ladies’Clinic5, Molecular Genetics, Fujita Health University6)
  2. 第90回日本感染症学会総会・学術講演会(仙台・2016年4月15日〜16日)
    一般演題(口演)「当院にて手術科料した子宮頸部異型性334例における術前術後HPV 型別感染状況に関する検討」
    真里谷奨、西川鑑1、阿部秀悦、水柿祐子、黒田敬史、山下亜矢2、池田桂子、清水亜由美、二瓶岳人1、齋藤豪(NTT東日本札幌病院1、帯広協会病院感染制御部2
  3. 4月22日 日本産科婦人科学会第68回学術講演会 東京
    「CIN3に対するレーザー蒸散と円錐切除の長期予後の比較」
    西川鑑1、真里谷奨、黒川晶子、清水亜由美、池田桂子、二瓶岳人1(NTT東日本札幌病院1
    「50g Glucose Challenge Test の養成的中率とその予後についての検討」
    水柿祐子、黒川晶子、清水亜由美、池田桂子、二瓶岳人1、西川鑑1(NTT東日本札幌病院1
  4. 7月2日 第6回腹腔鏡手術勉強会 北海道GYN腹腔鏡セミナービデオディスカッション TLH のピットフォールとこだわり「膣からの摘出子宮回収法」西川鑑
  5. 7月15-17日 第52回日本周産期・新生児学会総会 富山
    一般演題「加熱不十分な鹿肉摂取により感染したと考えられたトキソプラズマ感染7症例の検討」
    清水亜由美1、西川鑑1、平久進也2、谷村憲司2、山田秀人2(NTT 東日本札幌病院1、神戸大学産婦人科2
    シンポジウム2「母子感染対策の最前線2016年」
    IgG AVIDITY とPCR 法を用いた先天性トキソプラズマ感染症の管理、西川鑑1、平久進也2、谷村憲司2、清水亜由美1、山田秀人2(NTT東日本札幌病院産婦人科1、神戸大産婦人科2
  6. 7月30日 第14回北海道周産期談話会
    一般演題「当院における過去11年の妊婦風疹抗体保有率の検討」NTT東日本札幌病院 産婦人科 水柿祐子、岡田匡氷、黒田敬史、清水亜由美、二瓶岳人、西川鑑
    「当院における妊婦のトキソプラズマ抗体保有率の現況」NTT 東日本札幌病院 産婦人科 岡田匡氷、水柿祐子、黒田敬史、清水亜由美、二瓶岳人、西川鑑
  7. 7月30日 Chugai Gynecologic cancer Symposium 2016 in Sapporo
    「当院における卵巣癌・卵管癌・腹膜癌に対するベバシズマブ使用症例の検討」水柿祐子1、黒田敬史1、清水亜由美1、二瓶岳人1、真里谷奨2、西川鑑1(NTT 東日本札幌病院 産婦人科1、帯広協会病院2
  8. 第56回日本産科婦人科内視鏡学会学術講演会(長崎・2016年9月1日〜3日)
    「腹腔鏡下に診断し手術を施行した卵管水腫茎捻転の2症例」黒田敬史、西川鑑1、水柿祐子、清水亜由美、二瓶岳人1(NTT東日本札幌病院 産婦人科1
  9. 第64回北日本産科婦人科学会総会・学術講演会(札幌・2016年9月17日〜18日)
    「当院におけるマイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)115例の治療成績」黒田敬史、西川鑑1、水柿祐子、清水亜由美、二瓶岳人1(NTT東日本札幌病院 産婦人科1
    「当院における卵巣癌・卵管癌・腹膜癌に対するベバシズマブ使用症例の検討」水柿祐子、黒田敬史、清水亜由美、二瓶岳人1、西川鑑1(NTT東日本札幌病院 産婦人科1
  10. 10月25日 October 25, 2016, Sapporo 64th Annual Meeting of the Japanese Society for Virology Symposium 6 Recently introduced virus vaccines, their efficacy and problems Uterine cervical cancer and HPV vaccine in Japan: the efficacy and problems. Akira Nishikawa, MD, PhD, NTT East Sapporo Medical Center
  11. 11月19日 第55回日本臨床細胞学会秋季大会 別府
    「CIN3における子宮頸部レーザー蒸散術後の異型細胞存続例について」NTT 東日本札幌病院 産婦人科/同臨床検査科・病理細胞診検査部門、黒田敬史、西川鑑、真里谷奨、小松健一郎、杉田有子、本間則之、高桑康成、佐藤昌明
  12. 2016年12月2日 第31回日本生殖免疫学会総会・学術集会 神戸、「ジビエ料理としての鹿肉摂取によるトキソプラズマ感染 」NTT東日本札幌病院 西川鑑、水柿祐子、黒田敬史、清水亜由美、二瓶岳人
  13. 2016年12月2日 19th IUSTI ASIA-PACIFIC CONFERENCE
    Clearance of HPV infection and clinical prognosis after treatment of cervical intraepithelial neoplasia: prospective observation of 334 patients Tasuku Mariya1-3, Akira Nishikawa1, Satoshi Shikanai2, Yuko Mizugaki1, Hiroshi Shimada2 Takafumi Kuroda1, Ayumi Shimizu1, Takehito Nihei1 and Tsuyoshi Saito3
    1) NTT East Sapporo Medical Center, Department of Obstetrics and Gynecology
    2) Hokkaido Social Insurance Obihiro Hospital, Deparment of Obstetrics and Gynecology
    3) Sapporo Medical University School of Medicine, Department of Obstetrics and Gynecology

論文

  1. Mariya T, Nishikawa A, Sogawa K, Suzuki R, Saito M, Kawamata A, Shimizu A,Nihei T, Sonoda T, Saito T. Virological and cytological clearance in laser vaporization and conization for cervical intra-epithelial neoplasia grade 3. J Obstet Gynaecol Res. 2016 Dec;42(12):1808-1813.
  2. Seatbelt use and seat preference among pregnant women in Sapporo, Japan, in 2013. Morikawa M, Yamada T, Kato-Hirayama E, Nishikawa A, Watari M, Maeda N, Kogo H, Minakami H. J Obstet Gynaecol Res. 2016 Jul;42(7):810-5.
  3. 「子宮細胞診検査が診断に有用であった腹膜癌の2症例」(北海道臨床細胞学会会報25:40-44、2016)
    金美善、寺本瑞絵、鈴木美和、郷久晴朗、田中綾一、岩ア雅宏、石岡伸一、西川鑑、齋藤豪
  4. 札医通信 571号 第41回札医医学会印象記 産婦人科 西川鑑

講義

  1. 6月24日 札幌医科大学医学部 子宮体部の良性・悪性疾患 西川鑑