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心臓血管外科

業務内容

心臓血管外科は副院長 松浦(58期)、部長 瀧上(65期)、医長 松崎(68期)の3人体制で2016年も人員の変更は無く、3人仲良く年を取りました。今年もメンバーは変わりませんでしたが手術は各患者さんの状態を個々に評価し、最適な術式と最新の技術、方針にて診療にあたっております。
2016年の手術症例(表1-6)

2016年1月1日から12月31日までの手術総数は207例で、昨年と同じ、心臓・胸部大血管手術総数は60例、人工心肺使用症例+OPCABは53例でほぼ昨年と同数でした。手術による病院死亡は末梢血管の2例でした。

手術症例の傾向として、冠動脈バイパス術や弁膜症疾患にたいする手術数は例年と大きく変わりませんでしたが、大動脈弁置換術では生体弁の使用が大きな割合を占めていました(表2、3)。作年はいわゆるOff Pump CABGが冠動脈バイパス術の7割と多かったのが特徴でしたが、今年は2/3が心停止下のCABGでした。それぞれの患者さんのrisk、や状態、あるいは病変などを検討した結果と考えています(表3)。弁膜症は18例で、本年も弁膜症の半分以上は複合弁膜症あるいは虚血性心疾患や、不整脈に対する手術の合併手術症例でした(表2)。胸部大血管疾患は19例で約半分が大動脈解離症例で緊急手術を5例に施行しました(表4)。心大血管手術症例には病院死亡はありませんでした。末梢血管疾患(表5)は、腹部大動脈以下の末梢動脈疾患が60例、下肢静脈瘤を含む静脈疾患が61例、透析用の内シャント症例が15例で合計136例でした。腹部大動脈瘤および腸骨動脈瘤は33例で、うち腹部大動脈瘤ステントグラフト(EVAR)は15例に施行し、例年と同じく約半数でした。EVAR後のリークに対する追加治療の症例は2例で、うち1例に開腹による腰動脈処理を施行しました。鼠蹊部以下などの末梢動脈症例は27例で、血管形成やbypass手術、stent留置を同時に施行するいわゆるハイブリッド治療が多く、単独バイパス手術は少ない傾向は例年と同じでした。当科の方針としては大腿動脈、特に深大腿動脈への血流の確実な血行再建を基本とし、それより末梢側へのbypass手術はいわゆるCLI症例に対して適応としています。本年度は末梢動脈手術後の症例2例を術後の合併症で失っております。下肢静脈瘤に対する手術は61例で、そのうち54例が下肢静脈瘤に対する手術でその8割にあたる43例にレーザー治療を行いました。内視鏡下の穿通枝離断も4例に施行しています。日帰り外来手術や、局所麻酔による静脈瘤手術がほとんどとなり入院による手術は少なくなりました。静脈血栓症に対するカテーテル溶解治療やステント留置などの治療も継続的に施行しています。

この1年間は、院内の先生方並びに札幌市内、さらには近郊の先生方にも手術患者さんのご紹介をいただき、なんとか例年と同様に手術を行うことができ大変感謝しております。私たちは当科で手術を受けられた患者さん、さらにご紹介頂きました先生方にとって、当科での治療や対応が満足して頂けるよう日々の診療にあたっているつもりです。自分たち自身の研鑽とStaffの教育、その結果として成績の向上を目指すことはこれからも変わらぬ課題であると考えております。今後もさらに症例数を増やし、若い医師の育成などの機会を得ることも我々の使命と思っています。

表1 手術症例数(2016年1月1日〜12月31日)

心疾患 人工心肺使用症例 46
OPCAB 7
TEVAR(人工心肺使用症例+OPCAB症例+TEVAR 60) 7
末梢動脈疾患(腹部大動脈以下) 61
静脈疾患 76
内シャント関連 15
ペースメーカー関連 3
その他 8
手術総数 207

表2 弁疾患、成人先天性心疾患、その他の開心術(19例、死亡0)

Valvlar disease MVP+TAP 3
MVP+Maze 1
MAP+CABG 1
AVR(primary isolated)m-3, b-5 8
AVR+CABG 3
AVR+MAP+Maze 1
AVR+MAP+Maze 1
Cardiac tumor Mitral Valve myxoma 1

表3 虚血性心疾患(22例、死亡0)

単独冠動脈バイパス術(21例)
Conventional CABG 14
(6枝1、5枝3、4枝4、3枝4、2枝1)
Off pump CABG 7
(4枝1、3枝5、2枝1)
心筋梗塞後合併症に対する手術(1例)
CABG + MAP 1
(5枝1)

表4 胸部大動脈疾患(19例、死亡0)

解離性(10例)
急性A型解離 (4例)
上行置換 1 上行+弓部部分置換 1
上行+弓部置換 1 上行+弓部置換+Open Stent 1
慢性A型解離 (2例)
弓部+Open Stent 2
急性B型解離 (1例)
Debranching TEVAR, Ax-Ax 1
慢性B型解離 (3例)
弓部置換+Open Stent 1 TEVAR 2
非解離性(9例)
弓部 (5例)
弓部+Open Stent 4 弓部+Open Stent+CABG 1
下行 (4例)
TEVAR 4

表5 末梢血管疾患(136例、死亡2)

腹部および腸骨動脈領域 (33例)
AAA及び腸骨動脈瘤 (31例)
EVAR(Rupture 1) 15 人工血管置換術 16
EVAR後Endoleakage (2例)
脚追加 1 開腹、腰動脈処理 1
末梢動脈バイパス、形成、血栓摘除、ステント治療 (27例、
死亡2)
Ao-BF bypass 2 F-F bypass 1
Distal bypass 3 EVT(Iliac stentなど) 4
FA形成 + α 5 血栓摘除+α 8
末梢動脈瘤 2 その他(仮性動脈瘤修復など) 2
静脈疾患 (61例)
EVLA 43 Stripping(+SEPS 1) 8
SEPSのみ 3 その他(IVC filter+CVTなど) 7
透析内シャント作成 15

表6 ペースメーカー関連およびその他の手術(11例)

ペースメーカー関連 3
その他 8

研究活動について

症例報告

  1. 松崎賢司、瀧上剛、松浦弘司:「腹部アンギーナに対して腸骨動脈-上腸間膜動脈バイパスを施行した1例」外科 78、106-8、2016

全国学会

  1. 松崎賢司、瀧上剛、松浦弘司:「回収型下大静脈フィルターALN使用例の検討」第36回日本静脈学会、2016年6月、弘前
  2. 松崎賢司、瀧上剛、松浦弘司:「腸骨動脈破裂術後長期間閉腹不能であった血管型エラスダンロス症候群の1例」第44回日本血管外科学会、2016年5月、東京
  3. 松崎賢司:「SEPS 依頼で紹介受けるも下肢切断となった1例」第13回静脈瘤内視鏡治療研究会、2016年12月、横浜

地方会

  1. 松崎賢司、瀧上剛、松浦弘司:「回収型下大静脈フィルターALN使用例の検討」第36回日本血管外科学会北海道地方会、2016年10月、札幌

その他

  1. 松崎賢司、瀧上剛、松浦弘司:「超過大侵襲TEVARの1例」Endovascular Surgery Forum in Hokkaido、2016年10月、札幌
  2. 松崎賢司:「下肢静脈疾患を考える」三角山循環器セミナー、2016年7月、札幌
  3. 松崎賢司:「再発下肢静脈瘤に対するEVLA」Vascular meeting、2016年3月、札幌
  4. 松崎賢司:「急性B 型解離はステントグラフト?超急性期TXDの使用経験」Vascular meeting、2016年10月、札幌
  5. 松崎賢司:「EVAR 術後endoleak に対しての治療」北大血管疾患研究会、2016年9月、札幌
  6. 瀧上剛、松崎賢司、松浦弘司、葛目将人、濱口早苗、乗安和将、川嶋望、宮本憲行:「発症時に左主幹部閉塞を来たし、緊急PCI後、緊急手術を施行し救命可能であった急性A型大動脈解離の一例」第19回北海道心臓外科フォーラム、2016年05月21日、札幌
  7. 瀧上剛、松崎賢司、松浦弘司:「過去5年間の診療実績」第4回北大循環器・呼吸器外科疾患懇話会、2016年06月19日、札幌
  8. 瀧上剛:「わかっていたら怖くない!サイレントキラー「大動脈瘤」の治療について」NTT札幌病院 第201回健康セミナー、2016年12月17日、札幌