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腎臓内科・人工透析センター

人の動き

人事面では、永年に渡り当科の発展に尽くしてくれた岡本延彦先生が南札幌病院に移動されました。代わって、北海道大学より中垣祐先生が赴任しました。若手筆頭(後期研修医)の渡邉先生が3月末で北海道大学病院に移動となり、かわりに横山先生が旭川市立病院から赴任されました。このように当科にとっては激動の1年でしたが、新しく赴任した先生を含め各先生が奮闘してくれました。研修医は3名と多数の先生が研修に来てくれて、第一線で活躍し、内科学会などで症例報告の発表も行ってくれました。また昨年から引き続き萬田記念病院の中野玲奈先生が週に1回、研修と診療にいらしています。腎臓内科・透析の道内のセンター病院として診療面だけではなく若い先生方の教育病院として機能しています。

当科は腎臓病を専門に診る内科部門と、腎不全治療の一環としての人工透析の管理の両方を行っています。前者の内科部門が日本腎臓学会、透析部門が日本透析医学会で、両学会を中心に学会活動も積極的に行 っています。両学会の教育病院の指定とともに、全国委員にも任命され学会に協力しています。当科は4名が両学会の専門医となっていて、その数は北海道の一般病院では最大です。また、血漿交換療法にも積極的にかかわっていて、札幌市中央区の病院としては唯一の日本アフェレシス学会の認定病院となっています。

また、北海道大学の学外教育施設として協力しており、北大の医学部の学生の透析実習の受け入れを行っています。

業務内容

外来

月曜日から金曜日まで、午前・午後の外来を行っています。新患は午前外来で受け付けています。

外来では、健康診断などで尿異常(尿たんぱくや尿潜血)を指摘された方や、腎機能の異常を指摘された方、慢性糸球体腎炎やネフローゼ症候群と診断された方、むくみの相談にこられた方、などを対象に診療しています。近隣のクリニックや病院からの紹介患者も多数いらっしゃいます。また院内他科とも連携して診療にあたっています。例えば、糖尿病科と協力し、透析予防プログラムを開始しています。

外来患者数は、のべ人数で7,932名と患者数が増加しています。そのうち初診患者は309名と初診患者さんが多いのも特徴です。特に当科は遠方からの患者が多数いらっしゃいます。腎臓内科として北海道で一定の存在感を示しています。

入院

健康診断などで、尿異常や腎機能障害を指摘された方やネフローゼ症候群や慢性腎炎が疑われる患者さんなど、精密検査の必要がある場合には腎生検を行ない、その結果を元に診断治療を行っています。

慢性腎臓病(CKD)は名前のとおり慢性病であり、その管理は腎臓意外の多岐にも渡ります。まず第一に血圧の厳重な管理であり、そのほか生活習慣の管理として食事栄養指導(低たんぱく食減塩食の指導)。また、CKDが高度になった場合は、腎性貧血や副甲状腺、腎性骨症などの合併症の管理も重要になってきます。特に、骨に関してはCKD-MBDというネーミングもされ、その重要性が認知されつつあります。透析導入疾患の第一位は糖尿病腎症ですが、総透析患者数に占める割合も糖尿病腎症が慢性糸球体性腎炎を2011年末で追い越したことが発表され、メタボリックシンドロームも含めてCKDの大きな因子として、糖尿病腎症の重要性が増しています。慢性糸球体性腎炎の代表的疾患であるIgA腎症に対しては、耳鼻科と協力して扁桃摘出とステロイドパルス療法を組み合わせた扁摘パルスを行い良好な成績を上げています。また、CKD患者さんの教育精査入院や、進行したCKD患者さんの内シャント手術を含めた透析導入、合併症をかかえた維持血液透析患者の管理を行っています。シャントやアクセスのトラブルに関しては手術のほか、経皮血管拡張術(PTA)も行っています。難治症例に関しては血管外科と協力して治療を行っています。急性腎障害(AKI)については、自科のみならず、院内各科や近隣医療機関での発生患者の受け入れ、管理、治療、緊急透析等に対応しています。そのほか、血漿交換、血液吸着、血球成分除去(潰瘍性大腸炎などの)などのアフェレーシス治療も積極的に行っており、腎疾患のすべての病期の患者さんを対象に腎臓内科としてトータルな医療を実施しています。

当科では総合病院の特徴を活かし、尿路疾患については泌尿器科、糖尿病性腎症については糖尿病・内分泌内科や眼科、膠原病による腎障害についてはリウマチ・膠原病内科と連携し腎臓疾患の治療にあたっています。また、循環器疾患や整形外科疾患などの合併症治療が必要な維持透析患者の受け入れも、各科と連携し幅広く行っています。そのほかにも、腎不全の治療選択肢として腎移植にも積極的に取り組み、移植可能施設への橋渡しを行っています。

腎生検は本年59件と多数例での施行で(2015年71件、2014年61件、2013年73件)、腎組織所見を元に科学的な診断による適切な治療が行えるように努力しています。内シャント手術は73件施行と過去最大数の施行件数でした(2015年69件、2014年54件、2013年60件)。シャントの件数の増加に伴い、本年度から月曜日の午前が定期手術枠として固定枠を頂けることになりました。また、この他にも血管外科の御協力で人工血管手術も施行しています。PTAは37件施行しています。(2015年42件、2014年32件、2013年35件)のべ入院患者数は4,600名で、一日当たり約12名の患者さんの入院加療行っています。アフェレシスは、血漿交換1例、エンドトキシン吸着5例を実施しています。腹膜透析は本年は2例の導入患者がありました。腹膜カテーテル挿入術と腹膜透析導入を実施しており、血液透析・腹膜透析の両者の実施の実施施設で、患者さんが腎不全・腎代替療法の選択を出来る施設となっています。

透析センター

透析部門の業務は新規透析導入(導入教育などを含む)・外来維持透析・合併症などによる他科入院患者の透析管理・AKIなどの患者の緊急透析が主な業務となります。基本的に院内発生の腎不全や他科入院の透析依頼は全て受け入れる方針で対応しています。そのため、透析ベットは現在41床ですが、感染症対応ベツト、入院患者用、緊急用ベツトなどを勘案しほぼ満床状況です。そのため、ひと月で約1,500回程度と総透析回数は横ばいで推移しています。本年の新規透析導入患者は34名でした。新規導入患者さんに関しては、自宅の近くなどのクリニックなどと病診連携して維持透析をお願いしています。なお、年末の当院の外来維持透析患者数は105名です。透析患者は全国的に高齢化の傾向にあり、合併症や併存症を患う患者が増えています。当院では生理検査室や放射線科の御協力のもと各種画像検査や生理検査を定期的に施行し早期発見に努めています。320列のCTを使用し、シャント造影検査を行い狭窄病変の評価を行っています。従来の血管造影より少ない造影剤の量で立体的(3D)画像が得られるため、スクリーニングの検査に有用です。

研究活動について

原著

  1. 橋本整司、川島圭介、眞岡知央、山本理恵、岡本延彦、吉岡成人、小池隆夫:SGLT2阻害薬の腎機能に及ぼす影響について。札幌市医師会医学誌306: 27-28, 2016
  2. Sakao Yukitoshi, Ojima Toshiyuki, Yasida Hideo, Hashimoto Seiji, Hasegawa Takeshi, Iseki Kunitoshi, Tsubakihara Yoshiharu, Katou Akihiko; Serum Creatinine Modifies Associations between Body Mass Index and Mortality and Morbidity in Prevalent Hemodialysis Patients. PLoS One. 2016; 11(3): e0150003.
  3. 渡邉加奈子、橋本整司、眞岡知央、山本理恵、岡本延彦、小池隆夫:アデホビルにてFanconi症候群を来したB型慢性肝炎の1例。日本内科学会誌105: 1026-1033, 2016

著書・総説

  1. 橋本整司:アミロイドーシス 今日の治療指針 2016 Volume 58: 774, 2015

学会発表

  1. 横山あい:C3腎症の3例。第二内科フォーラム 2016年12月10日
  2. 橋本整司:腎臓疾患と透析の最近の話題。透析治療カンファレンスin Asahikawa 旭川 2016年12月1日
  3. Tagawa Miho, Takayuki Hamano, Shinichi Sueta, Seiji Hashimoto, Satoshi Ogata. Association of Dialysate Calcium Concentration, Vitamin D Use, and Hip Fracture in Hemodialysis Patients. Kidney week 2016 (50th American Society of Nephrology annual meeting), Chicago, IL, USA (2016) November 15-20
  4. 橋本整司:CKD・透析と病診・病病連携。北檜山医師会講演会 八雲 2016年11月10日
  5. 中垣祐:腎の影響を考慮した糖尿病治療 Diabetes Forum in Sapporo 札幌 2016年11月4日
  6. 横山あい:当科で経験したC3腎症の3例 第11回北海道腎カンファレンス 札幌 2016年11月4日
  7. 橋本整司:当科で経験したPlasma cell dyscrasia関連腎症の検討 第4回Myeloma conference wuth Nephrologists and Hematotologists 札幌 2016年10月25日
  8. 石井保志、渡邉加奈子、秋元真祐子、岩崎沙理、辻隆裕、橋本整司、深澤雄一郎:慢性リンパ性白血病に合併した急速進行性糸球体腎炎の一例 第75回北海道臨床腎臓研究会 札幌 2016年10月14日
  9. 橋本整司、横山あい、中垣祐、眞岡知央、山本理恵、小池隆夫:PGNMIDにIVCYを施行し効果を認めた1例。第46回日本腎臓学会西部学術大会 宮崎 2016年10月14-15日
  10. 眞岡知央、横山あい、中垣祐、眞岡知央、山本理恵、深澤雄一郎、橋本整司:多発性骨髄腫に続発した著明な硝子様血栓を伴うMPGN 様の糸球体腎炎の1例 第46回日本腎臓学会西部学術大会 宮崎 2016年10月14-15日
  11. 横山あい、中垣祐、眞岡知央、山本理恵、深澤雄一郎、笠原英樹、橋本整司、小池隆夫:慢性関節リウマチに対する生物学的製剤の投与を契機に改善を示した膜性腎症の一例。第46回日本腎臓学会東部学術大会 東京 2016年10月7-8日
  12. 橋本整司、横山あい、中垣祐、眞岡知央、山本理恵、小池隆夫:断酒により改善した著明な低ナトリウム・カリウム血症の一例。第46回日本腎臓学会東部学術大会 東京 2016年10月7-8日
  13. 橋本整司、眞岡知央、山本理恵、中垣祐、吉田美穂、西尾充史、小池隆夫:多発性骨髄腫患者におけるフリーライトチェーン除去においてHDFは有用である。第22回日本HDF 研究会 甲府 2016年10月1-2日
  14. 橋本整司:リウマチと腎臓 第5回 札幌リウマチ市民公開講座 札幌 2016年9月24日
  15. 橋本整司:慢性腎臓病のミネラル管理 第11回基礎から学ぶ腎臓セミナー札幌 2016年9月2日
  16. 眞岡知央:NTT東日本札幌病院での腹膜透析の現状。北海道PD スコープ 札幌 2016年8月27日
  17. 横山あい、中垣祐、山本理恵、眞岡知央、坊垣幸、深澤雄一郎、笠原英樹、橋本整司、小池隆夫:慢性関節リウマチに対する生物学的製剤の投与を契機に改善を示した膜性腎症の一例。第277回日本内科学会北海道地方会 札幌 2016年7月23日
  18. 中垣祐:腎臓専門医からみた血管合併症の予防について。第4回「脳・心・腎」連携ネットワークカンファレンス 札幌 2016年6月30日
  19. 橋本整司、芳賀智顕、佐々木弘好、松浦弘司、小池隆夫:中心静脈カテーテルのインシデント〜中心静脈カテーテル挿入中は奇異性脳梗塞の発症リスクに留意すべきである 第66回日本病院学会 盛岡 2016年6月23-24日
  20. 渡邉加奈子、川島圭介、橋本整司、眞岡知央、山本理恵、吉田美穂、西尾充史、深澤雄一郎、小池隆夫、石田禎夫: Plasma cell dyscrasia関連腎症の臨床像の検討。第59回日本腎臓学会学術総会 横浜 2016年6月17-19日
  21. 田川美穂、濱野高行、末田伸一、橋本整司、尾形聡:Dialysate Calcium Concentration and Cardiovascular Events in Diabetic Hemodialysis Patients。第61回日本透析医学会学術集会 大阪 2016年6月10-12日
  22. 橋本整司、岡本延彦、山本理恵、眞岡知央、渡邉加奈子、吉田美穂*、西尾充史*、小池隆夫:高容量(240μg/週)のダルべポエチン投与により貧血改善を認めた骨髄異形成症候群合併維持透析患者の1例。第61回日本透析医学会学術集会 大阪 2016年6月10-12日
  23. 横山あい:関節リウマチに体する生物学的製剤の投与を契機に改善傾向を示した1例。第12回北海道腎疾患を考える会 札幌 2016年5月14日
  24. 柳内充、石井保志、秋元真祐子、西尾妙織、橋本整司、深澤雄一郎:Monoclonalgammopathyを背景に有するC3腎症の2例 第105回日本病理学会総会 仙台 2016年5月12-14日
  25. 中野玲奈、萩原誠也、名和伴恭、眞岡知央、山本理恵、橋本整司:塩分過剰摂取によりうっ血性心不全、うっけつ肝をきたした糖尿病腎症の1例。第89回北海道透析療法学会 札幌 2016年5月8日
  26. 橋本整司、川島圭介、眞岡知央、山本理恵、岡本延彦、吉岡成人、小池隆夫:SGLT2阻害薬の腎機能に及ぼす影響について。第41回札幌市医師会医学会 札幌 2016年2月21日