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呼吸器内科

人の動き

3月に山田裕一先生が函館五稜郭病院へ異動、かわって4月から塩野谷洋輔先生が札幌医大大学院から着任されました。常勤医は計4名を維持、引き続き皆精力的に活躍してくれました。また本年も年間を通して研修医はほぼ切れ間なく研修に来てくれました。

診療・業務内容

呼吸器内科では呼吸器疾患全般において特に高い専門性が不可欠な疾患の診療を担当しています。具体的には、高齢化の進行に伴い増加が避けられない肺癌(悪性腫瘍における死因第1位)や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、日本人の死因第3位となった肺炎をはじめとする呼吸器感染症、気管支喘息などのアレルギー疾患、難治性で診断等に高度な専門性が必要とされる間質性肺疾患、各種の呼吸不全などです。

2016年は後述のように、患者数(外来・入院)、疾患内容、呼吸器内視鏡検査の実施数 等は総じて2015年と同レベルであり、高いアクティビティーを維持できたと考えています。2015年4月に新設された呼吸器外科には当科から肺癌の加療/検査を中心に膿胸等も含めて2016年は70名以上の症例をお願いしており、緊密な連携の下、院内で呼吸器疾患への対応が完結できる体制がより強固になってきたと感じています。また2016年は放射線照射装置が更新され、当院の大きな強みである肺癌への動体追跡照射を含めた照射精度が向上したことも非常に好ましいことでした。

当科が対象とする疾患の中で最も重要である肺癌に関しては、他の癌腫と同様に腫瘍の生物学的特性(組織型・癌遺伝子のprofileなど)によって、個々の症例に応じた個別化治療が必要とされる流れがますます明確になってきました。また2016年からは肺癌に対してもニボルマブ(商品名 オプジーボ)が適用となり、従来の手術・化学療法・放射線療法の3本柱に加えて免疫療法が癌治療の第4の柱となってきたことを実感しています。免疫療法に関しては非常に高額であることが問題になりましたが最適な症例選択や投与法などまだ手探りな部分もある他に、従来の治療法とは異なる多彩な副作用にも注意が必要で、今後は肺癌以外の癌腫にも適用が広がっていくこともあり、そのマネージメントに関しては診療科や職種横断的な対応が求められると感じています。

COPDも今後さらに患者数の増加が懸念される疾患ですが単に呼吸機能障害だけではなく全身疾患として捉えることが求められており、薬物療法のみならず、理学療法・在宅酸素療法/在宅人工呼吸療法・栄養療法など包括的対応が重要となっています。関連各部門との協力関係を強化しつつ診療にあたっていきたいと考えています。また呼吸器症状が顕在化する前の介入が肝要であるため、肺機能検査やCTでの早期診断を心がけている他、週3回の受診枠で禁煙外来を継続しています(西山と橋本みどり先生とで対応)。

肺感染症は細菌性肺炎が主体ですが、基礎にある呼吸器疾患のため難治化・重篤化する症例や、また当院には免疫力低下を伴う併存疾患で通院されている患者さんも多く、真菌感染・抗酸菌感染・ニューモシスチス肺炎などの特殊な感染症にもしばしば遭遇するため正確な診断を心がけています。肺炎球菌ワクチンの対象となる患者さんには外来での接種を積極的にお勧めしています。

通院されている患者さんで最多なのは気管支喘息ですが、吸入ステロイド療法の普及、吸入薬の進歩(薬剤や吸入デバイス)によりコントロールは良好な症例がほとんどで、かつてよりは入院が必要な症例は随分と減少しています。

間質性肺疾患はその診断に特に高い専門性が要求される疾患ですが、高分解能CT・気管支鏡検査(気管支肺胞洗浄(BAL)や経気管支肺生検(TBLB))・症例によっては外科的肺生検で確診を目指しています。間質性肺疾患の中でも治療が難しい特発性肺線維症(IPF)に関しては、治療戦略が従来の抗炎症療法(ステロイド剤や免疫抑制剤)から抗線維化療法に変わりつつあり、2種類ある抗線維化薬(ピルフェニドン、ニンテンダニブ)の治療には対応しています。

検査

当科の特徴である呼吸器内視鏡検査の実施数は2015年とほぼ同数の194件でした。そのうち最先端の検査法である超音波気管支内視鏡(EBUS-GSやEBUS-TBNA)が2/3強、また確診が難しい胸膜疾患の診断に非常に有用で他施設ではルーチンに行えていないことが多い局所麻酔下の胸腔鏡検査も例年同様に約20件施行しています。

2017年から呼気一酸化窒素検査(FeNO)が行える目途がつき、我々が最も遭遇する症状である遷延性〜慢性の咳嗽の鑑別や適切な治療の早期導入、また気管支喘息コントロールのより正確な評価に寄与すると期待しています。

外来患者数

年間の延受診患者数は約12,200人と昨年とほぼ同数でした。外来化学療法にオプジーボが加わった影響と思われますが外来診療収入は例年より増収でした。

入院患者数

年間の延入院患者数は8,500人強でこちらも昨年とほぼ横ばい、平均在院日数も15日台と同様でした。疾患の傾向も例年と著変はなく半数以上が肺癌を中心とする悪性腫瘍であり、他は肺感染症、間質性肺炎、COPD、気管支喘息等でした。

今後も地域医療の充実のため、円滑な地域連携の下、専門性の高い医療を提供し続けることができますよう当科スタッフ一同努力して参ります。

研究活動について

学会発表(国内)

  1. 加藤宏治:「両側胸水を呈し診断に難渋した悪性リンパ腫の1例」第39回 日本呼吸器内視鏡学会学術集会(名古屋) 2016年6月23〜24日
    註)症例は加藤先生が市立釧路総合病院勤務中のもの
  2. 橋本みどり:「気管支鏡検査後に感染性心内膜炎、胸部大動脈瘤を発症した1例」日本呼吸器学会北海道地方会(札幌) 2016年9月17日

講演会

  1. 西山薫:「維持透析中に化学療法を行った肺小細胞癌の2自験例」第6回 札幌呼吸器疾患ケースカンファレンス(札幌)2016年5月25日

院内セミナー

  1. 西山薫:「ぜんそくとはこんな病態」第192回 健康セミナー 2016年3月12日
  2. 橋本みどり:「呼吸困難」緩和ケア勉強会 2016年6月10日
  3. 西山薫:「結核の基礎知識」ICTセミナー 2016年7月13日
  4. 西山薫:「がんと闘う」第200回 健康セミナー 2016年11月19日