札幌病院


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副院長総括

NTT東日本札幌病院
副院長 松浦 弘司

2016年を振り返ってみます。

何といっても、今年度の最大イベントは1月1日からの新電子カルテの稼働でしょう。これまでのIBMからNECへと、全く異なるシステムに変更となりました。切り替えに伴うトラブル発生に対処するため、12月31日除夜の鐘が鳴る頃、入院患者の主治医は新しい電子カルテの前に待機しなければならないか?などと極端な心配をする声もありましたが、そのような対応を取ることなく、とりあえずは淡々と移行していきました。ただ、最初の1週間で1000件以上の不具合・問い合わせがあったり、1月のインシデント報告数が電子カルテ関連で増えたり、と大きなトラブルにはなりませんでしたが、小さな問題はたくさんあり、電子カルテ委員会を中心にコツコツと克服していき、最近ようやく慣れてきたように思います。

病院運営にかかわる、もう一つの大きな出来事は、診療報酬改定により、急性期病院として現在の体制を維持するためには、一定の基準以上の重症度・医療・看護必要度を満たす重症患者が、全患者の25%以上入院していることが条件となったことです。昨年までは15%以上が条件でしたので、大幅な変更です。施行前のシュミレーションでは25%を超えることが困難と予想され、その場合は一部の病棟を慢性期や療養・リハビリ病棟にせざるを得ないか、とも覚悟しました。しかし、大型で最新の医療機器を多く備え、札幌市内でも病床あたりの医師数、看護師数を他の病院と比べ潤沢に揃え、多彩な診療科での高度に専門的で最新の治療、しかも優しく心のこもった、これには多くの人手がかかるのですが、ケアをこれからも一貫して目指すためには、急性期病院であり続けることが不可欠であると判断しました。そこで、救急対応や重症患者受け入れの強化、手術件数の増加、術後や治療後の軽症患者の早期退院・転院などをこれまで以上に推進していただき、重症度・医療・看護必要度向上を計りました。眼科が4月からスタッフ一新し、手術を積極的に施行するようになったり、消化器内科が土曜日の連携クリニックからの患者依頼・相談を、当直医を経ず直接消化器内科当番医につながるようにしたり、外科の手術症例数が増加したり、これらは一部で、他にもいろいろな要因があると思いますが、4月以降必要度は25%を常に超えることができており、急性期病院としての体制維持はできております。しかし数年後にはより厳しい条件が課せられると予測され、このような方向性のますますの強化が求められております。一方で、患者の重症度が増し仕事が忙しくなるばかりでは、当然職員の負担は増加し、満足度は低下するわけです。そこで新しく「医師等負担軽減検討委員会」を設置し、具体的な方策を練り実施しました。病棟薬剤師の完全配置、病棟クラークの配置、総合受付横の文書センターの設置などです。これらによって、少なくとも看護スタッフの負担軽減には役立ち、この他にも看護部を中心に多くの取り組みがあったのですが、昨年度問題となった看護職員の離職率は、今年度はかなり低下してきているようです。

さて、ここ数年徐々に実施している院内の改築ですが、今年は外来の化学療法室と中央処置室の改築を行いました。化学療法室は、外来化学療法を受ける患者の増加に見合うべく12床に増床し、予約が滞ることが無くなりました。中央処置室は、日中の救急患者や感染症患者の受け入れと処置がスムーズとなるようにスペースを拡充しました。

今年度の大型器機への投資は、放射線治療装置の更新と、ロボット支援手術実施のためのダヴィンチの導入決定でした。新放射線治療装置は、正確な動態照射が可能な全国でも十数台しかない最新機種で、9月から実際の照射が開始されました。皮膚マークが不要となり、照射時間は短縮され、患者さんには大変好評です。ダヴィンチは泌尿器科医を中心に導入チームを結成し、秋から着々と準備を整え、2017年1月に、ついに当院でも第一例目のロボット支援手術が実施される予定です。

11月に200回記念健康セミナーで、“がん”をテーマにアグネス・チャンさんの講演と、当院スタッフによるパネルディスカッションを開催しました。毎月1回、17年間、当院会議室で行われてきた健康セミナーですが、200回の記念にホテルに会場を移し、約400名が参加されました。終了後のアンケ ート結果も好評で、セミナー初参加者が7割、当院の受診歴が無い方々が5割であり、当院を知っていただく良い機会になったと思われます。

以上、2016年度に直面した問題や、様々な取り組みをまとめてみました。多彩な診療科がそれぞれに高度で専門的な医療を展開している当院の現状は、ともすれば最近の医療情勢の中では経営的に不利となることもあります。しかし、この特徴を当院の強みとして地域での存在感をますます強固なものとし、しかも経営的にも安定させたいと考えております。