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輸血センター

人の動き

長年に亘り認定輸血検査技師として務め、当院における輸血業務の体制を確立した前主任が3月末を以て定年退職致しました。その欠員に対し、臨床検査科から人員の補充がありました。

業務の総括

クリオプレシピテート

2014年12月より当院で導入されたクリオプレシピテート製剤は、新鮮凍結血漿を低温で溶解することによりフィブリノゲンを中心とした高濃度な凝固因子を分離したもので、血液凝固機能が破綻した際の止血に効果を発揮します。

本年1月、心臓血管外科の緊急手術で使用されたことを皮切りに、心臓血管外科の手術中の危機的大量出血に対して4例、血液腫瘍内科の急性重症DICなどでの大量出血に対して2例の使用実績を上げております。

輸血手帳

輸血による副作用は、急性溶血性副作用や発熱・蕁麻疹などのように輸血中に発症するものだけでなく、呼吸困難や遅発性溶血副作用のように輸血終了後数時間から数日経って起きてくるものまで様々あります。従来は、帰宅後の輸血副作用への注意喚起と副作用発生時の連絡先などの案内文書を、外来において輸血を行う度にお渡ししておりました。

2015年4月より、大きさもA6サイズとコンパクトで持ち運びのしやすい「輸血手帳」を導入しました。これには従来の案内文書の機能を保持しつつ、入院・外来問わず輸血実施の度に記入していくことで履歴が記録され、患者さんが他院を受診した際にも有益な情報を提供できるようになっております。

輸血実施数

輸血実施数については、全体として、2002年の輸血センター開設および輸血一元管理の開始以来最多となった前年をさらに上回り、過去最多の輸血実施となりました。具体的には、前年比で赤血球製剤124%、血漿製剤112%、血小板製剤213%、自己血輸血107%とすべて増加となりましたが、アルブミン製剤では99%とほぼ横ばいの結果となりました。特に血小板製剤では、血液腫瘍内科において血小板輸血を必要とする患者様が2015年後半に増加し、前年の倍以上の使用量となりました。輸血管理料と輸血適正使用加算の算定条件の一つであるアルブミン製剤の使用量については、2009年の輸血センターでの一元管理化以降良好に推移しており、2014年のDPCを導入したことも影響してか2015年では過去最低の使用量となっています。今後についても使用指針に準じた適正使用のより一層の推進とともに、この数字を維持していくことが重要になるでしょう。

夜間や休日など、時間外での業務は臨床検査科と共に行っております。時間外の輸血は年々増加傾向にあったものが2014年に減少したものの、2015年では前年に比べ112%と増加しました。しかしながら、緊急輸血における対応数は246件と減少しています。このような時間外輸血に対応するために、普段は輸血業務に携わる機会の少ない臨床検査科スタッフへのトレーニングが非常に重要になってきます。本年は新しく導入されたクリオプレシピテート製剤に関わる業務を中心とした輸血業務トレーニングを実施し、個々のスキルの強化に努めました。

安全で適正な輸血療法の実践のために輸血療法委員会との連携を図りながらその決定事項を実施することが、「輸血療法の実施に関する指針(厚生労働省)」に明記される輸血センターの大きな役割といえますが、本年も大きな事故を発生させることなく業務を行えたことは、日常業務において様々な部署からのご理解、ご協力を得られたためと考えます。

次年度も、安全で適正な輸血療法を行えるよう、より一層尽力して参ります。

輸血製剤種別使用単位数推移

診療科別輸血製剤使用単位数

  赤血球製剤 血漿製剤 血小板製剤 自己全血液 診療科別合計
リウマチ膠原病内科 30 0 0 0 30
外科 102 28 40 0 170
血液腫瘍内科 1,822 492 7,855 0 10,169
呼吸器内科 36 0 180 0 216
産婦人科 148 58 0 364 570
耳鼻咽喉科 28 0 0 0 28
循環器内科 38 4 0 0 42
小児科 14 0 10 0 24
消化器内科 304 34 80 0 418
心臓血管外科 454 356 405 0 1,215
腎臓内科 74 38 35 0 147
整形外科 198 8 0 46 252
透析センター 34 108 0 0 142
泌尿器科 146 16 90 16 268
麻酔科 194 200 135 0 529
製剤種別合計 3,622 1,342 8,830 426  

時間外(日当直)での輸血業務(オーダー数)

  時間外輸血業務 緊急輸血
2015年 2014年 2015年 2014年
総数 508 454 246 267
 日直(休日) 335 311 104 137
 当直(夜間) 173 143 142 130
製剤別内訳 赤血球製剤 208 196 106 123
血漿製剤 70 70 43 42
血小板製剤 116 68 44 35
アルブミン製剤 114 120 53 67

輸血後感染症検査業務実績

  2015年実績
2015.01〜2015.12発送
(輸血日2014.10〜2015.09)
2014年実績
2014.01〜2014.12発送
(輸血日2013.10〜2014.09)
案内発送対象者数 372 入院 46 358 入院 43
外来 327 外来 315
検査受診者数 199 入院 34 161 入院 28
外来 165 外来 133
受診率 53.5% 45.0%

研究活動について

学会発表

  1. 堀岡希衣、高橋道範、坂口良典:「嬰児の血液型検査を行い、母子間血液型不一致となった1例」第63回日本輸血・細胞治療学会総会、2015年5月28〜30日、東京都
  2. 高橋道範、坂口良典、筒井自子、西尾充史:「慢性血液疾患から急性転化した急性白血病の発症に一致してABO血液型抗原量の減弱をみた1例」第63回日本輸血・細胞治療学会総会、2015年5月28〜30日、東京都
  3. 高橋道範、坂口良典、筒井自子、西尾充史:「看護師に対する輸血業務教育は本当に安全な輸血に寄与するのか?」第63回日本輸血・細胞治療学会総会、2015年5月28〜30日、東京都
  4. 坂口良典、高橋道範、他:「北海道認定輸血検査技師協議会『輸血検査コントロールサーベイ』実施報告」第4回日本臨床衛生検査技師会北日本支部医学検査学会、2015年10月17日、札幌市

講演・講師

  1. 坂口良典:「輸血検査実技講習会」北海道臨床衛生検査技師会札幌地区第226回臨床検査講座、2015年2月28日、札幌市
  2. 坂口良典:「輸血のトラブルシューティング」北海道臨床衛生検査技師会空知地区検査談話会輸血研修会、2015年3月11日、滝川市
  3. 坂口良典:「症例で考える輸血検査」第188回北海道臨床衛生検査技師会講習会輸血部門、2015年7月11日、旭川市
  4. 坂口良典:「症例で考える輸血検査」第189回北海道臨床衛生検査技師会講習会輸血部門、2015年8月8日、札幌市
  5. 坂口良典:「基本のきほん」北海道臨床衛生検査技師会道央地区輸血実技講習会、2015年10月31日、苫小牧市