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麻酔科・手術センター・ペインクリニックセンター

診療・業務内容

臨床麻酔

麻酔科管理手術件数の推移は、2011年は2,515件、 2012年は2,477件、2013年は2,392件と若干減少しましたが、2014年は2,490件に、そして2015年は2,743例と大幅に増加しました。呼吸器外科と乳腺外科が充実した結果と思われます。これは札医大麻酔科関連病院の中でも上位に入る症例数であり、毎日活発に手術が行われています。

臨床研修制度により当科には1年次研修医が2か月必修として研修します。医師として必要なマスク換気・気管挿管手技と脊髄くも膜下穿刺の技術取得に加えて、循環、呼吸、輸液などの全身管理の習得を目指します。2年目に麻酔科選択した研修医は、各自の目指す専攻科に合わせて上記技術のレベルを上げながら硬膜外穿刺、エコー下神経ブロックなど一段進んだ麻酔技能習得を目指します。研修医の諸君は麻酔科にとっては大変貴重な戦力であり、並列麻酔を行うことのない手術室の安全運営に欠かせない存在になっています。

手術室の安全管理運営は重要な項目です。当科では安全な麻酔管理を行うために必要なシステムの一つとして、朝8時から当日の麻酔全症例検討会を行い、各症例の情報を共有しています。こうすることで麻酔困難症例を見逃すことなく全員でそれを認識し、チームとして対応できるように取り組んでいます。

ペインクリニック

ペインクリニックは痛み、機能障害に対し、主に神経ブロックを応用して治療を行う診療部門ですが、当院ペインクリニックセンターには他院より紹介された、あるいはホームページを見て、という多くの患者さんが来られます。

椎間板ヘルニアなどでは神経ブロックを中心とする治療により手術を回避できる場合も多く、また、腰部脊柱管狭窄症、閉塞性動脈硬化症などの痛みについても神経ブロックによりコントロールが可能となることが少なくありません。その他三叉神経痛、帯状疱疹関連痛、複合性局所疼痛症候群、がんによる痛みも治療対象となります。近年、薬物療法を主体とする緩和医療の発展により癌の痛みに対する神経ブロックは以前ほど行われなくなりましたが、神経ブロックを施行することで自宅での生活が可能になる場合も珍しくありません。

神経ブロックにはX線透視を必要とする場合があるほか、透視を用いることにより完成度の高い神経ブロックを行うことができる場合があります。下にX線透視下神経ブロック件数を示します。当科では手術予定の患者さんに対して当日朝にX線透視下に硬膜外カテーテル挿入を行う場合があります。このような方法で硬膜外カテーテルを挿入している施設は他に例を見ないと考えますが、確実なブロック効果を期待でき、術後の鎮痛のためにも有用です。

神経ブロック以上に当院ペインクリニックにおいて特色ある治療は胸腔鏡下交感神経遮断術、脊髄刺激療法です。胸腔鏡下交感神経遮断術の最もよい適応は手掌多汗症ですが、頭部・顔面、腋窩多汗症、赤面症、手の末梢循環不全に対しても行われます。2014年より北海道で原発性局所多汗症に対してこの手術を行う施設は当科のみとなったため手術件数が顕著に増加しています。脊髄刺激療法は脊椎手術後に残存する痛み、四肢の末梢血管障害、複合性局所疼痛症候群などの難治性の痛みに対して施行しています。最近は機器の進歩もあり、この治療により職業の継続が可能となっている事例が増えています。脊髄刺激療法も北海道で施行可能な施設が少ないため全道から患者さんが受診されます。

これらの手術療法、神経ブロックが適応とならない患者さんには漢方を含む薬物療法、理学療法などによる治療を行います。どのような治療法を選択するにしても患者さんになるべく苦痛を与えずに安全で質の高い医療を提供することを当科の信条としています。また、痛みの治療を志す若い先生方の研修機関として彼らとともに研鑽を重ねていきたいと考えています。

最近5年間のペインクリニックの動向

  2011年 2012年 2013年 2014年 2015年
新患数(名) 512 669 570 642 730
延患者数(名) 10,189 7,238 6,879 7,335 7,931
入院患者数(名) 117 124 114 110 96
透視下
ブロック件数(件)
1,159 1,109 1,176 1,086 1,288
多汗症手術件数(件) 18 24 33 46 42

研究活動について

著書

  1. 佐々木英昭、鈴木健吾:「II. 覚醒遅延.PBLD形式で学ぶ麻酔科危機管理」山蔭道明監修、克誠堂出版、東京、pp.156-65、2015

総説

  1. 御村光子:「原発性局所多汗症に対する胸腔鏡下交感神経遮断術 Topics麻酔科学」医学のあゆみ2015; 254(13): 1188-9

国際学会

  1. The European Anaesthesiology Congress.Berlin, Germany. May. 30-June. 2, 2015. Takahashi S, Nakayama Y, Yamasawa Y, Yamakage M: Usefulness of new model Airway Scope in simulated di cult airway scenarios -Comparison with Airtraq and Macintosh laryngoscope-.
    Takahashi S ,Miyamoto N, Nakayama Y, Mimura M, Mizuguchi A, Yamakage M: Changes of temporal measurement in cardi-ac output using a non-invasive cardiac output measurement device(ICON) on a labor patient with congenital heart disease during epidural anagesia.

全国学会

  1. 御村光子、硲光司、宮本奈穂子、橘信子、山澤弦、浅野清香、浦濱聡、君塚基修:「当科最近10年間における下腸間膜動脈神経叢ブロックに関する検討」日本ペインクリニック学会第49回大会(大阪)、2015年7月23〜25日
  2. 御村光子、宮本奈穂子、硲光司、佐々木英昭、山澤弦、浦濱聡、杉本玲緒奈、佐々木那央:「X線透視下内臓神経ブロックに未来はあるか?:当科における最近10年間の内臓神経ブロック症例の検討」日本臨床麻酔学会第35回大会(横浜)、2015年10月21〜23日
  3. 宮本奈穂子、水口亜紀、高橋さゆみ、君塚基建、御村光子、山澤弦:「非侵襲的心拍出量測定器エスクロンミニRを用いた心疾患合併妊婦の無痛分娩における心拍出量変化」第26回日本臨床モニター学会総会(札幌)、2015年5月15〜16日

研究会・地方会

  1. 佐々木英昭、御村光子、山澤弦、宮本奈穂子、浦濱聡、杉本玲緒奈、佐々木那央、本間英司:「最近10年間における胸腔鏡下交感神経遮断術後早期の合併症」第21回日本胸腔鏡下交感神経遮断研究会(佐賀)、2015年9月26日
  2. 佐々木英昭、御村光子、佐々木那央、杉本玲緒奈、浦濱聡、宮本奈穂子、山澤弦:「脊髄刺激経皮リードをSeldinger法によりパドル型電極に交換した腰下肢痛の一症例」第16回北海道機能神経外科研究会(札幌)、2015年11月7日
  3. 佐々木英昭、御村光子、佐々木那央、杉本玲緒奈、浦濱聡、硲光司、宮本奈穂子、山澤弦:「脊髄刺激電極をパドル型に交換後臀部痛が軽減した臀部神経鞘腫切除後の1症例」第31回北海道ペインクリニック学会(札幌)、2015年11月28日
  4. 佐々木那央、御村光子、佐々木英昭、宮本奈穂子、浦濱聡:「山澤弦胸腔鏡下交感神経遮断術後に肺の拡張不全が遷延した手掌多汗症の2症例」第5回日本麻酔科学会 北海道・東北支部学術集会(弘前)、2015年9月12日

講演等

  1. 御村光子:「ペインクリニックの治療戦略―薬物療法、神経ブロック、手術」北広島医師会学術講演会、2015年4月22日、北広島
  2. 御村光子:「内臓痛に奏効する神経ブロック」第6回北海道痛みを考える会、2015年11月28日、札幌
  3. 宮本菜穂子:「がん性疼痛の神経ブロック治療の適応について」第4回緩和ケア勉強会、2015年11月13日、NTT東日本札幌病

新聞記事

  1. 御村光子:会員のひろば「人の本質を伝えるものは?」北海道医報、2015年9月号、P55