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産婦人科

診療

2015年度は上記のようなスタッフの異動があった。黒川の出産のため、秋から水柿に交代した。非常勤では水曜日の外来は佐藤まり子が、水金の外来は村岡友美子が担当している。

業務内容

産科

分娩方針はこれまでどおり、リスクを的確に把握し、リスクの低い妊婦さんには自然分娩を推奨している。2015年度の分娩数は612件であった。昨年度は20.1%であった帝王切開率は今年度は22.5%に増加した。ガイドラインに準拠した陣痛促進により帝王切開が増えたわけではなく、既往帝王切開妊婦が増えたためと考えられた。(図1、表1、2)

当院は地域周産期センターの役割も担っており、 2015年は12件の母体搬送を受け入れた。逆に他病院への搬送は2件であった。今年度の、産科の統計を表1に示す。30週未満の早産は1例のみであった。

助産師外来(パール外来)を導入し11年が経過した。今年度は、さらに一歩踏み出し、長年の懸案である院内助産がスタートした。まだ、院内助産で出産した妊婦さんはごく少数だが見守っていきたい。外来の妊婦健診では、超音波スクリーニング、早産予防の取り組みを行っている。また、出生前診断について希望のある妊婦には専門助産師による出生前診断の相談外来を行っている。産後のメンタルヘルスケアへの取り組みとして、産後うつ病のスクリーニングを行っている。リスクのある症例には産後2週間健診や電話訪問など行っている。搬送の受け入れは、妊娠30週以降の切迫早産、子宮内胎児発育遅延、妊娠高血圧症候群などを中心に受け入れている。

表1 2015年度産科統計

総計 612
帝王切開 138
  帝王切開率 22.50%
【合併症】
  常位胎盤早期剥離 0
  前置胎盤 5
  IUGR 2
  PIH 11
  双胎 9
早産 35
  30週未満 0
  30週0日〜34週6日 11
  35週0日〜36週6日 40
分娩時異常出血(1000ml以上) 57
  1000〜1499ml 34
  1500〜1999ml 16
  2000ml以上 7
吸引分娩 18
双胎経腟分娩 1

表2 帝王切開の適応

緊急帝王切開の適応
母体要因 既往c/sの陣発、PROM 5
骨盤位の陣発、PROM 5
LAM後の陣発、PROM 1
双胎 1
CPD、分娩停止 8
子宮内感染 4
PIH 7
外陰ヘルペス 1
低置胎盤 1
胎児要因 IUGR 2
早産 1
胎児心音異常 8
選択的帝王切開の適応
既往c/s 35
骨盤位、横位 21
双胎 8
筋腫核出後 10
前置胎盤 5
低置胎盤 6
筋腫合併 1
CPD 3
PJH 2
巨大児 1

図1 分娩、帝王切開件数の年次推移

婦人科

表3に示すように、2014年度の婦人科手術件数は925件(術式別の総計)であった。年間手術件数は腹腔鏡手術:405件、子宮鏡手術:99件、レーザー手術:152件、骨盤臓器脱手術:46件となっている(表3)。腹腔鏡手術の内訳は、附属器の手術が最も多く、 197件。子宮摘出術(LAVH/TLH)が126件。子宮筋腫核出術が60件となっている(図3、4)。レーザー手術は子宮頸部上皮内癌には原則円錐切除を行っているが、中等度ないし高度異形成の症例にはレーザーによる蒸散術を日帰り手術で行っている。今年度は152件のCIN治療をレーザーで行ったことになる。メッシュを用いた骨盤臓器脱に対するTVM手術は、導入から約300症例になり、安定した成績である。

子宮筋腫、子宮内膜ポリープに対する子宮鏡手術、過多月経に対するマイクロ波子宮内膜焼灼術(子宮鏡下子宮内膜焼灼術)は計99件施行した。外来に導入した細径子宮鏡システムにより即日、外来での直視下バイオプシーも可能になっている。

表3 2015年度手術術式別件数

産科手術
選択帝王切開術 92
緊急帝王切開術 45
シロッカー氏頸管縫縮術 5
前置胎盤合併帝王切開術 4
卵管結紮術 4
子宮破裂手術 2
計152
婦人科手術
腹腔鏡下子宮付属器腫瘍摘出術 197
腹腔鏡下腟式子宮全摘術 126
腹腔鏡下子宮筋腫核出術 60
腹腔鏡下内膜症病巣除去術 15
腹腔鏡下子宮外妊娠手術 7
小計:腹腔鏡手術 405
腹式子宮全摘術 57
腹式子宮付属器腫瘍摘出術 39
腹式子宮筋腫核出術 2
腹腔膿瘍手術 0
小計:良性開腹手術 98
卵巣癌手術 39
子宮体部癌手術 8
腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術 6
子宮頸部癌手術 1
女性外性器悪性腫瘍手術 0
小計:進行癌手術 54
子宮頸部レーザー照射術 116
子宮膣部円錐切除術 36
小計:レーザー手術 152
流産手術 44
子宮内膜掻爬術 13
胞状奇胎除去術 4
子宮頚管ポリープ切除術 2
バルトリン腺腫瘍摘除術 2
尖圭コンジローマ手術 3
外陰血腫除去術 3
小計:腟式(掻爬など)手術 71
子宮鏡下子宮筋腫核出術(内膜ポリープを含む) 91
子宮鏡下子宮内膜焼灼術 8
小計:子宮鏡手術 99
子宮脱手術(膣閉鎖含む) 46
小計:骨盤臓器脱手術 46
計925

図2 手術術式別年次推移

図3 2015年腹腔鏡手術の内訳

図4 腹腔鏡手術の年次推移

研究活動

長期間にわたってトキソプラズマの先天感染のスクリーニングに関する臨床研修を継続している。2015年には2篇の英語論文となった。2016年は日本周産期新生児学会のシンポジウムで発表予定である。 2015年度は、これまでの当科における妊娠糖尿病スクリーニングの有用性について検証し学会で発表した。子宮頸部異形成に対するレーザー治療についても各種学会で発表している。

研究活動について

講演

  1. 西川鑑:特別講演「子宮内膜症の治療 ―私の治療選択―」札幌子宮内膜症研究会、2015年2月6日、札幌
  2. 西川鑑:「子宮内膜症の治療 ―私の治療選択―」キッセイ薬品社内勉強会、2015年3月6日、札幌
  3. 西川鑑:「プレママわくわくセミナー ハロー赤ちゃん!」お母さまになる方のための母子保健教室、2015年4月21日、札幌
  4. 西川鑑:「産科婦人科領域のエネルギーディバイスについて」日本産科婦人科学会第67回学術講演会、2015年4月11日、横浜ランチョンセミナー19
  5. 西川鑑:「(1)生命倫理に関するもの」第1回母体保護法指定医師研修会、8月24日、札幌
  6. 西川鑑:「卵巣がんについて」持田製薬社員研修、2015年7月29日、札幌
  7. 西川鑑:「子宮内膜症の診断と治療」あすか製薬社内講演、2015年7月31日、札幌
  8. 西川鑑:シンポジスト「ホロジック・スポンサード Cytologyカンファレンス―子宮頸がん検診とベセスダシステムを考える―」第24回日本婦人科がん検診学会総会・学術講演会/第23回日本がん検診診断学会総会・学術講演会、2015年8月21日〜22日、札幌
  9. 西川鑑:「最近の審査状況について」日産婦医会医療保険研修会、2015年8月30日、札幌
  10. 西川鑑:特別講演「卵巣癌における治療戦略ー当院におけるBevacizumab併用療法ー」北海道卵巣癌Web conference、2015年8月31日、札幌
  11. 西川鑑:ランチョンセミナー10 「安全性とQOLを意識した子宮内膜症治療戦略 〜診断・手術手技から形成外科的創閉鎖まで〜」第55回日本産科婦人科内視鏡学会学術講演会、2015年9月10日〜12日、横浜
  12. 西川鑑:「女性の一生をサポートする産婦人科医からのアドバイス」第189回健康セミナー、札幌、2015年12月19日

座長・学会幹事等

  1. 西川鑑(司会):第40回札幌市医師会医学会、2015年2月22日、札幌
  2. 西川鑑(座長):教育講演、第13回北海道周産期談話会、2015年8月1日、札幌
  3. 西川鑑(幹事):第13回北海道周産期談話会、 2015年8月1日、札幌
  4. 西川鑑(座長):北海道産婦人科周術期合併症研究会、2015年9月26日、札幌
  5. 二瓶岳人(座長)、西川鑑(事務局):第93回北海道産科婦人科学会・学術講演会、2015年10月11日、札幌

国内学会

  1. 札幌婦人科腫瘍支持療法セミナー、2015年3月14日、札幌
    黒川晶子:一般演題「当院における制吐療法の実際」
  2. 日本産科婦人科学会第67回学術講演会、2015年4月9日〜12日、横浜
    松浦基樹、田渕雄大、玉手雅人、寺本瑞絵、田中綾一、岩ア 雅宏、齋藤豪:「婦人科がんTC療法に対するパロノセトロンによるステロイド減量に関する第2相試験」
    齋藤雅恵、西川鑑、黒川晶子、鈴木利理、清水亜由美、池田桂子、二瓶岳人(NTT東日本札幌病院):「細胞診でASC―USであった260症例のHPVおよび組織診についての検討
    西川鑑(NTT東日本札幌病院)、黒川晶子、鈴木利理、齋藤雅恵、清水亜由美、池田桂子、二瓶岳人(NTT東日本札幌病院):「腟断端離開発生の術式別頻度―V-LocTM180を用いた全腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)における腟断端縫合法の成績―」
  3. 第5回北海道GYN腹腔鏡セミナー、2015年5月30日、札幌
    西川鑑(NTT東日本札幌病院):ビデオディスカッション(ビデオ提供)
  4. 第56回日本臨床細胞学会総会(春期大会)、2015年6月12日〜14日、松江
    田渕雄大、松浦基樹、寺本瑞絵、郷久晴朗、田中綾一、岩ア 雅宏、齋藤豪:一般演題(示説)「術後20年目に腟断端に局所再発した子宮体癌の一例」寺本瑞絵、田中綾一、今沙織、西澤庸子、竹浪奈穂子、鈴木美和、高橋円、郷久晴朗、岩ア 雅宏、齋藤豪:一般演題(示説)「平滑筋肉腫として再発した子宮頸部原発の悪性度不明な平滑筋肉腫(STUMP)の一例」
    池田桂子、小松健一郎(NTT東日本札幌病院産婦人科)、中野有子(NTT東日本札幌病院臨床検査科)、本間則之(NTT東日本札幌病院臨床検査科)、佐藤晶明(NTT東日本札幌病院臨床検査科)、高桑康成(NTT東日本札幌病院臨床検査科)、西川鑑(NTT東日本札幌病院産婦人科):一般演題(示説)「子宮頸部、内膜細胞診が診断の契機となった原発性卵管癌の1例」
  5. 第38回日本遺伝カウンセリング学会学術集会、 2015年6月25日〜28日、千葉
    遠藤俊明、馬場剛、川俣あかり、水内将人、寺本瑞絵、石岡伸一、西川鑑(NTT東日本札幌病院産婦人科)、森若治(神谷レディースクリニック)、幡洋(大谷地産婦人科)、池田官司(北海道文教大学人間科部)、舛森直哉(札幌医科大学泌尿器科)、齋藤豪:「Y染色体関連性分化疾患で性腺摘出をする前後の遺伝カウンセリングについて」
  6. Chugai Ovarian Cancer Symposium 2015 in Sapporo、2015年7月4日、札幌
    水柿祐子:一般演題「再発・進行卵巣癌に対するベバシズマブ併用化学療法の有害事象に関する検討
  7. 第51回日本周産期・新生児医学会、2015年7月10日〜12日、福岡
    清水亜由美、鈴木利理、齋藤雅恵、西川鑑(NTT東日本札幌病院産婦人科):一般演題(ポスター)「部分胞状奇胎との鑑別が必要であった間葉性異型性胎盤(PMD)の一例
  8. 周産期談話会
    黒川晶子:「当科における50g Glucose Challenge Testの成績」
  9. 第63回北日本産科婦人科学会総会・学術講演会、2015年9月5日〜6日、福島
    黒川晶子、西川鑑(NTT東日本札幌病院産婦人科)、清水亜由美、池田桂子、二瓶岳人(NTT東日本札幌病院産婦人科):一般演題「妊娠28週における1049例の50g Glucose Challenge Testの成績西川鑑(NTT東日本札幌病院産婦人科)、黒川晶子、清水亜由美、池田桂子、二瓶岳人(NTT東日本札幌病院産婦人科):「細胞診で推定しNBI腹腔鏡システムが確定診断に有用であった原発性卵巣癌の臨床病理所見」
    西川鑑(NTT東日本札幌病院産婦人科)、黒川晶子、清水亜由美、池田桂子、二瓶岳人(NTT東日本札幌病院産婦人科):「NBI腹腔鏡システムが診断に有用であった原発性卵管癌の一例」
  10. 第55回日本産科婦人科内視鏡学会学術講演会、2015年9月10日〜12日、横浜
    西川 鑑(NTT東日本札幌病院産婦人科)、黒川晶子、清水亜由美、池田桂子、二瓶岳人(NTT東日本札幌病院産婦人科):「NBI腹腔鏡システムが診断に有用であった原発性卵管癌の一例」
  11. 第4回札幌婦人科がんの会、2015年10月3日、札幌
    黒川晶子:一般演題「当科におけるアロキシを併用したTC+アバスチン療法の使用経験」
  12. 第93回北海道産科婦人科学会・学術講演会、 2015年10月11日、札幌
    黒川晶子、西川鑑(学会運営事務局、NTT東日本札幌病院産婦人科)、鈴木利理、齋藤雅恵、清水亜由美、池田桂子、二瓶岳人(一般講演座長、NTT東日本札幌病院産婦人科):「腹腔鏡下子宮全摘術時に大網内に腫瘤を認め、腹腔内アニサキス症が疑われた1例」
  13. 第59回日本人類遺伝学会、2015年10月14日〜17日、東京
    寺本瑞絵、遠藤俊明、石井玲(岩見沢市立病院小児科)、水内将人、馬場剛、石岡伸一、西川鑑(NTT東日本札幌病院産婦人科)、齋藤豪:一般演題(ポスター)「原発性無月経を呈したDSD (Disorders of Sex Development)に対する遺伝カウンセリングおよび産婦人科診療」
  14. 第52回日本癌治療学会学術集会、2015年10月29日〜31日、京都
    齋藤豪、岩ア 雅宏、田中綾一、寺本瑞絵、郷久晴朗、西川鑑(NTT東日本札幌病院産婦人科):臓器別シンポジウム「世界の動向と治療ガイドライン作成での議論」
  15. 第35回北海道臨床細胞学会総会並びに学術集会、2015年11月1日、旭川
    金美善、寺本瑞絵、鈴木美和、郷久晴朗、田中綾一、岩ア雅宏、石岡伸一、西川鑑(NTT東日本札幌病院産婦人科)、齋藤豪:一般演題「細胞診が有用であった、腹膜癌の症例」
  16. 第54回日本臨床細胞学会(秋期大会)、2015年11月21日〜22日、名古屋
    池田桂子、小松健一郎(NTT東日本札幌病院臨床検査科)、中野有子(NTT東日本札幌病院臨床検査科)、本間則之(NTT東日本札幌病院臨床検査科)、高桑康成(NTT東日本札幌病院臨床検査科)、佐藤昌明(NTT東日本札幌病院臨床検査科)、西川鑑(NTT東日本札幌病院産婦人科):一般演題(示説)「卵管原発癌肉腫の1例」

国際学会

  1. International Meeting of The European Society of Gynaecological Oncology, October24-27, 2015 Nice, France
    Saito T, Asano T, Hirohashi Y(Deparment of Pathology Section), Torigoe T(Deparment of Pathology Section), Mariya T, Kuroda T, Tanaka R, Teramoto M, Iwasaki M, Satohisa S, Nishikawa A(NTT East Sapporo Hospital):<Poster> Brother of the regulator of the imprinted site (BORIS) variant subfamily 6 is involved in cervical cancer stemness and can be a target of immunotherapy.
    Nishikawa A(NTT East Sapporo Medical Center, Dept. Obstetrics and Gynecology), Mariya T, Kurokawa S, Shimizu A, Ikeda K, Nihei T(NTT East Sapporo Medical Center, Dept. Obstetrics and Gynecology): Laser vaporization versus Laser conization for CIN3 a comparison of long term outcome.

論文

  1. 沼田佳苗、西川鑑(NTT東日本札幌病院)、真里谷奨、川俣 あかり、二瓶岳人(NTT東日本札幌病院):「卵巣癌症例の血小板数と腹水貯留の関連性について」北海道産科婦人科学会、会誌 58(1):21-24、2014)
  2. Matsuura M, Satohisa S, Teramoto M, Tanaka R, Iwasaki M, Nishikawa A, Mizunuma M, Tanaka S, Hayakawa O, Saito T: Palonosetron in combination with 1-day versus 3-day dexamethasone for prevention of nausea and vomiting following paclitaxel and carboplatin in patients with gynecologic cancers: A randomized, multicenter, phase-II trial. J Obstet Gynaecol Res. 2015 Oct;41(10):1607-13. doi: 10.1111/jog. 12748. Epub 2015 Jul 21. PubMed PMID: 26199182.
  3. Tanimura K, Nishikawa A, Tairaku S, Shinozaki N, Deguchi M, Morizane M, Ebina Y, Morioka I, Yamada H: The IgG avidity value for the prediction of Toxoplasma gon-dii infection in the amniotic uid. J Infect Chemother. 2015 Sep;21(9):668-71. doi: 10.1016/j.jiac.2015.05.013. Epub 2015 Jun 9.PubMed PMID: 26141811.
  4. 西川鑑:「第40回札医医学会印象記産婦人科」札医通信 559号

講義

  1. 西川鑑:「子宮頸部の良性・悪性疾患」6月19日、札幌医科大学医学部