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産婦人科

診療

2014年度は上記のようなスタッフの異動があった。

2013年の春から赴任していた斎藤、鈴木が予想外の移動となり秋から池田、黒川に入れ替わった。西川、二瓶、清水はこの1年もそのまま診療にあたった。非常勤では水曜日の外来は佐藤まり子が、水金の外来は村岡友美子が担当している。

産科

分娩方針はこれまでどおり、リスクを的確に把握し、リスクの低い妊婦さんには自然分娩を推奨している。2014年度の分娩数は570件であった。昨年度は18.5%であった帝王切開率は今年度は20.1%にやや増加した。今年は例年にも増して筋腫核出後の妊娠例の増加により選択的帝王切開術が増加した。(図1、表1、2)

当院は地域周産期センターの役割も担っており、2014年は12件の母体搬送を受け入れた。逆に他病院への搬送は1件であった。今年度の、産科の統計を表1に示す。30週未満の早産は1例のみであった。

助産師外来(パール外来)を導入し10年が経過した。妊婦さんからも違和感なく受け入れられている。今年度は、さらに一歩踏み出し、長年の懸案である院内助産システムの構築を目指している。外来の妊婦健診では、超音波スクリーニング、早産予防の取り組みを行っている。また、出生前診断について希望のある妊婦には専門助産師による出生前診断の相談外来を行っている。産後のメンタルヘルスケアへの取り組みとして、産後うつ病のスクリーニングを行っている。リスクのある症例には産後2週間健診や電話訪問など行っている。搬送の受け入れは、妊娠30週以降の切迫早産、子宮内胎児発育遅延、妊娠高血圧症候群などを中心に受け入れている。

表1 2014年度産科統計

総計 571
帝王切開 115
  帝王切開率 20.14%
【合併症】
  常位胎盤早期剥離 0
  前置胎盤 3
  IUGR 2
  PIH 10
  双胎 5
早産 35
  30週未満 1
  30週0日〜34週6日 10
  35週0日〜36週6日 24
分娩時異常出血(1000ml以上) 57
  1000〜1499ml 39
  1500〜1999ml 13
  2000ml以上 5
吸引分娩 30
双胎経腟分娩 0

表2 帝王切開の適応

緊急帝王切開の適応
母体要因 既往c/sの陣発、PROM 3
骨盤位の陣発、PROM 1
LAM後の陣発、PROM 2
双胎 3
CPD、分娩停止 6
子宮内感染 5
PIH 5
HELLP症候群 1
子癇発作 1
胎児要因 IUGR 2
早産 1
胎児心音異常 30
選択的帝王切開の適応
既往c/s 29
骨盤位、横位 18
双胎 2
筋腫核出後 15
前置胎盤 3
低置胎盤 3
頚部筋腫合併 2
巨大児 1

婦人科

表3に示すように、2014年度の婦人科手術件数は950件(術式別の総計)であった。年間手術件数は腹腔鏡手術:413件、子宮鏡手術:92件、レーザー手術:156件、骨盤臓器脱手術:59件となっている(表3)。腹腔鏡手術の内訳は、附属器の手術が最も多く、194件。 子宮摘出術(LAVH/TLH)が137件。子宮筋腫核出術が55件となっている(図3、4)。レーザー手術は子宮頸部上皮内癌には円錐切除を行っているが、中等度ないし高度異形成の症例にはレーザーによる蒸散術を日帰り手術で行っている。今年度は156件のCIN治療をレーザーで行ったことになる。メッシュを用いた骨盤臓器脱に対するTVM手術は、導入から250例を超え、安定した成績である。

子宮筋腫、子宮内膜ポリープに対する子宮鏡手術、過多月経に対するマイクロ波子宮内膜焼灼術(子宮鏡下子宮内膜焼灼術)は計92件施行した。外来に導入した細径子宮鏡システムにより即日、外来での直視下バイオプシーも可能になった。

表3 2014年度手術術式別件数

産科手術
選択帝王切開術 73
緊急帝王切開術 42
シロッカー氏頸管縫縮術 7
前置胎盤合併帝王切開術 3
卵管結紮術 4
計129
婦人科手術
腹腔鏡下子宮付属器腫瘍摘出術 194
腹腔鏡下腟式子宮全摘術 137
腹腔鏡下子宮筋腫核出術 55
腹腔鏡下内膜症病巣除去術 18
腹腔鏡下子宮外妊娠手術 9
小計:腹腔鏡手術 413
腹式子宮全摘術 71
腹式子宮付属器腫瘍摘出術 37
腹式子宮筋腫核出術 2
腹腔膿瘍手術 2
小計:良性開腹手術 112
卵巣癌手術 16
子宮体部癌手術 7
腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術 3
子宮頸部癌手術 3
女性外性器悪性腫瘍手術 1
小計:進行癌手術 30
子宮頸部レーザー照射術 122
子宮膣部円錐切除術 34
小計:レーザー手術 156
流産手術 60
子宮内膜掻爬術 14
胞状奇胎除去術 3
子宮頚管ポリープ切除術 5
バルトリン腺腫瘍摘除術 5
膣壁裂創縫合術 1
小計:腟式(掻爬など)手術 88
子宮鏡下子宮筋腫核出術(内膜ポリープを含む) 80
子宮鏡下子宮内膜焼灼術 12
小計:子宮鏡手術 92
子宮脱手術(膣閉鎖含む) 51
膣閉鎖術 8
小計:骨盤臓器脱手術 59
計950

図1 分娩、帝王切開件数の年次推移

表2 手術術式別年次推移

表3 平成26年腹腔鏡手術の内訳図

表4 腹腔鏡手術の年次推移

研究活動

北海道トキソプラズマ研究会として前方視的研究を行ってきた結果、先天性トキソプラズマ感染症の管理指針を提唱している。研究成果は2014年の学会でシンポジストとして発表した。現在も精査、カウンセリング等の紹介が多い。子宮頸部上皮内病変に関してはヒトパピローマウイルスのタイピング検査を取り入れた管理・治療方針の確立を目標に前方視的研究を行っている。TVM症例の手術成績、子宮内膜症症例の臨床研究、産後うつのスクリーニングに関しての臨床研究も行っている。

2014年度業績

講演

  1. 西川鑑:「プレママわくわくセミナーハロー赤ちゃん!」お母さまになる方のための母子保健教室、札幌エルプラザ、5月26日、札幌
  2. 西川鑑:「婦人科腹腔鏡下手術と癒着防止」科研製薬社内勉強会、6月27日
  3. 西川鑑:「第1回母体保護法指定医師研修会 (1)生命倫理に関するもの」第1回母体保護法指定医師研修会、道医会館、8月24日
  4. 西川鑑:特別講演「女性の健康とワクチン」釧路女性医師の会、10月17日
  5. 西川鑑:講演「HPVとCIN」札幌市産婦人科勤務医会、10月23日
  6. 西川鑑:特別講演「婦人科疾患における難治性疼痛の最近の知見」道東産婦人科医会、11月22日

座長

  1. 西川鑑:「第4回北海道GYN腹腔鏡セミナーラパロチームとしての役割を考える−セッティングやチーム連携からの創造−」座長、2月8日
  2. 西川鑑:「第39回札医医学会ポスターセッション」司会、2月16日
  3. 西川鑑:パネルディスカッション「実践:胎児心拍モニタリング」北海道周産期研修会、座長、3月15日
  4. 西川鑑:「第12回北海道周産期談話会」座長、8月9日
  5. 西川鑑:「第53回日本臨床細胞学会秋季大会ポスターセッション」座長、11月8日

学会発表

  1. 第35回日本エンドメトリオーシス学会、鹿児島、1月25〜26日
    齋藤雅恵、西川鑑、鈴木利理、真里谷奨、清水亜由美、二瓶岳人:「原発性臍部子宮内膜症の一例」〈一般演題〉
  2. 第4回北海道GYN腹腔鏡セミナー、札幌、2月8日
    西川鑑(NTT東日本札幌病院産婦人科)、奥野光(手術部):「ラパロチームとしての役割を考える−セッティングやチーム連携からの創造−」
  3. 第66回日本産科婦人科学会学術講演会、東京、4月18〜20日
    鈴木利理、西川鑑、齋藤雅恵、清水亜由美、二瓶岳人:「当院におけるローリスク妊婦の分娩成績−院内助産システムの導入に向けて−」〈一般演題〉
  4. 第31回日本産婦人科感染症研究会学術集会、神戸、6月7日
    西川鑑※1、鈴木利理※1、斎藤雅恵※1、平久進也※2、山田秀人※2、山田俊※3、山本智宏※4、水江由佳※5、西平順※6(NTT東日本札幌病院※1、神戸大※2、北海道大※3、ジェネティックラボ病理解析センター※4、札幌イムノ・ダイアグノスティック・ラボラトリー企画開発部(現札幌医科大学解剖学講座)※5、北海道情報大学医療情報学科※6):シンポジウム1「母子感染〜妊婦スクリーニングの効果と課題」IgG avidityとPCR法を用いたトキソプラズマ妊婦スクリーニング
    真里谷奨※1※2、齋藤豪※1、2、鈴木利理※2、齋藤雅恵※2、清水亜由美※2、二瓶岳人※2、西川鑑※2(札幌医科大学産婦人科※1、NTT東日本札幌病院産婦人科※2):「腹膜透析中に感染性子宮内膜症性嚢胞の破裂を認めた1例」〈一般演題〉
  5. 第16回日本女性骨盤底医学会、弘前、7月12日
    西川鑑、鈴木利理、斎藤雅恵、清水亜由美、二瓶岳人(NTT東日本札幌病院産婦人科):「TVM手術をうけた患者の性行動と満足度調査」
  6. 第50回日本周産期・新生児医学会学術集会、千葉、7月14日
    清水亜由美、鈴木利理、齋藤雅恵、二瓶岳人、西川鑑:「異常フィブリノゲン血症患者の妊娠、分娩管理に成功した一例」
  7. 第2回札幌婦人科がんの会、札幌、8月2日
    鈴木利理、西川鑑、齋藤雅恵、清水亜由美、二瓶岳人(NTT東日本札幌病院産婦人科):「良性子宮腫瘍手術後に子宮肉腫と診断された頻度−10年間1930例の当科の統計−」
  8. 第12回北海道周産期談話会、札幌、8月9日
    平井公也、鈴木利理、齋藤雅恵、清水亜由美、二瓶岳人、西川鑑:「HELLP症候群を発症した再生不良性貧血合併妊娠の1例」
  9. 北海道産婦人科周術期合併症研究会、札幌、8月30日
    西川鑑:「当科における腹腔鏡手術後癒着防止についての取り組み」
  10. 第54回日本産科婦人科内視鏡学会学術講演会、鹿児島、9月11日
    西川鑑、鈴木利理、齋藤雅恵、清水亜由美、二瓶岳人:「V-Locクロージャーデバイスを用いたTLHにおける膣断端縫合法とその成績」
    鈴木利理、西川鑑、齋藤雅恵、清水亜由美、二瓶岳人:「10年間の当科における良性子宮腫瘍のための手術後に子宮肉腫と診断された症例の頻度」
  11. 北日本産婦人科学会、金沢、9月28日
    西川鑑※1、鈴木利理※1、斎藤雅恵※1、清水亜由美※1、二瓶岳人※1、平久進也※2、山田秀人※2、山田俊※3(NTT東日本札幌病院※1、神戸大※2、JCHO北海道病院※3):「IgG avidityとPCR法を用いたトキソプラズマ妊婦スクリーニングの成績」
  12. 第53回日本臨床細胞学会秋期大会、下関、11月8日
    齋藤雅恵※1、3、鈴木利理※1、3、真里谷奨※1、小松健一郎※2、杉田有子※2、本間則之※2、佐藤昌明※2、高桑康成※2、西川鑑※1(NTT東日本札幌病院産婦人科※1、NTT東日本札幌病院臨床検査科※2、製鉄記念室蘭病院産婦人科※3):「当院における260例のASC-US症例の臨床病理学的検討」
  13. 北海道産科婦人科学会、札幌、10月19日
    平井公也、西川鑑、鈴木利理、齋藤雅恵、清水亜由美、二瓶岳人(NTT東日本札幌病院産婦人科):「血液疾患合併妊娠のピットフォール〜2症例の経験から〜」
  14. 第5回ラパロを語る会、札幌、9月20日
    西川鑑、清水亜由美、鈴木利理、齋藤雅恵、二瓶岳人:「腹腔鏡下手術後に生じた臍ケロイドの3例」
  15. 15th Annual Congress of the Asia Pacific Association of Gynecologic Endoscopy and Minimally Invasive Therapy (APAGE 2014 Kuala Lumpur)、11月27〜30日
    Akira Nishikawa, Riri Suzuki, Masae Saito, Ayumi Shimizu, Takehito Nihei :(Department of Obstetrics and Gynecology, NTT East Sapporo Medical Center, Sapporo, Hokkaido, Japan):「The use of barbed suture in total laparoscopic hysterectomy.」

論文

  1. 西川鑑:「第39回札医医学会印象記産婦人科」札医通信559号
  2. 鈴木利理※1、齋藤雅恵※1、清水亜由美※1、二瓶岳人※1、西川鑑※1、小松健一郎※2、杉田有子※2、本間則之※2、高桑康成※2、佐藤昌明※2(NTT東日本札幌病院産婦人科※1、NTT東日本札幌病院臨床検査科※2):「子宮頸部明細胞腺癌の2症例」北海道臨床細胞学会会報23巻26-29 2014

学会幹事

  1. 西川鑑:「北海道周産期研修会」幹事、3月15日

講義

  1. 西川鑑:「子宮頸部の良性・悪性疾患」札幌医科大学医学部、6月20日