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年報発行にあたり

院長 小池 隆夫

「2014年をふりかえり2015年を展望する」

昨年、医療界は二つの激震にみまわれました。診療報酬の改定に伴う急性期入院医療の施設要件の厳格化と、消費税増税による病院支出の増加と患者の受診抑制です。本院はそれらに加えてDPCの新規導入による多少の混乱もありました。そのような影響で、当院の昨年の収支は極めて厳しく推移いたしました。

「医療のアウトプットを金銭で量ること」はとても不愉快ですが、病院の足腰を強くすることが、「専門性の高い良質な医療を提供する病院作り」のためには不可欠で、それぞれの職種で最高のパフォーマンスを発揮することが出来るようになるためにも、安定した病院経営基盤の確立、即ち経営の安定化が何よりも優先されます。

私は4年前の着任以来「NTT札幌病院は専門性の高い良質な医療を提供する病院であることを目指す」と再三申し上げて参りました。そのためには@診療体制のイノベーションを考えること、A診療環境のイノベーションを考えること、B医療制度への対応を考えること、そしてC病院経営に関するシステムを見直すこと、この4本の柱の充実が当面の目標であることを強調して参りました。今回もこの4本の柱に基づいて改めて2014年をふりかえりながら、これから先のNTT札幌病院のあり方を考えてみたいと思います。

一本目の柱;「診療体制のイノベーションを考える」ことにつきましては、昨年、要職にお付きの何名かの医師の退職があり診療体制に多少の混乱がありました。平成26年度の研修医は3名増加いたしましたが、2名の初期臨床研修医がフルマッチしなかったことは、新人医師の教育体制を含めまして再考しなければならない課題です。

医学部の学生の1/3は女性が占める時代になってまいりました。当院も女性医師が多いのですが、女性医師のみならず多くの他の職種の方々にとって「当院が本当に働きやすい環境なのかどうか」をしっかりと考え直す必要があります。「のびのびと働ける環境」「自由に意見を言うことができる環境」「建設的な意見がすぐに取り上げられる環境」このような職場環境があって初めて、患者に上質な医療を提供することが出来る病院になれると思います。

二本目の柱;「診療環境のイノベーションを考える」ことにつきましては、病児保育室が完成して、昨年2月末から稼働いたしました。その後は内視鏡室、生理検査室が地下に完成いたしましたし、新しいICUも稼働いたしております。2015年には中央処置室、化学療法センターの改築等々、玉突きで病院内のリノベーションが計画されております。入退院/総合相談センターの設置に向けたトライアルもすでに開始されており、入退院調整の一元化による効率的な病床管理の実施の実現を目指しております。また今年の末から来年にかけて、電子カルテの更改が予定されております。当院の電子カルテの導入は北海道では最も早いものでしたが、機能の充実が遅れたため、多様化する現代の医療に必ずしも追いついてはおりませんでした。

三本目の柱;「医療制度への対応を考える」ことにつきましては、冒頭にも申し上げました通り、昨年の最大のイベントとして、DPCの導入がありました。DPCは特に当院のような急性期医療における「臨床」「経営」「制度」の質を向上し、改善するためには大変有効な手段です。このことは四本目の柱である「病院経営に関するシステムの見直し」にも直結して参ります。DPC制度の本来の主旨を踏まえて、昨年は診療情報管理委員会の機能 の拡大を図りました。その結果、DPCデータに基づいた患者分析、増収施作の検討、さらには他院との様々なデータの比較分析が可能になりました。 昨年の9月からは月に一回「経営に特化した戦略会議」を行っており、様々な視点から病院経営の効率化を考えております。

現在の私共を取り巻く医療環境が、極めて厳しい状況であることは認めざるを得ませんが、「専門性の高い良質な医療を提供するNTT札幌病院」という理想はいつまでも忘れることなく持ち続けていきたく思っております。