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消化器内科・消化器病センター

人の動き

2013年3月末で、医局人事により山本医師、小野医師、堀本医師が転出。1月に札幌恵佑会病院から吉井医師、北大大学院から羽場医師、市立函館病院から川本医師が加入した。また後期研修医として10月から林医師が加入した。

2012年から2013年にかけても医師の人数に変更はなかったが、3人が交代したため若干混乱が生じた。しかし、北大消化器内科学講座から上下部消化管の内視鏡パート医の派遣を継続して戴いた他、北大放射線診療科から作原先生に月に2回IVRをお手伝い戴いた。慢性のマンパワー不足を助けていただき非常に心強い限りであった。

初期研修医は延べ例年とほぼ同じ10名が当科で研修し、一般病棟診療から内視鏡検査、ERCPに至るまで精力的に参加してもらった。本年は1年間研修医がブランク無く働いてもらう事が出来た。上述のように当科は慢性的なマンパワー不足であったため、研修医は貴重な戦力であり、当科の運営を支えてもらった。

2年目の研修医には疑似主治医となってもらい診察や治療方針も考えて実際の患者さんの内視鏡も施行してもらい消化器内科の診療を経験してもらった。

3月で退職した山本医師は4月から札幌逓信病院に転勤した。また小野医師は札幌市立病院に転勤、堀本医師は1年で北大病院に戻る形になった。非常に多忙な日々で毎日夜遅くまで、また休日も出勤し診療を支えてくださった上記の先生方に感謝するとともに、これからの各々方のご活躍を期待します。

業務内容

消化器内科の業務体制としては外来、入院の診療の他、内視鏡や超音波、X線等を用いた検査、化学療法が挙げられる。

図1に過去5年間の外来患者数の推移を示す。年間外来患者数では2013年はようやく患者数が増加に転じ、V字回復傾向を示した。前年に引き続いて外来の受付を予約制にしていたが新患の予約枠を広げたことと、他科からの紹介や他院からの情報提供書を持参した患者さんは基本的に診察する事にしたことにより着実に患者数が増えてきた。

2013年から新たに加入した先生方の尽力により、パフォーマンスが向上した。また外来スタッフの協力もあり、消化器疾患と思われる患者さんを可能な限り診察する方向になってきた。収益も昨年から回復してきた。また、4月からは火曜日の午後に北大病院の間部克裕先生がIBD外来を開設、より専門性の高い診療を行うシステムが構築されつつある。10月からは林医師が後期研修医として加入した事もあり、月曜日と金曜日の午後外来も埋まってようやく平日の外来の空白がなくなった。

図2に5年間の入院患者数を示す。入院実数では2012年から増加傾向となったが、2013年は更に増加して3年ぶりに1000人を超えた。上述のように外来患者が増加した為、入院患者数も増加した。また内視鏡検査、治療の数が増えた事や化学療法の導入が増えた事も入院患者数の増加につながったと考えられる。

2013年の当科入院患者の疾患別内訳についてもグラフに示す(図3)。例年通り大腸ポリープ、胃癌、大腸癌、膵癌、胆道腫瘍、肝癌などの腫瘍性疾患が多い。大腸ポリープ治療は下記にも示す通り内視鏡検査が増えてポリペクトミーの対象患者が増えたことや、吉井医師の加入により、より高度な内視鏡治療が提供できるようになった為、対象患者が増加したと思われる。2014年はDPCが導入されるがポリペクトミーの入院は今後も増加に期待が持たれる。

内視鏡検査の詳細については内視鏡センターの項に譲るが、一般の上下部内視鏡検査の他、EMRやESD、EVL、EIS、EUS、止血術等の内視鏡を用いた処置、ERCP、EUS-FNAなどの胆膵系検査・処置、 PTBD(PTGBD)、RFA、TAE等のIVRなど各種のバリエーションに富む検査、治療が行われている。本年は医局の方針もありより専門性の高いスタッフが集まった。消化管の内視鏡的治療を専門とする吉井医師、胆膵系特にEUSを用いた診断、治療を得意とする羽場医師、化学療法のスペシャリストとして川本医師が赴任し、それぞれの分野で実績を伸ばして業績の向上に貢献している。彼らはまた別項に示す通り学会にも積極的に参加、発表しており向上心をもって仕事を行っている。赤倉は外来、入院患者の診療や内視鏡検査、特にIVR系の治療等を行っているほか、研修医の指導等に従事している。

同様に当科のもう一つの柱である化学療法についても、川本医師を中心に新規患者の開拓を行っている。当科では入院、外来を問わず分子標的薬を含む新薬や新規承認された化学療法のレジメを導入し、切除不能腫瘍や再発腫瘍に対して患者さんのQOLを維持しつつ、治療効果の高い化学療法を目指している。

消化器内科は北大消化器内科学講座から医師の派遣を戴き、内視鏡検査や治療、化学療法等様々な消化器疾患分野で大学と共同の臨床研究や治験等を行っている。今後も大学と協力し、質の高い消化器診療を行っていく所存である。

末期癌の緩和ケア治療も認定看護師とともに取り組んでいるが、当院は緩和ケア病棟を持っていない為、医療連携室を介して紹介している。

図1 5年間の外来受付数

図2 5年間の入院患者数

図3 2013年入院患者の病名(計1084名)

発表

国際学会

  1. S. Yoshii
    The long-term efficacy of subsequent surgery for T1 colorectal cancer after endoscopic resection: A cohort study with propensity-score adjustment
    Digestive Disease Week in Orland, USA, 5,2013.
  2. S. Haba
    Duodenal stricture and the pre-procedural cholangitis are the significant factors for the incidence of complication of endoscopic ultrasound-guided choledochoduodenostomy
    SGI2013 - the 7th Meeting of the Society of Gastrointestinal Intervention, Seoul, South Korea, 10, 2013.
  3. Y. Kawamoto, N. Akakura,
    Phase II Trial of Combined Chemotherapy with Irinotecan, S-1, and Bevacizumab (IRIS/Bev) in Patients with Metastatic Colorectal Cancer (mCRC) - Final analysis -: Hokkaido Gastrointestinal Cancer Study Group (HGCSG) trial.
    The 22nd Asia Pacific Cancer Conference (APCC), Tianjin, China, 11,2013

全国学会

  1. 吉井新二
    「多症例の大腸鋸歯状病変,鋸歯状病変合併早期癌の 分子生物学的検討」
    第9回日本消化管学会総会 2月
  2. 羽場 真
    「安全な超音波内視鏡下胆管十二指腸吻合術のために」
    第85回日本消化器内視鏡学会総会 5月 京都
  3. 吉井新二
    「大腸SM癌内視鏡的摘除後の追加腸切除の有用性」
    第85回日本消化器内視鏡学会総会 ワークショップ  5月 京都
  4. 吉井新二
    「胃底腺過形成に発生した早期胃癌の1例」
    早期胃癌研究会 7月 東京
  5. 吉井新二
    「Helicobacter pylori陰性胃癌の1例」
    第10回拡大内視鏡研究会 9月
  6. 吉井新二
    「長期予後からみた大腸SM癌内視鏡治療の適応拡大の検討」
    第86回日本消化器内視鏡学会総会 ワークショップ 10月 東京
  7. 清水 佐和子, 吉井 新二, 綿野 敬子, 羽場 真, 川本 泰之, 横山 朗子, 赤倉 伸亮
    「胃内視鏡検診における胃癌偽陰性の検討」
    第86回日本消化器内視鏡学会総会  10月 東京
  8. 吉井新二, 清水佐知子,川本泰之,羽場 真, 横山朗子,赤倉伸亮
    「免疫学的便潜血陰性大腸腫瘍の検討」
    第100回日本消化器病学会総会 10月
  9. 吉井新二
    ビデオパネルディスカッション2 Loop clipによる偶発症対策
    第68回日本大腸肛門病学会学術集会 11月

地方会

  1. 山田徹、清水佐知子、堀本啓大、山本洋一、小野雄司、横山朗子、赤倉伸亮
    「腹部大動脈瘤の拡大によって上腸間膜動脈症候群をきたした1例」
    第112回 日本消化器病学会北海道支部例会 3月
  2. 吉井新二
    「早期大腸癌の1例」
    札幌胃と腸を診る会 4月
  3. 吉井新二
    「拡大内視鏡 これからはじめる人へ」
    札幌拡大内視鏡研究会 4月
  4. 吉井新二
    「内視鏡で何ができるか」
    北海道内視鏡セミナー 6月
  5. 清水佐知子
    「NOMI(非閉塞性腸管虚血症)の2例」
    第85回 北海道腸疾患研究会  6月
  6. 吉井新二
    「Case2. Difficult polypectomy」
    EMR-ESDセミナー 9月
  7. 吉井新二, 清水佐知子,川本泰之,羽場 真, 横山朗子,赤倉伸亮
    「免疫学的便潜血反応陰性腫瘍の検討」(支部奨励賞)
    第113回日本消化器病学会北海道支部例会 9月
  8. 清水佐知子, 吉井新二, 羽場 真, 川本泰之,横山朗子,赤倉伸亮
    「胃内視鏡検診における胃癌偽陰性の検討」(専修医奨励賞)
    第107回日本消化器内視鏡学会北海道支部例会 9月
  9. 赤松 幸,吉井新二,清水佐知子,川本泰之,羽場 真,横山朗子,赤倉伸亮
    「Helicobacter pylori陰性胃癌の1例」
    第113回日本消化器病学会北海道支部例会 9月
  10. 羽場 真, 吉井新二,川本泰之,清水佐知子,横山朗子,赤倉伸亮
    「EUS-FNAが適切な治療方針選択に寄与した肺癌の1例」
    第107回日本消化器内視鏡学会北海道支部例会 9月
  11. 吉井新二, 清水佐知子,川本泰之,羽場 真, 横山朗子,赤倉伸亮
    「大腸ESDにおける偶発症対策」
    第107回日本消化器内視鏡学会北海道支部例会 9月
  12. 吉井新二
    「大腸SM癌に対する内視鏡的摘除生検の可能性」
    第34回日本大腸肛門病学会北海道地方会 9月
  13. 清水佐知子, 吉井新二
    「下腸間膜閉塞症の1例」
    第34回日本大腸肛門病学会北海道地方会 9月
  14. 吉井新二
    「消化器内視鏡の最前線:大きく変わるこれから」
    Hokkaido Digestive Disease Junior 11月
  15. 吉井新二
    「盲腸に生じた神経節細胞腫の1例」
    札幌胃と腸を診る会 12月

論文

  1. S. Haba
    Diagnostic ability and factors affecting accuracy of endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration for pancreatic solid lesions: Japanese large single center experience
    J Gastroenterol. 2013,48,8,  973- 981