てれこむ What'sup?
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 [2008年2月 感情認識技術 「てれこむWhat's up」では身近な話題から海外の情報まで、テレビ・新聞・雑誌をにぎわすテレコミュニケーションの「ハテナ?」にお答えします。]

コンピュータに思いは届くのか?

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 前ページまでは、顔の表情や声の調子のように、感情が何らかの形になって人間の表面に出てくるものを認識する技術をご紹介してきました。では、考えていることを直接、頭の中からコンピュータに伝えることはできるのでしょうか?

脳内イメージでコンピュータを操作

 てれこむWhat's up?7月号でご紹介した、「セカンドライフ」 を覚えていらっしゃいますか? 仮想空間の中を歩いたり、物を握ったり、座るというアバターの動作はすべて、キーボードやマウスを使って指示を出し、動かしています。でも、自分の分身なのだから、頭の中で考えただけでアバターが動き回ったら面白いと思いませんか?

 慶應義塾大学の牛場潤一先生※の研究室では、頭でイメージすることによってアバターを操作し、セカンドライフの中を散歩させることができる「ブレイン・コンピュータ・インターフェイス技術」の開発に成功しました。
 つまり、頭の中である動作をイメージすると、それをコンピュータが読み取ってアバターに命令を出し、アバターを動かします。脳内イメージとアバターの行動を結びつけるというわけです。キーボードもマウスも使わずにアバターを操作できるなんて、ちょっとした超能力みたいですね。
※理工学部生命情報学科 専任講師

 では、コンピュータはどのようにして、頭の中のイメージを認識しているのでしょうか? その答えは、「脳波」にあります。

[運動野の位置] アバターを操作する人の頭部3カ所に小さな電極をつけることで、四肢の運動をつかさどっている「大脳皮質運動野」の脳活動を捕捉します。そして、操作する人が運動をイメージすることで起こる脳波の変化をコンピュータに読み込ませ、それを解析し、操作する人の運動意思をリアルタイムで判断してアバターを制御しているのです。
頭の中でイメージする運動 アバターの動き
足を動かす 前進 
右手(左手)を握る 右(左)に回転
目をつぶる(リラックス) 空を飛ぶ

頭の中で考えただけでセカンドライフ内を「散歩」する様子(前半/後半)
上の画面内をクリックすると映像を再生します。

 このように、脳内イメージだけでセカンドライフ内を散歩して楽しめることは、体を動かすことが困難な方や外出することが難しい方にとって、大きな意味があります。日常生活では得にくい、自由に歩き回れる楽しさを味わったり、新しい出会いやコミュニケーションのチャンスが生まれるからです。
 さらに複雑な動作やジェスチャーが可能になれば、仮想空間で買い物を楽しんだり、意思の疎通を手助けするツールとしての役割も期待できます。あるいはキックやヘディング、スライディングなどの動作を認識して制御することができれば、脳内イメージでフットサル対戦がみんなで楽しめるようになるかもしれません。

 今後は同大学がセカンドライフ上で展開をしている「慶應義塾セカンドライフキャンパス」内に研究室を設置して、技術の紹介や利用者が技術を使いこなすためのトレーニング施設などを設置する計画になっています。

運動野とは?

手足を動かす命令が運動野から出されると、脳の中を通って、脊髄を経由して、手足に送られます。命令が通る道は途中で左右が交叉して、右側の運動野は左半身を、左側の運動野は右半身を支配しています。

感情認識とコミュニケーション

 今回ご紹介してきた技術はいずれも進化しており、今後は「より正確に」「より複雑な」感情を認識することが期待されるでしょう。それとともに、新しい使い方や適用分野においても広がりが期待できると思われます。

 そして、ご紹介してきた技術に共通しているのは、曖昧な感情というものを数値などで明確化し、さらにはデジタル化までも実現している点です。このことはすなわち、感情認識技術とネットワークとの親和性が高まることを意味します。それにより、今までは伝わりにくかった感情をより明確に伝えられる可能性があるのではないでしょうか。

 感情認識技術とネットワークが結びつくことで、機械が人間の感情を理解するだけではなく、感情認識技術を介して人と人とのコミュニケーションもより暖かく、活発なものになると嬉しいですね。

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*文中太字は用語解説あり

情報提供 (株)情報通信総合研究所 安藤雅彦

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