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第9回 安心のきずなを繋ぎ続ける

元気な声が聞きたくて

宮城県全域のお客さまから寄せられる故障修理依頼は、まず仙台の113センタで受け付けられ、お客さまの居住エリアに合わせ、最寄りの事業所の担当技術者による速やかな故障修理が図られる。

午後2時、仙台の113センタから石巻エリアを担当する技術者に連絡が入った。「女川町の出島(いづしま)のお客さま宅のファクスの調子が悪い、至急修理が必要」とのこと。石巻営業支店カスタマサービス担当の松本太は、すぐさま必要な機材一式とともに修理作業車で出島の対岸の尾浦まで急行する。

リアス式海岸の南端、女川湾の入口に位置する出島。島には牡蠣やワカメの養殖などで生計を立てている漁業に従事するお客さまが多く住んでいる。修理依頼のあったお宅、須田勘太郎さん宅もそのうちの一軒だ。毎日市場から届く卸値を記したファクスをもとに翌日の牡蠣の出荷量を決めたり、食料や日用品の調達依頼のため石巻市内に住む娘夫婦に連絡をとったりと、島の暮らしに電話は欠かせない存在となっている。

出島には故障修理車が入れないため、必要な機材は全て技術者自身が背中に担いで行くしかない。電柱に登るための梯子も含めて、その装備は軽く40キロを超える。装備一式を身につけた松本が船着場から船に飛び移った瞬間、船は大きくグラリと傾く。

海面に点在する養殖用の浮きを縫うように進む船の舳先で潮風に吹かれること約5分、松本は島の船着場から小走りでお客さま宅に向かう。すぐさま問題のファクスを確認、ファクスの留守番機能がエラーを起こしていることが原因であるとつきとめる。さっそく修理すると、再びファクスは正常に稼働しはじめ、市場からのファクスが出力された。時刻は午後4時30分。「これでようやく明日の牡蠣の出荷準備に取りかかれる。助かったよ」ほっと安堵の表情を見せる須田さん。その笑顔に松本の表情も緩む。

「ウチでは主人が長電話なの、毎晩ほんとに長いんだから」笑いながらそう話すのは、須田さんの奥さんだ。ご主人は毎晩のように、石巻市内に住む娘夫婦に電話して孫たちの元気な声をひとしきり聞くと、その後は晩酌を傾けながら、仙台や首都圏に住む友人たちと夜遅くまで電話で語り合うのだという。「最近は枕元に子機を置いて寝てるよ」と、隣で照れ笑いしながら、須田さんは楽しそうに話す。

故障が発生したとなれば、すぐに駆けつけるものの、島に渡る機会はそう多くない。こうした機会を利用して、松本はお客さまに電話の調子などを伺うとともに、屋外に設置された保安装置や島内の通信ケーブルに何か異常がないか、周辺をひと通り見てまわる。雪の多かった今年の冬を越えて、機器や設備に問題がないことを確認する。

出島の静かで豊かな暮らしをいつまでも守りたい―。そんな思いを新たにしながら、春を迎えたとはいえ日が傾けばまだまだ潮風が冷たい夕景の中を、松本は再び装備一式を担いで、帰りの船へと乗り込んだ。

40キロに及ぶ装備を身につけて、いざ現場へと向かう

一刻も早く現場に着くために、定期船ではなく渡し船で出島へと向かう

島に訪れた機会を利用して、さまざまな箇所を点検するのも技術者の役目だ

島には坂も多く、重い機材を背負って徒歩で移動するのは大変

「友達との電話のやりとりも楽しいひととき」と須田さん。島の暮らしに電話は欠かせない