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第6回 雷と闘う

どんな時でもつながる、113でありたい

2004年7月25日午後から富山県は局地的に激しい雷雨となり、床上浸水20棟、床下浸水215棟の被害に見舞われた。その日、日曜日で非番だったNTTネオメイト北陸・113お客さまセンタのオペレーター、浦山正三は、鳴り響く雷鳴に「明日は大変な状況になりそうだ」と感じ、翌朝、いつもより数時間早く家を出た。

113お客さまセンタは、お客さまからの電話の故障に関する問い合わせなどを24時間体制で受け付けて、修理部門の手配などを行う部門だ。浦山の予想通り、26日は早朝から故障のお申し出が殺到し、平常時(1日約600コール)の10倍を超える7,571コールものお申し出が寄せられた。こうした"非常事態"は31日まで続くことになる。

「家族が入院していて、いつ病院から緊急連絡が入るか分からないんです。何とかしてください」

「月末なので取引先からどんどん連絡が入ってきているはず。すぐに電話をつなげてほしい」

電話がつながらなくなった人たちが、公衆電話や近所の家の通じている電話、あるいは携帯電話から切羽詰まった声で訴える。

携帯電話の契約数は約8,808万件(2005年6月末現在)に達している。だが、世代別の利用率を見ると、20代から40代が80%を超えているのに対し、70代は19.1%、80歳以上となると6.3%に過ぎない(総務省:平成16年「通信利用動向調査」)。

113お客さまセンタには、「独り暮らしの母親の家の電話がつながらない」と離れて暮らす娘が心配して問い合わせてくることもある。同様に、介護ヘルパーからも、独居老人宅の電話が不通で安否確認が取れないとの訴えが寄せられる。携帯電話が普及した今も、お年寄りにとっては固定電話が命綱なのだ。

「発信系は携帯電話で代替できても、着信系は固定電話でなければならない場合がかなり多い。固定電話の果たす役割はまだまだ大きいと実感しますね」とオペレーター歴25年の山本和彦は話す。

オペレーターは、故障に関する問い合わせを受けると、まず問診により状況把握に努め、遠隔診断ツールを使って回線の状態を調べる。雷害の場合は、通信機器の電源をリセットするなどの簡単な操作で復旧するケースも少なくない。操作の手順をお客さまに説明するために、NTT製の電話機やファクスなどのマニュアル類はすべての機種について常備してある。

しかし、「例えばたった一本のコードを抜き差ししていただくだけであっても、受話器越しにその手順を伝えるのはとても難しい」と浦山は言う。「お客さまの言葉を頼りに、お客さまの部屋の様子を頭に思い描きながら、できるだけビジュアルな表現で伝えるように工夫しています」

NTT製ではない電話機の故障についての問い合わせも寄せられるが、「困っているお客さまに対して『その電話機はNTTのものではないのでメーカーに問い合わせてください』などとは言えません」(浦山)と、似た機種のマニュアルを探し、可能な限り対応する。

あるオペレーターは、「平常時のことですが、操作方法が分からずに困り果てているお年寄りがいらして、近くにお住まいだったので思わず駆け付けたこともあります」と打ち明ける。

ただ、丁寧に対応すればするほど、1つのコールについての対応時間は長くなる。台風や広域雷害などによって大量に故障が発生した場合には、殺到するコールに応答し切れなくなり、「113になかなかつながらない」との状況に陥ってしまう。そこで、大量故障発生時にはスタッフを総動員し、地域や組織の枠組みを超えた特別受付体制で臨む。

それでも、「応答しても応答してもコールが途切れることはなく、文字通り、息をつく暇もないほどです」と言う一方で山本は、「とはいえ、私たちにとっては数あるコールのうちの1つに過ぎなくても、お客さまにとってはようやくつながった"頼みの綱"なんだと思うと、とても気を抜くことなどできません」と口元を引き締める。

「災害で電話も通じない中で、113までもがつながらないとなると、お客さまの不安を増幅させてしまう。こうした非常事態のときこそ、我々の踏ん張りどころ。"どんなときでもつながる113"であることが、人々のきずなをつなぐ通信サービスに携わる我々の使命だと思う」。113お客さまセンタの主査、南茂はこう言って背筋を伸ばした。

電話応対による復旧が不可能な場合は、故障個所へ技術者を派遣することになる。「こうした故障は氷山の一角である場合も多いんです」と山本が説明する。

通信ビルの交換機からは、数百本の通信ケーブルが1つの束になって延び、その束から各お客さま宅へと通信ケーブルが分岐している。つまり、1件の故障があれば、同じ束のケーブルにつながっているお客さま宅でも同様の故障が発生している可能性があるのだ。

そこで113お客さまセンタでは、故障が発生すると、そのケーブルと同じ束になっているすべてのケーブルについて遠隔で回線状況を試験し、故障していた場合には、お客さまからのお申し出を受ける前に、修理の手配を済ませるのである。これにより、同一方面の故障受付も、修理手配も、修理作業もスムーズになる。

「一分、一秒でも早く復旧できれば」。オペレーターたちは、その一心で自動試験ツールを操作する。

独り暮らしのお年寄りは、自分から電話をかけることは少なく、もっぱら離れて暮らす家族などからの連絡を受けるために利用していることも珍しくない。こうした場合、だれかが電話をかけるまで故障には気付かない。自動試験を行うことで、このような事態も避けられるのである。

実は、コールが殺到した場合には、「自動音声応答装置」により音声メッセージを流し、留守番電話の要領でお客さまに連絡先と問い合わせ内容を吹き込んでもらい、あとから改めて連絡するという選択肢もある。しかし、NTTネオメイト北陸の113お客さまセンタは原則として録音による受け付けを行うことはない。

「私たちが電話に出ると、『庭に爆弾が落ちたのかと思った』とか『家電製品が全部ダメになった』などと話し出す方もいらっしゃいます。大変な思いをなさった方々に、生身の人間が温かい一声をかけることで、少しでも不安を和らげて差し上げたいのです」。浦山は人懐っこい笑顔を見せた。

故障発生状況が一目で分かる113お客さまセンタのモニター画面

「天気図と雲の動きを見れば翌日の状況は読める」と浦山正三

コール数は6日間で2万750件に上った

「固定電話の役割はまだまだ大きいと実感する」と山本和彦

通信機器(NTT製)のマニュアルはすべての機種のものをそろえている

大量故障発生時には特別受付体制で臨む

「故障修理班はもっと辛いはず」と他部門の仲間への気遣いも忘れない南茂

故障のお申し出に対応するオペレーター