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(29)今後の展望 iPS細胞に可能性も

連載の初めに「膠原病と言う病気は存在しません」と説明しました。ただし病気はそれぞれ異なっていても「免疫の反乱」という免疫異常(自己免疫)が発症原因になっていることは共通しており、「病気にかかりやすい遺伝子」が存在することも分かってきました。今はその免疫異常を起こす物質や分子を標的にした治療薬が数多く研究されています。その中の幾つかは、医療現場に間もなく登場する予定です。

例えば、全身性エリテマトーデスには、関節リウマチにおけるバイオのような画期的な新薬はいまだ無いのですが、遺伝子を調べてみると「I型インターフェロン」という物質が病気の進展に関与をしている可能性が明らかになり、この物質を中和する抗体治療が治験中です。また「免疫の反乱」の大もとであるIL―17というサイトカインに対する抗体療法も有望視されております。

昨年話題になったiPS細胞も、膠原病の研究や治療に応用可能です。iPS細胞はいったん先祖返り(初期化と言います)してから、あらゆる細胞になることが出来る細胞です。ですから、理論的には壊れてしまった組織(例えばシェーグレン症候群の患者さんの涙腺や唾液腺)も自分の細胞から作ることが出来ます。既に血球細胞、網膜、心筋、膵臓(すいぞう)等がiPS細胞から作られ、加齢黄斑変性症に対するiPS細胞由来の網膜色素上皮細胞の移植治療が今年開始される予定です。

もちろん、iPS細胞にはまだまだ解決しなければならない問題がありますが、膠原病の分野でも大きな可能性を秘めていると言えます。日本も含めた世界中の研究者が総力を挙げ、膠原病の原因解明と有効な治療手段の開発に挑んでいます。

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