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輸血センター

業務の総括

2014年、輸血センターにとって大きな出来事が3つあった。 その1つは、前任者の退職によって欠員となっていた臨床検査技師の補充として認定輸血検査技師のライセンスを保有する技師が4月に入職したことである。

これは現主任の定年退職を控え、一定水準を保った上でのシームレスな業務の継続を目的としたものであるが、これによって日本輸血・細胞治療学会I&A認証施設に相応しい安全で適正な輸血療法を維持していく体制が整ったこととなる。

2つ目と3つ目は、ともに新しい業務の導入である。 どちらも輸血療法委員会での検討を経て導入に至ったものであるが、1つは「新生児輸血における製剤の分割」であり、もう1つは「クリオプリシピテートの院内製造と大量出血への使用」である。新生児輸血については数年来シリンジ分割を行ってきたが、無菌接合装置を使用することによって細菌汚染などのリスクを激減し、より安全な製剤分割を行うこととした。また、クリオプリシピテートは、新鮮凍結血漿から低温溶解を経てフィブリノゲンを中心とした高濃度な凝固因子を分離したものであり、手術中などにおける大量出血時の血液凝固機能の破綻時に止血に効果を発揮するものとして、導入が検討されてきたが、ようやく院内製造の体制も整い、12月に使用が開始された。これによって、心臓血管外科の手術中の危機的大量出血や産婦人科の弛緩出血、内科系の急性の重症DICなどでの大量出血による重篤なダメージの回避を図るべく体制が整ったこととなる。

輸血センターの業務及び病院全体の輸血療法を振り返ると、輸血という医療過誤のリスクが高い分野を担う部所として本年も大きな事故を発生させることなく業務を行えたことは、その機能を充分に果たせたと考えている。安全で適正な輸血療法の実践のために輸血療法委員会との連携を図りながらその決定事項を実施することが、「輸血療法の実施に関する指針(厚生労働省)」に明記される輸血センターの大きな役割ということになるが、院内輸血業務説明会はもとより、日常業務の中での様々な部所との係わりの中でその役割は充分に果たしえたと考えている。

前述以外の日常輸血業務以外の取り組みとしては、輸血マニュアルの現行化(輸血マニュアル2014)を輸血療法委員会の中心として行ったことが挙げられる。

日常輸血業務を行なう際に作業手順の確認などに利用されており、安全で適正な輸血療法の維持、推進という意味で、リアルタイムな情報提供は重要であり、今後もマニュアルを遵守した輸血業務の遂行がなされな ければならない。

輸血実施数については、全体として、’02年の輸血センター開設および輸血一元管理の開始以来最多となった前年をさらに上回り、過去最多の輸血実施となった。具体的には、赤血球液(RBC)、新鮮凍結血漿(FFP)および濃厚血小板(PC)の主要3製剤で平均9.4%の増加となったが、自己血とアルブミン製剤ではそれぞれ−15.4%、−39.0%と大きく減少した。また、輸血オーダー数は、−10.7%減少しており、患者一人当りの輸血単位数が増加していることとなる。 輸血管理料と輸血適正使用加算の算定条件の一つであるアルブミン製剤の使用量については、’09年の輸血センターでの一元管理化以降良好に推移しており、’14年は当院がDPCを導入したことも影響してか過去最低の使用量となっている。今後についても使用指針に準じた適正使用のより一層の推進とともに、この数字を維持していくことが重要になる。

夜間や休日などの時間外での輸血については年々増加傾向にあったが’14年は、−20.2%の減少に転じた。

しかしながら、総オーダー数が454件あり、そのうち直ちに使用される緊急輸血が267件であり、時間帯別の緊急輸血オーダーも午前3時台を除き、すべての時間帯で発生していることや、患者血液型未確定や在庫製剤不足などの理由で異型適合血(O型赤血球濃厚液)を使用したケースも5例発生している。このような時間外輸血に対応するために普段輸血業務に携わる機会の少ない臨床検査科スタッフのトレーニングが非常に重要になってくるが、本年も充実したプログラムの輸血業務トレーニングを企画、実施してスキルの強化に努めた。

2014年輸血センター業務統計的総括

時間外(日当直)での輸血業務

  時間外輸血業務(オーダー数) 緊急輸血
  2014年 2013年 2014年 2013年
総数 454 569 267 327
 日直(休日) 311 378 137 147
 当直(夜間) 143 191 130 180
RCC 196 227 123 154
FFP 70 74 42 52
PC 68 67 35 27
アルブミン 120 200 67 94

輸血後感染症検査・・・受診案内

輸血後感染症検査(2013年実績) 対象期間(2013.10-2014.01発送〜2014.09-2014.12発送)
全輸血のべ患者数 568(534)
案内発送対象者数 358(326) 入院 43(52)
外来 315(274)
検査受信者数 161(151)
受診率 45.0%(2013:46.3%、2012:46.2%、2011:51.4%、2010:47.5%)
入院 28(25)
外来 133(126)

研究業績

講演

  1. 高橋道範:「一職誕生ストーリー」第22回札幌臨床検査技師会一人(少人数)職場交流会、2014年1月25日、札幌

パネラー

  1. 坂口良典:「輸血検査実技講習会」第181回北海道臨床衛生検査技師会講習会輸血部門、2014年7月6日、札幌

総説

  1. 高橋道範:「宿日直時の輸血業務体制の構築」MEDICAL TECHNOLOGY 第42巻第3号「Q&Aで学ぶ宿日直時の輸血トラブルシューティング」

研究発表

  1. 高橋道範、坂口良典、筒井自子、武田紫、西尾充史:「抗Gyaを保有するGy(a-)妊婦の1例・第2報:妊娠中の抗体価の推移と新生児の検査所見」第62回日本輸血・細胞治療学会総会、2014年5月15〜17日、奈良
  2. 高橋道範、坂口良典、筒井自子、西尾充史:「看護師に対する輸血業務教育は本当に安全な輸血に寄与するのか?」第89回北海道医学検査学会、2014年9月27〜28日、岩見沢
  3. 高橋道範、坂口良典、筒井自子、武田紫、西尾充史:「白血病の病勢に一致してABO血液型抗原量の増減をみた1例」第58回日本輸血・細胞治療学会北海道支部例会、2014年11月8日、札幌