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腎臓内科・人工透析センター

人の動き

人事面では、楠先生が苫小牧市立病院に異動となり、関先生が滝川市立病院から赴任されました。研修医は5名の先生が研修に来てくれて、戦力として活躍し、内科学会などで症例報告の発表を行ってくれました。また、山本先生が医長に昇進されました。

当科は腎臓病を専門に診る内科部門と、腎不全治療の一環としての人工透析の管理の両方を行っています。前者の内科部門が日本腎臓学会、透析部門が日本透析医学会で、両学会を中心に学会活動も積極的に行っています。教育病院の指定とともに、両学会の全国委員に任命され協力しています。当科は4名が両学会の専門医になっていて、その数は北海道の一般病院では最大です。また、血漿交換療法にも積極的にかかわっていて、札幌市中央区の病院としては唯一の日本アフェレシス学会の認定病院となっています。

腎臓内科業務内容

外来

月曜日から金曜日まで、午前・午後の外来を行っています。新患は午前外来で受け付けています。

外来では、健康診断で尿異常(尿たんぱくや尿潜血)を指摘された方や、腎機能の異常を指摘された方、慢性糸球体腎炎やネフローゼ症候群と診断された方、むくみの相談にこられた方、などを対象に診療しています。

患者数は近年増加傾向で、今年も7261名と昨年度より900名ほど増加しています。また初診患者も増加傾向で、腎臓内科として北海道で一定の存在感を示しています。

入院

健康診断などで、尿異常や腎機能障害を指摘された方で、精密検査の必要がある場合には、腎生検を行ない、その結果を元に診断治療を行っています。

慢性腎臓病(CKD)は名前のとおり慢性病であり、その管理は多岐に渡ります。まず第一に血圧の厳重な管理であり、そのほか食事栄養指導(低たんぱく食減塩食の指導)。また、CKDが高度になった場合は、腎性貧血や副甲状腺、腎性骨症などの合併症の管理も重要になってきます。

透析導入疾患の第一位は糖尿病腎症ですが、総透析患者数に占める割合も糖尿病腎症が慢性糸球体性腎炎を2011年末で追い越したことが発表され、診療報酬の改定とも相まって、メタボリックシンドロームも含めてCKDの大きな因子として、糖尿病腎症の重要性が増しており、糖尿病科や他科とともに治療にあたっています。

慢性糸球体性腎炎の代表的疾患であるIgA腎症に対しては、耳鼻科と協力して扁桃摘出とステロイドパルス療法を組み合わせた扁摘パルスを行い良好な成績を上げています。その他の慢性糸球体性腎炎やネフローゼ症候群の治療も腎生検を元に行っています。また、CKD患者さんの教育精査入院や、進行したCKD患者さんの内シャント手術を含めた透析導入、合併症をかかえた維持血液透析患者の管理を行っています。シャントやアクセスのトラブルに関しては手術のほか、経皮血管拡張術(PTA)も行っています。難治症例に関しては血管外科と協力して治療を行っています。

急性腎障害(AKI)については、自科のみならず、院内各科や近隣医療機関での発生患者の受け入れ、管理、治療、緊急透析等に対応しています。

そのほか、血漿交換、血液吸着、血球成分除去(潰瘍性大腸炎などの)などのアフェレーシス治療も積極的に行っており、腎疾患のすべての病期の患者さんを対象に腎臓内科としてトータルな医療を実施しています。

当科では総合病院の特徴を活かし、尿路疾患については泌尿器科、糖尿病性腎症については糖尿病・内分泌内科や眼科、膠原病による腎障害についてはリウマチ・膠原病内科と連携し腎臓疾患の治療にあたっています。また、循環器疾患や整形外科疾患などの合併症治療が必要な維持透析患者の受け入れも、各科と連携し幅広く行っています。

そのほかにも、腎不全の治療選択肢として腎移植にも積極的に取り組み、移植可能施設への橋渡しを行っています。

腎生検は本年74件と、過去最大の実施数でした。(昨年55件、一昨年37件)腎組織所見を元にして適切な治療が行えるように努力しています。

内シャント手術は65件で、これも過去最大の手術数となりました。(昨年44件)

この他にも血管外科の御協力で人工血管手術も施行しています。

PTAは25件施行しています。(昨年20件)

総入院患者数は前年度より増加し3816名(昨年3673名)でこれも当科としては最大の数でした。このように当科の患者数は非常に増加している傾向にあります。

アフェレーシスは、血漿交換1例、GCAP9例、エンドトキシン吸着5例、ビリルビン吸着3例、LDLアフェレーシス1例を実施しています。

腹膜透析は本年度は2例の導入。昨年度、当院での初の腹膜透析導入患者から3例となり、軌道に乗りつつあります。血液透析のみではなく、腎代替療法の選択を出来る総合病院となっています。

本年のトピックスとしては、前述のように患者数が過去最大であったことと、学術面でも江端先生の症例報告が英文で刊行されるなど、学会活動も色々とできた一年でした。

透析センタ

透析部門の業務は新規透析導入(導入教育などを含む)・外来維持透析・合併症などによる他科入院患者の透析管理・AKIなどの患者の緊急透析が主な業務となります。

基本的に院内発生の腎不全や他科入院の透析依頼は全て受け入れる方針で対応しています。そのため、透析ベットは現在41床ですが、感染症対応ベツト、入院患者用、緊急用ベツトなどを勘案しほぼ満床状況です。そのため、2006年以降はひと月で約1600回程度と総透析回数は横ばいで推移しています。

本年の新規透析導入患者は38名でした。

当科満床のため、新規導入患者さんに関しては、自宅の近くなどのクリニックなどと病診連携して維持透析をお願いしています。なお、年末の当院の外来維持透析患者数は105名です。

透析患者は全国的に高齢化の傾向にあり、合併症や併存症を患う患者が増えています。

当院では生理検査室や放射線科の御協力のもと各種画像検査や生理検査を定期的に施行し早期発見に努めています。

320列のCTを使用し、シャント造影検査を行い狭窄病変の評価を行っています。従来の血管造影より少ない造影剤の量で立体的(3D)画像が得られるため、スクリーニングの検査に有用です。

研究活動

外部研究資金獲得

平成24年度 札幌市医師会医学研究活動補助金 橋本整司 80000円
平成25年度 日本腎臓財団腎不全病態研究助成 橋本整司 300000円

原著

  1. 中井 滋、渡邊 有三、政金 生人、和田 篤志、庄司 哲雄、長谷川 毅、中元 秀友、山懸 邦弘、風間 順一郎、藤井 直彦、伊丹 儀友、篠田 俊雄、重松 隆、丸林 誠二、守田 治、橋本 整司、鈴木 一之、木全 直樹、花房 規男、若井 建志、濱野 高行、尾形 聡、土田 健二、谷口 正智、西 裕志、井関 邦敏、椿原 美治;わが国の慢性透析療法の現況(2011年12月31日現在) 日本透析医学会誌46: 1-76, 2013
  2. 橋本 整司;透析患者における微量元素についての検討。札医通信増刊 札幌市医師会医学誌 279: 51-52, 2012
  3. 中井 滋、井関 邦敏、伊丹 儀友、尾形 聡、風間 順一郎、木全 直樹、重松 隆、篠田 俊雄、庄司 哲雄、鈴木 一之、谷口 正智、土田 健二、中元 秀友、西 裕志、橋本 整司、長谷川 毅、花房 規男、濱野 高行、藤井 直彦、政金 生人、丸林 誠二、守田 治、山懸 邦弘、若井 建志、和田 篤志、渡邊 有三、椿原 美治;わが国の慢性透析療法の現況(2010年12月31日現在) 日本透析医学会誌45: 1-47, 2012
  4. Nakai Shigeru, Iseki Kunitoshi, Itami Noritomo, Ogata Satoshi, Kazama J Junicirou, Kimata Naoki, Shigematsu Takashim, Shinoda Toshio, Syouji Tetsuo, Suzuki Kazuyuki, Masakane Ikuto, Hamano Takayuki, Yamagata Kunihiro, Watanabe Yuuzou, Taniguchi Masatomo, Tsuchida Kenji, Nakamoto Hidetomo, Nishi Hiroshi, Hashimoto Seiji, Hasegawa Takeshi, Hanafusa Norio, Fujii Naohiko, Marubayashi Seiji, Morita Osamu, Wakai Kenji , Wada Atsushim, Tsubakihara Yoshiharu; Overview of Regular Dialysis Treatment in Japan (as of 31 December 2009) Ther Apher Dial. 16: 11-53. 2012
  5. Fukuma Shingo, Yamaguchi Takuhiro, Hashimoto Seiji, Nakai Shigeru, Iseki Kunitoshi, Tsubakihara Yoshiharu, Fukuhara Shunichi; Erythropoiesis-stimulating agent responsiveness and mortality in hemodialysis patients: result from a cohort study from the dialysis registry in Japan. Am J Kidney Dis. 59: 108-116. 2012

著書、総説

  1. 橋本 整司;CKDの管理について〜血圧から貧血まで〜。 札幌薬剤師会誌 65: 21-31, 2012
  2. 橋本 整司;痛風、痛風腎。 今日の治療指針2014 医学書院(in press)

症例報告

  1. Ebata Shinich, Hashimoto Seiji, Suzuki Akira, Ito Masanori, Maoka Tomochika, Ishikawa Yasunobu, Mochizuki Toshio, KoikeTakao: A case of adefovir-induced membranous nephropathy related to hepatitis B caused by lamivudine-resistant virus after liver transplant due to Byler disease. Clin Exp Nephrology 16: 805-810. 2012
  2. 清水 淳、橋本 整司、伊藤 政典、西村 佐代子、柴崎 跡也、石川 康暢、眞岡 知央、江端 真一、中村 裕之、望月 俊雄、小池 隆夫:先天性表皮水疱症に合併した成人のIgA腎症にステロイド治療が著効した1例 腎と透析73: 263-266, 2012

学会発表

  1. 田代 顕一郎、須藤 徹、佐藤 健太、石川 健、桑田 大輔、足立 亜紀、杉本 親紀、櫻田 克己、岡本 延彦、橋本 整司、佐藤 昌明、斎藤 敏勝; TDF-20Hの前希釈 on-line HDF における溶質除去性能の検討。第28回ハイパフォーマンスメンブレン研究会 東京 2013年3月16-17日
  2. 山本 明日香、関 真秀、眞岡 知央、山本 理恵、岡本 延彦、深沢 雄一郎、橋本 整司、小池 隆夫; 尿細管間質性腎炎を呈したANCA関連血管円にステロイドが著効した一例。第266回日本内科学会北海道地方会 札幌 2013年2月23日
  3. 橋本 整司、楠 由宏、岡本 延彦、山本 理恵、眞岡 知央、関 真秀、西尾 充史、武田 紫、小池 隆夫:ダルベポエチンと鉄剤の投与タイミングの検討。 第38回札幌市医師会医学会 札幌 2013年2月17日
  4. 橋本 整司; 特別講演:透析療法、最近の話題。第23回北海道臨床工学技士会 札幌 2012年11月25日
  5. 足立 亜紀、田代 顕一郎、須藤 徹、佐藤 健太、石川 健、桑田 大輔、杉本 親紀、櫻田 克己、関 真秀、眞岡 知央、山本 理恵、岡本 延彦、橋本 整司; 透析導入から3回の妊娠および出産を経験して。第23回北海道臨床工学技士会 札幌 2012年11月25日
  6. 須藤 徹、田荷 翔平、小笠原 有弥、鈴内 絵理、田代 顕一郎、佐藤 健太、石川 健、桑田 大輔、足立 亜紀、杉本 親紀、櫻田 克己、橋本 整司; 透析液の変更が透析患者に与えた影響についての検討。第23回北海道臨床工学技士会 札幌 2012年11月25日
  7. 関 真秀、高橋 希、眞岡 知央、山本 理恵、岡本 延彦、橋本 整司、小池 隆夫、工藤 立史、深沢 雄一郎; 肺胞出血を認めた悪性腎硬化症の1例。第67回北海道臨床腎臓研究会 札幌 2012年11月9日
  8. 佐藤 健太、佐々木 雅敏、杉本 親紀、櫻田 克己、橋本 整司、宮坂 佑司;劇症型溶血性レンサ球菌感染症に対して長時間PMX-DHPとHigh-flow CHDFにて救命しえた一例。 第33回日本アフェレシス学会学術大会 長崎 2012年11月8-10日
  9. 橋本 整司、久田 諒、眞岡 知央、山本 理恵、岡本 延彦、赤倉 伸亮、小池 隆夫;腸管出血性大腸菌感染症に伴う溶血性尿毒素症候群にPMXと血漿交換を施行した一例。 第33回日本アフェレシス学会学術大会 長崎 2012年11月8-10日
  10. Sakao Yukitoshi, Kato Akihiko, Fujigaki Yoshihide, Hashimoto Seiji, Hasegawa Takeshi, Iseki Kunitoshi, Tsubakihara Yoshiharu.: Nation-Wide Survey of Body Mass Index in Prevalent Dialysis Patients in Japan. 45th American Society of Nephrology annual meeting, San Diego, USA (2012) October 30- November 4
  11. 橋本 整司;シンポジウム「透析患者のCa/P/PTH管理」 CKD-MBD新ガイドラインは何を変えるか? 第82回北海道透析療法学会 札幌 2012年11月4日
  12. 和田 篤志、伊丹 儀友、橋本 整司;日本透析医学会統計調査からみた北海道における透析療法の現状。 第82回北海道透析療法学会 札幌 2012年11月4日
  13. 関 真秀、眞岡 知央、山本 理恵、岡本 延彦、橋本 整司、小池 隆夫:3度の妊娠出産を経験した維持透析患者の一例 第82回北海道透析療法学会 札幌 2012年11月4日
  14. 関 真秀、楠 由宏、眞岡 知央、山本 理恵、岡本 延彦、橋本 整司、深澤 雄一郎、小池 隆夫;X連鎖型女性アルポート症候群の一例。 第42回日本腎臓学会東部学術大会 新潟 2012年10月13-14日
  15. 橋本 整司、楠 由宏、関 真秀、眞岡 知央、山本 理恵、岡本 延彦、深澤 雄一郎、小池 隆夫;家族性の発症が疑われた慢性間質性腎炎の一例。 第42回日本腎臓学会東部学術大会 新潟 2012年10月13-14日
  16. 橋本 整司、関 真秀、楠 由宏、眞岡 知央、山本 理恵、岡本 延彦、深澤 雄一郎、小池 隆夫;管内増殖変化を呈しステロイドが奏功した紫斑性腎炎の1例。 第42回日本腎臓学会東部学術大会 新潟 2012年10月13-14日
  17. 高橋 希、眞岡 知央、山本 理恵、岡本 延彦、工藤 立史、深沢 雄一郎、橋本 整司、小池 隆夫;肺胞出血を認めた悪性腎硬化症の1例。第264回日本内科学会北海道地方会 札幌 2012年9月8日
  18. 池ノ上 辰義、島崎 優、河田 哲也、橋本 整司、生田 克哉、佐々木 勝則、高後 裕、西尾 妙織;血液透析での鉄剤投与が体内鉄動態・酸化ストレスに及ぼす影響 第57回日本透析医学会学術総会 札幌、2012年6月22-24日
  19. 楠 由宏、山崎 真由美、橋本 整司、眞岡 知央、山本 理恵、岡本 延彦、小池 隆夫;透析患者における微量元素の検討 第57回日本透析医学会学術総会 札幌、2012年6月22-24日
  20. 橋本 整司、山崎 真由美、楠 由宏、眞岡 知央、山本 理恵、岡本 延彦、小池 隆夫;塩酸セベラマーの剤形の変更による影響。第57回日本透析医学会学術総会 札幌、2012年6月22-24日
  21. 橋本 整司;市民公開講座 腎臓を守ろう「予防と保存期治療」第57回日本透析医学会学術総会 札幌、2012年6月22-24日
  22. 橋本 整司、楠 由宏、岡本 延彦、山本 理恵、眞岡 知央、関 真秀、西尾 充史、武田 紫、小池 隆夫:ダルベポエチンと鉄剤の投与タイミングの検討 第81回北海道透析療法学会 旭川 2012年5 月20日
  23. Hashimoto Seiji, Maoka Tomochika, Mochizuki Toshio, Kawata Tetsuya, Koike Takao: Roles of Insulin Receptor Substrates (IRS) in renal function and renal hemodynamics. 49th ERA-EDTA congress. paris (2012) May 24-27
  24. 橋本 整司、山崎 真由美、岡本 延彦、山本 理恵、眞岡 知央、湯川 奈央子、楠 由宏;透析患者における微量元素の検討 第37回札幌市医師会医学会 札幌 2012年2月19日
  25. 山本 卓宜、楠 由宏、眞岡 知央、山本 理恵、岡本 延彦、橋本 整司、小池 隆夫、深沢 雄一郎; 家族性の発症が疑われた慢性間質性腎炎の一例。第262回日本内科学会北海道地方会 札幌 2012年2月18日

その他の発表(講演会等)

  1. 橋本 整司; 最新の腎臓病の予防と治療について。第242回札幌市医師会家庭学講座(市民講演) 札幌 2013年1月19日
  2. 橋本 整司;症例提示:PTHが不安定に上下する2例。札幌CKD-MBDカンファレンス 札幌 2012年11月15日
  3. 橋本 整司;専門家に聞く〜腎移植への道のり〜 第12回わかりやすい腎移植を学ぶ会 札幌、2012年10月7日
  4. 橋本 整司;腎疾患最近の動向?新しいCKDガイドを含めて〜 第4回明日の日常臨床を語る会 札幌、2012年7月13日
  5. 橋本 整司;PD(腹膜透析)合併症。 日本腎不全看護学会CAPDナースカレッジ 札幌 2012年1月28日

その他(新聞記事、随筆等)

  1. 橋本 整司;腎臓を守ろう「予防と保存期治療」北海道新聞夕刊 2012年9月29日