平成18年3月10日
報道発表資料
東北ミサワホーム株式会社
特定非営利活動法人リアルタイム地震情報利用協議会
東日本電信電話株式会社


戸建住宅への緊急地震速報提供に関する実証実験について
〜IPv6マルチキャストにより、緊急地震速報を一斉配信〜


将来的に各家庭で緊急地震速報※1を活用できるよう、実用化に向けた課題の抽出や技術検証を行う。
IPv6マルチキャスト※2ならではの特徴を活かした緊急地震速報の効率的な一斉配信と、操作が簡易なIPテレビ電話端末フレッツフォン※4を緊急地震速報の受信端末として利用することについて、その有効性と実用性を検証する。

 東北ミサワホーム株式会社(以下 東北ミサワ、本社:宮城県仙台市、代表取締役社長:近藤伸一)、特定非営利活動法人リアルタイム地震情報利用協議会(以下 REIC、東京都新宿区、会長:有馬朗人)、東日本電信電話株式会社(以下 NTT東日本、本社:東京都新宿区、代表取締役社長:高部豊彦)は、東北大学大学院研究科源栄正人教授のご指導のもと、戸建住宅への緊急地震速報提供に関する実証実験を平成18年3月11日(土)より実施します。


1.背景
 予想される大地震の被害の軽減を目指し、文部科学省・気象庁・REIC等では、緊急地震速報の提供・利用に関する開発・実証実験を行っています。緊急地震速報提供の実用化に向けては、提供される情報の特徴について、利用者への十分な説明と理解を促すマニュアルの整備や訓練が必要とされています。
 これまでも文部科学省が実施しているリーディングプロジェクト「高度即時的地震情報伝達網実用化プロジェクト」※5の一環として、インターネット経由等による一般家庭への緊急地震速報の提供に関する実証実験が行われてきましたが、一斉配信によるトラヒックの集中や配信システムの負荷増大による配信情報の遅延や、セキュリティの問題等の解決が課題とされてきました。


2.目的
 緊急地震速報に対する居住者のニーズや行動特性を把握すると共に、IPv6マルチキャストによる効率的な一斉配信方法や効果的な警報方法について検証します。


3.概要
 REICは、気象庁が試験運用で提供している緊急地震速報を、東北ミサワが安全・安心・自然共生等をコンセプトに宮城県仙台市泉区の「エムズガーデン南中山」※6に分譲する戸建住宅に対して、NTT東日本の「フレッツ・ドットネット」を利用したIPv6マルチキャストにより一斉配信します。緊急地震速報を受信する端末は、NTT東日本が提供するIPテレビ電話の「フレッツフォン」を利用します(別紙1)。緊急地震速報を受信した「フレッツフォン」は、予め設定した設置場所情報を元に予測震度と主要動到達猶予時間を計算し、その結果を画面に表示すると共に、音声・警報音にて報知します(別紙2)。
 今回の実証実験では、実際に地震が発生した際の緊急地震速報配信に加え、事前に避難訓練日を設定し、模擬地震情報を配信して避難行動訓練を行います。


4.各社の役割
東北ミサワ
モニターの募集・説明
戸建住宅への緊急地震速報提供に関する課題の検討
REIC
緊急地震速報の配信、実証実験に関する支援全般
戸建住宅向け「利用マニュアル」の作成
モニターへのアンケート調査
人への報知方法、避難行動に関する課題の検討
NTT東日本
緊急地震速報マルチキャスト配信プラットフォームの提供
緊急地震速報受信端末(フレッツフォン)の提供
IPv6マルチキャストによる緊急地震速報の配信、受信端末に関する課題の検討


5.期間
 平成18年3月11日(土)から1年間(予定)
気象庁の試験運用スケジュールにより、期間は変更になる場合があります。


6.今後の予定
 今回の実証実験から得られるアンケート調査を元にした居住者の行動分析結果等から、緊急地震速報の配信に関わるシステムやマニュアルを改良し、一般家庭への緊急地震速報提供の早期実現を目指します。
 あわせて、文部科学省のリーディングプロジェクト「高度即時的地震情報伝達網実用化プロジェクト」などによる緊急地震速報の利活用に関する調査・研究に貢献していきます。


※1 緊急地震速報について
 緊急地震速報は、地震災害の軽減のため、震源に近い観測点で捉えた地震波を使って、震源や地震の規模、各地での主要動(大きな揺れ)の到達時刻や震度を推定し、主要動が到達する前に報知等に利用される情報です。
 緊急地震速報は減災に役立つ有効な情報ではありますが、
緊急地震速報が主要動の到達に間に合わない、もしくは猶予時間が極端に短い場合があること。
震度、到達猶予時間等の予測に誤差があること。
地震以外の要因(事故、落雷等)による誤報のおそれがあること。
 等の原理的限界も存在し、有効に活用されるためには、利用者への十分な説明による理解が不可欠な情報です。
 気象庁は、独立行政法人防災科学技術研究所と緊急地震速報配信システムを開発し、平成16年2月25日から緊急地震速報の試験運用を行っており、実用化に向けて活用方策の検証を行っています。

※2 IPv6
 インターネットプロトコルの次世代版 (Version6) となる通信プロトコルです。現在、一般的に使用されているIPv4に代わるものとして、それまで約4.3×109個しかなかったIPアドレスを約3.4×1038個までサポートしています。

※3 マルチキャスト
 ネットワーク上にある決められた複数のネットワーク端末に対して、データを一斉に配信する技術です。一対一で通信を行うユニキャストと比べて、効率的にデータを配信することができます。

※4 フレッツフォン
 本実験では、「フレッツフォン VP1000」を受信端末として利用します。実験に使う「フレッツフォン VP1000」は、市販されている機器の機能に加え、フレッツ・ドットネット経由で緊急地震速報を受信し、予測震度と主要動到達猶予時間を計算・表示するアプリケーションを実装しています。

※5 文部科学省「高度即時的地震情報伝達網実用化プロジェクト」
 文部科学省、気象庁、防災科学技術研究所は、リアルタイム地震情報の伝達が実用的に行えるようにすることを目的として、リーディングプロジェクト「高度即時的地震情報伝達網実用化プロジェクト」を平成15年度より開始しました。
 REICは、「緊急地震速報の利活用の実証的調査・研究」に関する部分を独立行政法人防災科学技術研究所から委託を受け、IP電話を利用した緊急地震速報伝達システムをはじめとする14の分野における地震防災対応システムの開発・実証実験を進めています。この開発・研究を通じ、緊急地震速報が防災に有効に利活用されることが期待されます。

※6 エムズガーデン南中山
 「安心・安全」「エコ」「エイジング」「暮らしの充実」をコンセプトに2005年7月から分譲している全243区画の戸建住宅団地です。購入希望者に対して「街づくり説明会」を実施しており、入居者の「安心・安全」な街づくりに協力する意識が一般分譲地より高く、緊急地震速報システムの実証実験への参加に協力して頂きやすい環境にあります。



《別紙1》 実証実験の概要
《別紙2》 緊急地震速報受信端末 〜フレッツフォン VP1000〜


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