1.業績の概況

 当上半期におけるわが国経済は、企業収益の改善が続き設備投資が増加する一方、雇用情勢は厳しさが残るものの改善が進み、個人消費が緩やかに増加しているなど、景気は堅調な回復基調が続きました。
 情報通信分野におきましては、時間や場所を選ぶことなく様々な情報の送受信を可能とするユビキタス化が進展しつつあるなか、ブロードバンドサービスの利用ニーズが急速に高まっております。ブロードバンド市場では、ADSLサービスの高速化が続くなか、顧客獲得競争により料金の低廉化が進行する一方で、IP電話サービスの提供が本格化するとともに、光アクセスサービスの需要が着実に拡大してまいりました。一方、固定電話市場におきましても、他事業者によるドライカッパを利用した直収電話の新たな参入が表明されるなど、競争が一層激しくなることが予想されます。
 このような事業環境のもと、当社は、「真のお客さま主導企業」を事業運営の基本に、当期を『離陸期に入った「光」を本格化する正念場』と位置付け、本社等組織の見直しにより、さらなる販売力、サービス開発力の強化および意思決定のスピード化等を図るとともに、多彩なIP・ブロードバンドサービスを積極的に展開し、新たな収益源の開拓と財務基盤の確立に努めてまいりました。
 当上半期におきましては、主に次のような取り組みを実施しました。
 まず、急速に拡大するブロードバンド市場におきましては、多様なお客様ニーズに対応したさらなるサービスの拡充と料金の低廉化に努めてまいりました。具体的には、ADSLサービスにおいて、新たに下り最大概ね47Mbps、上り最大概ね5Mbpsへの伝送速度の高速化を実現した「フレッツ・ADSL モアIII」の提供を8月に開始しました。また、「Bフレッツ マンションタイプ」をご利用のお客様を対象に、従来の加入電話等と同じ電話番号で、IP電話網内および一般加入電話等への発着信を可能とする集合住宅向けIP電話サービス「ひかり電話」の提供を9月に開始しました。このほか、「Bフレッツ」や「フレッツ・ADSL」を利用して、家庭の電話機等からメールの送受信や情報検索等のLモード機能が利用できる「Lモード on フレッツ」を提供開始しました。さらに、企業における映像伝送ニーズに対応するため、映像品質を確保しつつ県内の複数拠点へ同時に映像を伝送することができる「モアライブ」のサービス提供を開始しました。
 あわせて、お客様に安心してサービスをご利用いただくため、24時間365日故障修理対応を行う既存サービスである「フレッツ・ADSL アドバンスドサポート」に「モアIII」対応メニューを追加するとともに、中小企業のお客様向けに、簡単にウィルスや不正アクセスへのセキュリティ対策を実施することが可能な「フレッツ・セーフティ TypeII」のサービス提供を開始しました。また、お客様の利便性向上を図るため、タッチパネルによる簡単な操作でお使いいただけるIPテレビ電話端末「フレッツフォン VP1000」の予約販売を9月に開始しました。
 一方、ブロードバンド環境を活用した付加価値の高いコンテンツの提供を拡大するため、他企業とのアライアンスにより「Try to ゴルファーズBB on フレッツ」のトライアル配信を開始したほか、「フレッツ・オンデマンド」有料情報サービスにおけるご利用可能なお客様の拡大等を実施しました。
 さらに、「法人向けIP電話サービス」の同一契約者間の通話料金を県内通話だけでなく、県間通話も無料とするほか、「Bフレッツ マンションタイプ」の月額利用料を値下げし、料金の低廉化に努めるとともに、「フレッツ・ADSL」における月額利用料等の「3ヵ月無料キャンペーン」の延長等に加え、10月から「Bフレッツ」における月額利用料等の「2ヵ月無料キャンペーン」を実施することとするなど、販売促進施策の展開に努めてまいりました。また、固定電話から携帯電話への通信につきましても、従来、携帯電話事業者が提供してきた料金より低廉な料金でご利用いただける通話サービスを4月に開始しました。
 また、電話料金につきましては、新たな競争環境に対応するため、将来の光IP時代のフラットな基本料・通話料体系を展望した値下げを平成17年1月から実施するとともに、施設設置負担金につきましても、同年3月から値下げを実施することとしました。
 法人ビジネス分野におきましては、業種・業態別営業体制をベースとした企業グループ単位でのビジネスユニットを構築し、あわせて、サービス開発から販売までをトータルで提供する体制とするための本社組織の見直しを7月に実施するとともに、お客様と課題を共有し共に新たなビジネスを創造していく「Team m@rketing solution」(チーム・マーケティング・ソリューション)というビジネスコンセプトのもと、メガデータネッツ、スーパーワイドLAN、メトロイーサ等のビジネスユーザ向け光アクセスサービスおよびデータセンター等のサービス提供に積極的に取り組むほか、4月に改正されました電気通信事業法に基づく相対契約制度の活用等により、高度化、多様化するお客様ニーズに的確に対応したトータルなソリューションビジネスを展開しました。このほか、ビジネスユーザ事業推進本部「e-Japan推進部」および各支店法人営業部「e-Japan推進室」を中心に、東日本エリアにおける各自治体の「e-Japan重点計画」に対しましても、積極的に取り組んでまいりました。
 業務運営体制につきましては、「コンシューマ事業推進本部」、「ビジネスユーザ事業推進本部」、「ネットワーク事業推進本部」の3事業推進本部を新設するとともに、スタッフ部門の統廃合を行うなど本社等組織の見直しにより、支店等との関係を含めた意思決定のスピード化を図ってまいりました。また、東日本グループとして、構造改革に伴い設立した県域子会社(※)との連携により、ITホームコンサルタント事業を展開するなど、事業領域の拡大に向け積極的に取り組んでまいりました。
県域子会社:都道県単位に設置した「株式会社エヌ・ティ・ティ サービス〔都道県名〕」、「株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー〔都道県名・地方名〕」、「株式会社エヌ・ティ・ティ・ビジネスアソシエ〔都道県名〕」の各社

 以上の結果、当上半期の主なサービスの販売状況は次のとおりとなりました。
 ブロードバンド・アクセスサービスにつきましては、Bフレッツの9月末の契約数が632千回線、前期末比206千回線の増、フレッツ・ADSLの9月末の契約数は、2,620千回線、前期末比338千回線の増となりました。
 一般加入電話につきましては、9月末の施設数が2,523万加入、前期末比1万加入の増となりました。INSネットサービスは、ブロードバンド・アクセスサービスへの移行などにより、INSネット64の9月末の施設数が前期末比18万回線減の421万回線となりました。
 専用サービスにつきましては、ビジネスユーザ向け光アクセスサービスへの需要シフトなどにより、高速ディジタル伝送サービスの9月末の施設数が前期末比2万回線減の22.9万回線となりました。
 また、当上半期における営業収益は、1兆714億円(前年同期比3.8%減)、経常利益は534億円(前年同期比27.7%減)、中間純利益は313億円(前年同期比21.9%減)となりました。


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