1.業績の概況


 当上半期におけるわが国経済は、雇用情勢は依然として厳しいものの、設備投資の増加や企業収益の改善の動きが見られ、一方、個人消費は横ばいで推移する状況にありました。
 情報通信分野においては、ブロードバンド化、IP化が一段と加速し、本格的な「ブロードバンド時代」の到来を迎え、ブロードバンド市場では、ADSLの高速化やIP電話サービスが一層拡大するとともに、光アクセスサービスもその利用が拡大するなか、顧客獲得競争はますます激しさを増しました。一方、固定電話市場は、固定から携帯、音声からIPへのシフトにともない、市場規模の縮小が続いております。
 このような極めて厳しい事業環境のもと、当社は、「真のお客さま主導企業」を事業運営の基本とし、「構造改革」による経営効率化の実効性を高めるとともにブロードバンドサービスを積極的に展開し、新たな収益源の開拓と財務基盤の強化に努めてまいりました。あわせて、政府が7月に発表した「e-Japan戦略 II 」に掲げられた21世紀型「元気・安心・感動・便利」社会の実現に向け、積極的に取り組んでまいりました。
 当上半期においては、主に次のような取り組みを実施しました。
 まず、ブロードバンドアクセス市場においては、サービス拡充と更なる料金の低廉化に努めてまいりました。具体的には、「フレッツ・ADSL」既存の3タイプ(「モア」、「8M」、「1.5M」)に加え、新たに下り最大速度概ね24Mbpsを実現した「フレッツ・ADSL モア II 」の提供を7月に開始しました。また、低速から高速まで柔軟な帯域を選択し、県内均一料金で経済的に拠点間ネットワークを構築できる新たなイーサネットVPNサービス「フラットイーサ」の提供を7月に開始しました。このほか、新たに専用IP電話網を構築し、IP電話網内および一般加入電話等への発着信を可能とする「法人向けIP電話サービス」の開始に向けた活用業務の認可を受け、10月にサービス提供を開始することとしました。また、高速性、双方向性に優れたブロードバンド環境を活用した魅力あるコンテンツを提供するため、国内外の他企業とのアライアンスにより「DisneyBB on フレッツ」、「J.LEAGUE BB on フレッツ」、「タカラヅカ on フレッツ」の提供を開始したほか、オンラインゲームを楽しむことのできる「GAME on フレッツ」のトライアル提供を開始するなど、フレッツサービスを活用したブロードバンド・コンテンツサービスの充実を図ってまいりました。
 一方、最新技術を活用した著作権保護技術、IPv6(次世代インターネットプロトコル)、次世代ストリーミング配信、大容量配信サービスなどの実用化や利用実験にも積極的に取り組みました。
 あわせて、お客さまの利便性向上を図るため、「Bフレッツ ニューファミリータイプ」の提供エリアを拡大したほか、首都圏エリア(東京・神奈川・千葉・埼玉)で3月に実施した「フレッツサービスの広域化」について6月に当社の提供エリア全域に拡大いたしました。また、より使いやすい料金を目指し、「Bフレッツ」(「ニューファミリータイプ」、「マンションタイプ」)の月額利用料を値下げしたほか、「Bフレッツ 工事費半額割引」を実施するとともに、「フレッツ・ADSL」の月額利用料につきましても、「最大3ヵ月無料キャンペーン」を実施するなどお客さまの獲得に努めました。
 ご利用の多い法人企業に対しては、「Team m@rketing solution」(チーム・マーケティング・ソリューション)というブランドのもと、メガデータネッツ、スーパーワイドLAN、メトロイーサ等のビジネスユーザ向け光アクセスサービスおよび最先端のデータセンター技術等を駆使し、高度化、多様化するお客様ニーズに的確に対応したトータルなソリューションビジネスを展開しました。また、法人向けのITソリューションサービスとして、東京都心部(霞ヶ関、丸ノ内、赤坂)で展開している「Ephelioデータセンター」では、新たに「茅場兜データセンター」(東京都中央区)を7月に開設しました。
 このほか、法人営業本部に設置した「e-Japan推進部」および各支店法人営業部「e-Japan推進室」を中心に、国家的なプロジェクトである「e-Japan重点計画」に対しても、積極的に取り組んでまいりました。
 子会社の設立につきましては、新たに環境ビジネスに取り組むこととし、当社と株式会社エヌ・ティ・ティ ファシリティーズ、株式会社荏原製作所との共同により、「エヌ・ティ・ティ ジーピー・エコ株式会社」を4月に設立しました。
 経営の合理化につきましては、支店営業企画業務、支店法人営業業務の一部および本社コストセンタから設備構築・サービス運営等にかかわるオペレーション業務などについて、「構造改革」に伴い設立した県域子会社(※)にそれぞれ移行するとともに、本社コストセンタの一部を本社スタッフ部門等に統合するなど本社組織の見直しを行いました。また、東日本グループフォーメーションについても、「株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー」の事業・ミッションを法人向け第2種電気通信事業に特化させるなどの見直しを4月に実施しました。
  ※ 県域子会社:都道県単位に設置した「株式会社エヌ・ティ・ティ サービス〔都道県名〕」、「株式会社エヌ・ティ・ティ・ビジネスアソシエ〔都道県名〕」、「株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー〔都道県名・地方名〕」の各社


 以上の結果、当上半期の主なサービスの販売状況は次のとおりとなりました。
 ブロードバンド・アクセスサービスにつきましては、Bフレッツの9月末の契約数が247千回線、前期末比136千回線の増、フレッツ・ADSLの9月末の契約数は、1,912千回線、前期末比482千回線の増となりました。
 一般加入電話につきましては、9月末の施設数が2,522万加入、前期末比13万加入の増となりました。INSネットサービスは、ブロードバンド・アクセスサービスへの移行などにより、INSネット64の9月末の施設数が前期末比25万回線減の464万回線となりました。
 専用サービスにつきましても、ビジネス向け光アクセスサービスへの移行などにより、高速ディジタル伝送サービスの9月末の施設数が前期末比2.1万回線減の27.0万回線となりました。
 また、当上半期における営業収益は、1兆1,137億円(前年同期比5.0%減)、経常利益は740億円(前年同期比49.9%増)、中間純利益は401億円(前年同期比35.8%増)となりました。


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