News Release

平成14年7月31日


ネットワークストレージとサーバ指向P2P通信モデルを利用した
ブロードバンドコンテンツ流通共同実験について


 NTT東日本は、ネットワークストレージ*1およびサーバ指向P2P通信モデル*2を利用したブロードバンドコンテンツ流通プラットフォーム「パーソナルポータルプラットフォーム(仮称)」の共同実験について、これまで準備を進めてきましたが、このたび、全ての実験参加者の実験環境が整ったことから、都内の企業8社とともに、平成14年8月1日(木)より実証実験を開始します。
*1 ネットワークストレージ(network storage)
ディジタルデータを保存できるハードディスクをネットワーク上に配置し、ネットワークを経由して利用できる記憶装置、およびその形態の総称。
*2 サーバ指向P2P通信モデル
従来のP2P(ピアツーピア、peer to peer)と呼ばれる「端末間あるいはユーザ間で対等な通信を行う技術」を利用してサーバ間のP2P通信を行うネットワーク形態。


1. 背景
 企業で扱う情報における、ブロードバンドコンテンツに代表されるような大容量データの増加に伴い、大容量のデータをネットワーク上で安全かつ安価に、タイムラグなく流通させる手段を求める声が高まっています。これらを実現する方式として、現在P2Pと呼ばれる「クライアント同士が直接通信する」方式が注目されていますが、常にクライアントがネットワークに接続され、かつアクティブな状態でなければならず、また、他人が直接クライアントにアクセスするためセキュリティ確保に配慮しなければならない等、いくつかの問題点が挙げられています。
 これらの問題を解決し、利用者にとって利便性の高い効率的なブロードバンドコンテンツの流通の実現に向けて、ネットワークストレージとサーバ指向P2P通信モデルを組み合わせた新しいプラットフォームを開発するとともに、その実用性を検証するため、同プラットフォームを利用したブロードバンドコンテンツ流通の共同実験を行います。


2. 共同実験の概要
 ネットワークストレージとサーバ指向P2P通信モデルを組み合わせた「パーソナルポータルプラットフォーム(仮称)」を構築し、実験参加企業がBフレッツ、フレッツ・ADSLからアクセスして、同プラットフォームを日常業務やコンテンツ流通、参加者間のコラボレーション等、大容量ファイルを用いた多目的な利用ができる環境について検証します。

(1)「パーソナルポータルプラットフォーム(仮称)」の概要
 本プラットフォームは、大容量ファイルの蓄積、交換、加工等を安全かつスムーズに行うためのブロードバンドコンテンツ流通プラットフォームです。
 利用者は、Bフレッツやフレッツ・ADSLから地域IP網を介してダイレクトに割り振られたサーバ(パーソナルポータルサーバ)へ接続されるため、安全でストレスの無いコンテンツ流通環境を実現します。

<主な機能>
<1> ストレージ機能
 各参加企業が、大容量データの蓄積や共有、交換などを行える機能。参加企業は蓄積するデータの性格に応じて4つの保存スペース(非公開、共有、公開、CUG)を使い分けることができます。
<2> メール機能
 参加企業同士で、大容量コンテンツの送受信をWebメールのようなインターフェースで実現する機能。
<3> インデクシング機能
 登録された動画ファイルのサムネイル(映像や文書データのイメージを小さく画像表示したもの)作成、ストリーム形式への変換、メタ情報*3の付加を行い、検索やデータベース化を容易にする機能。
<4> サーチ機能
 プラットフォーム内の情報検索やファイル収集を、コンテンツに付加されたメタ情報を元に実行できる項目情報検索機能。
*3 メタ情報
 情報自身の特徴を記述した情報 (情報に関する情報)のこと。情報発信や検索などを行う際は、このメタ情報を参照することで行われる。

(2) 各社の主な役割

<NTT東日本>
 「パーソナルポータルプラットフォーム(仮称)」を提供し、その構築・運用管理を担うとともに、プラットフォームのハードウェア/ソフトウェア/ネットワーク上の問題点の検証を行います。
<1> 双方向コミュニケーションを指向したコンテンツデリバリーネットワーク(双方向CDN)構築に付随するネットワークストレージの技術検証
<2> 双方向CDNを実現するためにサーバ指向P2P通信モデルを採用することへの設備投資効率性の検証と、同モデルによる効率的なブロードバンドコンテンツ流通技術の検証
<3> サーバでの映像インデクシング技術*4および、映像コンテンツに対し、サーバでメタ情報を付加・共有する技術の検証を行う。
(コンテンツ提供:歴史公園えさし藤原の郷)
*4 映像インデクシング技術
 NTTサイバースペース研究所のコンテンツアーカイブビルダを用いて、映像シーンの変わり目などをキーにサムネイルを作成する技術。本プラットフォームでは、「歴史公園えさし藤原の郷」が提供する映画ロケ地紹介映像において、伽羅御所や政庁など見たい施設をインデックスから選択して視聴することなどが可能。

<実験参加企業>
株式会社銀座サクラヤinfomedia事業部
クライアープラネット有限会社
シーエヌエス株式会社
有限会社シーピーシー
特許資料協同組合
他 音楽製作分野、映像製作分野、工業製品設計分野 各1社    計8社

 実験参加企業は、プラットフォームを様々な形態で利用することにより、企業間でのネットワークコラボレーションツールとしての有用性や利便性の評価を行います。
【想定される主な利用形態】
<1> グルーピングされたメンバ間での情報共有利用
<2> 大容量ファイルを頻繁に交換する協業他社間でのコラボレーション利用
<3> コミュニティを作成し、その中でのブロードバンドコンテンツ流通利用
<4> 社内ネットワークがナローバンドもしくは未構築の企業における社内イントラネット利用
<5> 映像インデクシング技術を用いた映像検索データベースとしての利用

(3) 実証実験エリア
東京都内

(4) 実証実験期間
平成14年8月1日(木)〜平成14年9月30日(月)



(別紙)システム構成図


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