平成13年6月22日
<報道発表資料>
三菱商事株式会社
東日本電信電話株式会社
三菱電機株式会社
東京工科大学
(学校法人 片柳学園)


東京工科大学における生体認証技術(バイオメトリクス)を利用した「未来型キャンパスモデル」構築のためのビジネス・コンソーシアムの設立について


 三菱商事株式会社(以下 三菱商事、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:佐々木 幹夫)、東日本電信電話株式会社(以下 NTT東日本、本社:東京都新宿区、代表取締役社長:井上 秀一)、三菱電機株式会社(以下 三菱電機、本社:東京都千代田区、代表取締役社長:谷口 一郎)、東京工科大学(住所:東京都八王子市、学長:相磯 秀夫、学校法人 片柳学園)は、指紋認証等の生体認証技術(バイオメトリクス技術) を中心とし、次世代のキャンパスにおけるITセキュリティ技術の研究・開発と実証を行う「未来型キャンパスモデル」作りを目的としたビジネスコンソーシアムを本日設立しました。
 本コンソーシアムでは、高度なITセキュリティが確保されたコンテンツ配信サービス等のアプリケーションの研究・開発と実証も行いつつ、ブロードバンド時代における「未来型キャンパス」の構築を目指します。


1.背景
 昨今、大学等の教育分野においてはインターネットの利用が積極的に進められており、通信教育等の双方向教育(Web-based Training, “Virtual Campus”)が増えつつあります。こうした“顔の見えない”コミュニケーションが広がる中、ネットワーク上でのより確実な本人認証に対するニーズが高まってきており、ITセキュリティが保証された環境を作ることが急務となってきています。また、学内での教育・研究・一般業務(“Real Campus”)においても、個人データや試験問題、入試問題等の高度なセキュリティを要求される情報が多く存在しているため、ネットワークの活用による業務効率化を図る上でも、ITセキュリティを重視した未来型キャンパス運営が今後、必要となることが考えられます。
 さらに、来るべきブロードバンド時代には、ITセキュリティが確保されたネットワークインフラを活用した様々なコンテンツやサービス事業が生み出される可能性が無限にあり、新しいライフスタイルやカルチャー等を生み出せる人材を育成するためにも、大学を核とした研究・開発・実証モデル作りがますます重要になると考えられます。


2.主な活動内容
 舞台となる東京工科大学では、未来型キャンパス“e-campus構想”を掲げ、キーワードとして「セキュリティ」、「ワイヤレス」、「キャッシュレス」、「コミュニティ」を挙げています。本コンソーシアムでは、この4つの面から「未来型キャンパス」モデルの構築を行うこととしています。

(1)セキュリティ
 バイオメトリクス技術をその中核に位置づけ、ITセキュリティが保証された環境を提供していきます。例えば、ID・パスワードとバイオメトリクス技術との併用で、より確実な本人認証の手段として期待されるICカードに関しては、学生証のICチップへの個人情報の搭載と指紋認証を組合せた利用形態を視野に入れ、NTT東日本・三菱電機を中心に検討していく予定です。

(2)ワイヤレス
 光ファイバーの導入と無線LANの整備をNTT東日本を中心に推進し、学内のワイヤレス環境の構築を行います。さらに、バイオメトリクス技術と携帯電話を組み合わせたアプリケーションの研究・開発について、今後、移動体通信キャリアと具体的に検討していきたいと考えております。

(3)キャッシュレス
 三菱商事を軸に銀行や保険会社、クレジットカード会社等と検討を進めており、徹底した学内のキャッシュレス化を進め、大学におけるキャッシュレスモデルとしてのスタンダードを目指します。

(4)コミュニティ
 情報ネットワーク環境が最も整った大学の一つとして高い評価を受けている東京工科大学を、ITセキュリティ等の環境を整備することにより、学生や教職員がより一層IT環境を活用しやすい「未来型キャンパス」にするとともに、次世代の先進教育のモデル大学にしていきたいと考えています。さらに、東京工科大学がある八王子・多摩地区には、大学20数校、学生約11万人が集中しているため、この特色を活かした本モデルの展開、ITセキュリティを強化した大学間ネットワーク作りを検討していきます。


3.各社の役割
 バイオメトリクス技術単独あるいはICカードとバイオメトリクス技術 等を複合した認証技術の普及と事業化を狙う三菱商事が中心となり、バイオメトリクス技術では国内メーカーをリードする三菱電機、ブロードバンドのITインフラと各種ネットワークセキュリティの技術を有するNTT東日本が組み、IT研究・開発・教育やITインフラ環境では国内で有数の規模を持つ東京工科大学を舞台に各種技術の研究・開発・実証を行います。
 具体的な各社の役割は以下の通りです。

・三菱商事 全体のプロジェクト取りまとめ、コンソーシアム事務局運営・業務、政府・自治体・海外企業との窓口
・NTT東日本 ネットワーク・セキュリティ技術の提供と、ブロードバンドにおけるコンテンツに関する セキュリティ・個人認証アルゴリズムの開発等
・三菱電機 バイオメトリクス技術の応用製品及びシステム構築
・東京工科大学 (学校法人 片柳学園)
学生・教職員の協力のもと、バイオメトリクス利用の基礎研究・開発、運用上の問題点等の収集および更なる研究開発へのフィードバック


4.今後の展望
 将来的には、大学のみならず電子政府化を模索する地方自治体に対しても、本コンソーシアムへの参加を呼びかけ、八王子・多摩地区を次世代の先進教育、ITセキュリティのモデル地域としていきたいと考えています。さらに、本コンソーシアムにおいて研究・構築した「未来型キャンパスモデル」を、首都圏有力大学や地方の中核大学等へも展開し、ITセキュリティを強化した大学間ネットワークを整備していきたいと考えています。
 このように、本モデルを他大学や企業等に向け展開していくことにより、数年以内に本モデルによるバイオメトリクス・ビジネスを50億円規模にすることを目指すとともに、現在年間十数億円程度のバイオメトリクスの市場全体を、2005年には国内で200億円に拡大していきたいと考えています。


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