平成12年9月13日
報道発表資料

東日本電信電話株式会社
東急建設株式会社


建設業界向け情報流通システム「OCIネットワークシステム」の
開発および実証実験の開始について

−インターネットEDI(電子データ交換)を実現する図面/見積情報流通システム−


 東日本電信電話株式会社(以下 NTT東日本、本社:東京都新宿区、代表取締役社長:井上 秀一)は、東急建設株式会社(以下 東急建設、本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:井原 國芳)の協力を得て、建設業界向け情報流通システム「OCI(Open Construction Information Sharing)ネットワークシステム」を開発しました。
 本システムは、購買見積業務において必要となる図面、工程表、見積依頼書を電子化し、複数の協力会社に対して一括してインターネット上でやりとりできるシステムで、建設業界では初めての開発となります。
 また、NTT東日本と東急建設は、平成12年9月18日(月)から、東急建設の実際の購買見積業務において、本システムの実証実験を開始します。
 今回の実証実験にあたり、東急建設は、協力会社のうち現時点で対応可能と思われる約500社に実験参加を呼びかけ、当初は7社から開始する予定ですが、今後半年間で参加会社数を100社程度にまで拡げ、本システムによる電子調達を本格化する予定です。


1.背景
 建設業界では、建設投資の縮減、受注競争の激化等の非常に厳しい状況の中で、情報化による契約の公平性・品質の向上・建設コストの縮減・業務の迅速化が急務となっています。
 このような動きの中で、情報化の流れに遅れ気味である建設業界においては、インターネットやパソコンを活用したIT(情報技術)による業務改善への対応意欲が膨らんできていることから、平成10年6月、NTT東日本(当時NTT)は、建設業界向けのソリューション提供に向け、ゼネコン数社と建設業界のEDI化に向けた勉強会を開始しました。
 この勉強会での検討を踏まえ、両社は、今まで電話・FAX・訪問等(移動・応対等)や、紙ベースの図面・工程表などの見積資料の準備に多くの時間を要していた見積業務にスポットを当て、平成10年8月から研究並びにシステムの仕様検討に着手してきました。
 さらに、平成11年1月からは、実証段階に向けたプロトタイプのシステムの開発を進めてきましたが、実際の運用にあたり、業務への適合性および運用上の課題把握等を目的として、今回の実証実験を行なうこととなりました。


2.システムの概要
 OCIネットワークシステムは、ゼネコン・サブコン・専門工事会社間を結ぶクライアント/サーバー型システムです。
 ゼネコン・サブコン・専門工事会社間において、インターネット上で図面・工程表・見積の全てのデータを流通させることにより、企業間で容易に情報共有が行えるため、効率的かつスピーディーな見積業務を実現します。
 さらに、インターネットVPN(Virtual Private Network)に使用されている高度な暗号技術を用いることで、内容の機密保持を容易に実現しながら情報の「流通」と「共有」を行うことができます。


3.運用方法および特徴
<1>  ゼネコン側のサーバーに物件情報(図面、工程表、見積依頼)を登録後、見積を依頼する複数の専門工事会社を選定し、同様の内容の依頼を同時に発注。
→  見積依頼データの材料・仕様・数量をあらかじめ指定することで見積内容を統一化できます。
<2>  専門工事会社は、インターネットを経由してゼネコンのサーバーに接続することにより、自社あての見積依頼物件情報を入手。
→  工程表・図面データの取得時には、ファイルサイズの小さい概要データをモニタで確認した後、必要な実データのみをパソコンに取り込むことができるため、通信にかかるコストを低減します。
<3>  専門工事会社は、これらの物件情報を閲覧し、見積金額(単価)を入力して返信。また、CADデータについては、本システムに搭載されたCADビューアー機能により閲覧および測定(距離、面積、周長、座標)、拡大・縮小、レイヤ毎表示等が可能。
→  協力会社は各取引先毎に異なるCADソフトを用意せずに、閲覧及び印刷が可能となります。
<4>  ゼネコンは、返信された数社からの見積データを比較し、発注先を選定。
→  今までは、見積書のフォーマットが会社毎に違うため、見積比較に多くの稼動がかかっていましたが、本システムを利用することで見積依頼データが統一され、見積比較の稼動が軽減されます。また、再見積依頼等でデータを2次利用することも可能です。


4.実証実験期間
 平成12年9月18日(月)〜平成13年2月28日(水)


5.今後の展開
 両社は、この実証実験を通じて得られた結果を踏まえ、より完成度の高いシステムとなるようバージョンアップを行います。
 さらに、実証実験後は、本システムの建設業界全体への普及拡大を目指すとともに、今後、建設業界におけるデータ標準となるであろう「CI−NET」とのデータの互換性などを含めて、整合性をとっていきます。
 また両社は、今回の「OCIネットワークシステム」での協力に止まらず、広く建設業界のシステム化に向けた協力関係を築いていきます。

*CI−NET(Construction Industry Network)
 『建設産業情報化ネットワーク』のことで、 標準化された方法によるコンピュータ利用により、建設生産に関わるさまざまな企業間の情報交換を実現し、建設産業全体の生産性向上を図ろうとする。財団法人 建設業振興基金に設置される「建設産業情報化推進センター」で実用化が進められている。



【 参考 】業務フロー


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