関東病院


産婦人科

扱う疾患および特色

産婦人科は女性特有の疾患を扱う科です。生命の誕生である分娩をはじめ、子宮筋腫や卵巣嚢腫などの良性疾患から子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどの悪性疾患まで多岐にわたります。また、生殖に関わるトラブルは不妊症として、閉経前後の身体のトラブルは更年期障害として扱います。以上から、産婦人科では女性の各ライフステージにおける疾患を対象にしています。

昭和27年に関東逓信病院として開院以来、平成23年までの60年間に50000人以上の分娩を取り扱った伝統ある産婦人科であるとともに、NTT企業立病院として他に先駆けて統合的電子化診療システムを導入し、治療方針に着いての十分な説明と効率的な診療計画(クリティカルパス)の明示により、患者さんに納得のいただける医療の提供を心がけて参りました。

当院は地域の中核病院であり、がん診療拠点病院となっています。当科でも、充実したスタッフ・設備のもと、子宮がんや卵巣がんなどの婦人科悪性腫瘍の診断・治療に力を注いでおり、これらの患者さんに対しては初診から診断・治療までどの施設よりも迅速に対応することをモットーとしております。

この充実した診療を行うために産婦人科常勤医9名(うち産婦人科専門医7名)体制で対応しております。当科は日本産婦人科学会認定の産婦人科専攻医指導施設であり、3名の経験豊富な婦人科腫瘍専門医の指導のもと、都内で大学病院・がん専門病院以外では数少ない婦人科腫瘍学会修練施設(婦人科がん治療の専門医を養成する施設)として認定されています。

産科

当科では安全でかつ快適な妊娠・分娩をモットーとしています。全分娩をLDR(陣痛室―分娩室―回復室が一体となった個室)で行い、夫立ち会いや母児同室をおすすめしています。新生児の管理はすべて小児科専門医が、また帝王切開などの麻酔は麻酔科専門医が担当しますので、なんらかの異常が生じた場合でも的確な対応が可能です。ただし、NICU(新生児集中治療室)は併設されていないため、早産が予想される場合などは周産期センターへの母体搬送を担当医同伴の上、責任を持って対応させていただいております。

2007年より全国に先駆け助産外来を開設しています。妊娠中の方は助産師主導による助産外来マザークラス(母親学級)・両親学級マタニティヨーガもご利用になれます。

婦人科

婦人科悪性腫瘍疾患

婦人科がん(子宮がんや卵巣がん)の診断・治療は、婦人科腫瘍専門医のみならず、放射線治療専門医、病理専門医、そして緩和ケアの専門医と協力したチーム医療が極めて大切です。また、医師・薬剤師チームによる抗がん剤の適正使用や副作用対策なども重要です。当院はこれらのチーム医療を提供できる数少ない病院です。また、各診療科も充実しているために、がん専門病院では治療できないような心疾患や糖尿病などの合併症をもつ婦人科悪性腫瘍疾患の患者さんにも対応しています。

最近は、病院や主治医によって婦人科がん患者さんの治療法が著しく異なることがないように、婦人科がん治療ガイドラインというマニュアルにより標準化が示されています。(http://www.jsgo.gr.jp/)私たちは、これらのガイドラインを遵守しつつ、ひとりひとりの患者さんにあったオーダーメイドの治療法を患者さんご本人と直接相談しながら決めていきます。また、JCOG(日本臨床腫瘍研究グループ)の婦人科腫瘍グループ研究施設として最先端の治療方法を開発すべく全国的な臨床試験への積極的な参加を推進しています。

①子宮頸部異形性の円錐切除、蒸散(焼灼)

当院には日本臨床細胞学会認定細胞診専門医が3名在籍し、子宮頸部細胞診(子宮がん検診)で異常のあった患者さんに対してきめ細やかな対応を行っています。コルポスコピーという精密検査も別の日の外来でなく、受診当日にすぐ施行できるようにしています。

当院では年間約70件の円錐切除を高周波手術器という専用の器具を用いて行っています。また、子宮頸癌の原因ウイルスであるHPV検査を積極的に行っています。円錐切除の合併症を軽減するために、症例によっては蒸散治療(子宮頸部の上皮のみを焼灼する)も行っています。この様に我々の病院では子宮温存に積極的に取り組んでいます。

②子宮頸がん

子宮の入り口の部分(子宮頸部)にできるがんです。主に手術療法と放射線療法による治療を行います。手術は前述の経験豊富な婦人科腫瘍専門医の指導のもとで行われます。子宮頸がんは放射線療法と化学療法の組み合わせが非常に有効ですので、進行子宮頸がんに対しては手術療法ではなく、治療効果は同等で手術療法より体に負担の少ない同時化学放射線療法をおすすめしています。特に当院では充実した外来化学療法室を利用し、外来通院でも行う事が可能です。

③子宮体がん(子宮内膜がん)

子宮の奥の部分(子宮体部)にできるがんです。主に手術療法が基本となります。手術にて子宮摘出することにより、ほとんどの患者さんはなおりますが、この病気は高齢の方や高血圧・糖尿病などの合併症を持っている方に多く発生することが知られています。手術の際には十分な注意が必要ですが、当科と麻酔科や合併症の関係各科と連携して安全な手術が可能です。

④卵巣がん

主に手術療法と化学療法の組み合わせにより行います。卵巣がんは早期発見が難しく、進行卵巣がんで発見される場合が多く、その手術療法は重要かつ極めて困難です。当院では、当科と外科・泌尿器科チームが連携し、積極的に根治を目指す手術を行っています。また、術後や再発時には、抗がん剤を用いた化学療法がとても重要です。当科には化学療法を専門とする婦人科医師が在籍しています。

婦人科良性腫瘍疾患

婦人科良性疾患(子宮筋腫や卵巣嚢腫)のために手術が必要な患者さんに対しては、まず腹腔鏡や子宮鏡などの内視鏡を用いた手術が可能かどうかを検討し、できるだけ患者さんに負担の少ない手術を目指しています。

①子宮筋腫

さまざまな子宮筋腫の治療を行っています。子宮をすべて摘出する子宮全摘術と子宮を温存する筋腫核出術があります。開腹手術から腹腔鏡下手術・子宮鏡下手術まですべての治療方法に対応しています。

②卵巣嚢腫

主に腹腔鏡にて手術をおこなっています。

③子宮内膜症

症状に応じた治療(ホルモン療法、手術療法)を行っています。

月経困難症

月経困難症に対しては、最近、月経痛を劇的に軽減させる薬(低用量ピル)が認可されました。当科で月経困難症のために通院している患者数は都内の病院でも上位に位置しています。

不妊症

現在は卵管造影などの不妊一般検査から人工授精までのご相談にお応えしております。体外受精以上は他院へのご紹介となります。

更年期疾患

症状に応じてホルモン補充療法や漢方療法などを行います。閉経後骨粗鬆症も最近注目されていますが、当院には骨密度を正確に測定できるDEXAという機械が設置されており、骨量の正確な評価が可能です。

子宮脱

老人に多い疾患です。ペッサリーを用いた保存的な外来通院治療や手術療法があります。
高齢の患者さんが多いため手術は慎重な対応が必要ですが、専門の麻酔科医や内科医と連携し、安全な手術が可能です。

スタッフ写真

部長 角田 肇