関東病院


泌尿器科

扱う疾患および特色

日本はいわゆる団塊の世代が65歳を迎えたこともあり、すでに超高齢化社会に突入しています。今後も数十年はこの傾向がつづく、といわれています。こうした中、中高年男性の特色ともいえる前立腺の病気は非常に増えています。前立腺の病気には二つの大きな病気があります。まず前立肥大症、続いて前立腺がんがあります。

前立腺肥大症には、まず飲み薬の治療がありますが、薬が有効でない場合には手術が必要となります。尿道から内視鏡を使っての手術です。従来はTUR-Pといった高周波電流を使った電気メスによる手術が一般的でしたが、当科では最新のレーザー手術(ホルミウムレーザー前立腺核出術;HoLEP ホーレップを主におこなっています。手術による痛みや出血が少なく、比較的大きい前立腺肥大に対しても安全に手術ができるようになっています。2016年には72例(2015年には75例、2014年は78例、2013年は88例)の患者さんにこのレーザー手術を実施しました。

また前立腺がんにおいては早期の患者さんには、前立腺の全摘手術をおこなっています。 従来の開腹手術は2015年には74名でしたが、同年12月中旬から手術支援ロボット「ダヴィンチ」の最新鋭機種ダヴィンチXiを導入し、2016年には151例中147例がロボット手術を受け、現在ではほとんどの症例がロボット手術になっています。当院のロボット支援下前立腺全摘除術は手術時間は1時間30分前後で、出血量も50ml未満と非常に低侵襲手術であり、早期社会復帰が可能です。また勃起機能温存や術後の尿失禁を低減させる工夫を積極的に取り入れています。当院の前立腺全摘除術は出血量が非常に少なく、過去に輸血することがほぼなかったことから、現在では開腹手術ならびにロボット手術においても自己保存血を行っていません。
尿失禁の合併症も少なく、全入院期間も約10日間
、といった安全で確実な手術法となっています。 (※前立腺がんの手術実績)。

また2015年10月から当院においても放射線治療の最新鋭機種が導入され、IMRT治療が開始されました。2016年5月より保険診療を行っています。

当科でのがん治療において、従来から力を入れているのは、臓器温存手術です。できるだけがん組織以外の正常部分は残して、本来の臓器機能を温存し、治療後も快適に日常生活を送れるように、との視点に立っています。腎臓にがんが発生した場合、がんだけを摘出して正常部の腎臓を残す手術(腎温存手術、あるいは腎部分切除術)を積極的におこなっています。また、腎臓が何らかの原因で1個しかない状況でがんが発生した場合においては、可能な限り腎臓を温存する手術をおこなっています2016年には36例(開腹27例、ロボット9例(2015年は33、2014年は25例、2013年は20例の患者さんにこの腎部分切除術を実施しました(※腎細胞がんの手術実績)。一方、臓器温存手術とはまったく性格が反対の拡大手術になりますが、下大静脈腫瘍栓を伴う進行性腎癌の手術も実施しております。

早期の膀胱がんでは内視鏡治療後に、抗がん剤の膀胱内注入やBCGの注入により再発を防止し、膀胱を温存します。進行した膀胱がんでは、膀胱を温存するのは困難となり、膀胱の全摘手術が必要になります。2016年には10例(2015年に2例、2014年は7例、 2013年は9例)の患者さんに膀胱全摘手術を実施しました。しかし、膀胱を全摘したのち、小腸で代用の膀胱を形成し、尿道と吻合して手術後も排尿が可能となる手術法もおこなっています。

さらに、2016年には従来の開腹手術とは違う腹腔鏡下手術も15例(2015年は14例、 2014年は18例、2013年は16例)に実施しており、泌尿器科手術においては常に新技術の導入をこころがけています。
具体的には正常腎を温存できないような腎癌や腎盂癌、尿管癌、腎盂形成術などは腹腔鏡手術を積極的に行ない低侵襲手術に努め、早期社会復帰をめざしています。今後、ロボット腎部分切除術も導入する予定です。
ロボット腎部分切除術も2016年5月に導入し、7か月間で10例施行しています。
一般的には治療実績が少ないと自費診療となりますが、当院は豊富な実績があるため、初めから保険診療が可能な施設です。

腹腔鏡手術

① 創部が小さい(美容的です!)

  • 術後の痛みが少なく、早期離床が可能(手術翌日から歩行)
  • 腸管蠕動の回復が早く、食事開始が早い(手術翌日から食事開始)
  • 入院期間が短く、社会復帰が早い(開腹手術よりも3〜4日早く退院)

② 術後癒着が少なく、腸閉塞(イレウス)が少ない

  • 入院期間が短い

③ 拡大視野での手術のため、より繊細な手術が可能

  • 体内の細かいところまでしっかり確認しながら手術を行うことができる
  • 手術時の出血量が少ない

腎がん手術風景 腎がん手術風景

 

 

治療している主な疾患

腎・尿路・男性生殖器系腫瘍
副腎腫瘍、腎細胞がん(腎がん)、腎盂・尿管がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣腫瘍、陰茎がん
尿路閉塞性疾患
尿路結石(腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石)、水腎症
排尿機能関連疾患
前立腺肥大症、神経因性膀胱、尿失禁、過活動膀胱
尿路性器感染症
腎盂腎炎、膀胱炎、前立腺炎、精巣炎、精巣上体炎、尿道炎
男性生殖器疾患
陰嚢水腫、包茎、勃起障害

部長 志賀 淑之