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リハビリテーション科

1. リハビリテーション科の概況

1)入院中のすべての患者さんを対象

入院中のすべての患者さんを対象

当リハビリテーション科(リハビリ科)では固有の入院ベッドはありませんが、他科と連携をとりながら様々な疾患にともなう各種の障害に対してリハビリ治療を行っています。

対象となる患者さんは、脳神経外科や神経内科、整形外科のみでなく、消化器内科や呼吸器・肺外科、外科や各内科、皮膚科やペインクリニック科、緩和ケア科など全科に渡ります。

2)リハビリスタッフ

<スタッフは平成29年4月現在>

  • 医師 2名
    (1名は日本リハビリテーション医学会指導責任者・同専門医)
  • 理学療法士 22名
  • 作業療法士 12名
  • 言語聴覚士2名
  • リハビリテーション助手 2名

3)患者さんの動向

患者さんの動向

現在、一日に約200名の患者さんにリハビリを提供しています。 平成24年度から平成28年度までのリハビリ科が対象とした患者さん(入院)の数を資料1に示します。患者さんの数は、平成28年度で3371名です。
対象の患者さんは年々増加しています。患者さんの疾患別割合は脳神経疾患が約18%、運動器疾患が22%、残りの60%が院内多科から寄せられる患者さんで、廃用症候群*1の患者さんが多く含まれます。(資料2)。

*1廃用とは使わないことによる筋力の低下や関節拘縮、神経、内臓の機能低下をいいます。廃用の原因はさまざまですが、廃用により心身の機能が低下して日常生活に支障をきたしている状態を廃用症候群といいます。最近では「生活不活病」などとも言われるようになりました。肺炎や骨折の治療で安静を強いられたり、抗がん剤の治療や手術などによって体力が低下することによって、歩けなくなったり、食事が取れなくなる患者さんは多く、今後、疾病の慢性化や重度化、年齢の高齢化などにより廃用症候群の患者さんは今後、増加してくることが予想されます。

4)施設基準・認定施設

リハビリテ−ション施設基準 (脳血管T、廃用症候群T、運動器T、心大血管T、呼吸器T、がんリハ)
日本リハビリテーション医学会研修施設

2. 対象となる疾患について

脳外科・脳血管内科との連携で、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血などの脳血管障害、脳挫傷や頭蓋内出血・脳腫瘍、てんかんなどの中枢性疾患。神経内科との連携でパーキンソン病・脊髄小脳変性症などの神経変性疾患に対応しています。

整形外科との連携においては各部の骨折や切断・脊椎脊髄疾患・脊髄損傷・骨腫瘍・変形性関節症、その他、種々のスポーツ障害や末梢神経損傷などにも対応し、手術が必要な患者さんには術前よりリハビリを行い治療効果の向上に役立っています。

ペインクリニックにおいては各種の痛みに対する治療がおこなわれますが、 疼痛軽減に合わせて動作が拡大できるよう、適切な運動方法を提供します。

呼吸器・肺外科や循環器内科などに入院されている方々においては、治療にともない安静臥床などによる関節拘縮や嚥下障害などの廃用症候群がおこることも多々あり、その予防や治療にも力を入れています。

緩和ケア病棟では、患者さんに残された貴重な時間の中で、その方にふさわしい生活の質の改善に向けたリハビリを提供しています。

常に患者さんを生活の主体者として捉え、広い視野からのチームアプローチを行うようにしています。

3. 脳卒中センターとの連携

当院では平成17年度より脳卒中センター(Stroke Unit)が発足し、脳神経外科・脳血管内科・神経内科・放射線科・リハビリテーション科・その他、ソーシャルワーカーや病棟看護師などが密な連携をとる体制が確立し、超急性期からの脳卒中治療が開始できるようになりました。脳卒中専門医による高度で良質な脳卒中治療と並行し、入院されたその日よりリハビリを開始していく体制をとっています。月曜日から金曜日までの毎日、早朝より カンファレンス資料3)を開催し、超急性期からのリハビリを開始しています(資料4)。 土曜・祭日も含めた訓練や病棟での生活場面におけるリハビリテーションなど、早期離床を促すアプローチを展開していくことで、患者さんの機能回復は非常に良好です。

2016年にリハビリを受けた脳卒中患者さんの平均入院期間は約21日間です。脳卒中センターの開設以来、脳卒中患者さんのリハビリはより早期に開始されるようになり(資料5)、入院期間は短縮し、かつ、身体機能もより改善するという結果が出ました((資料6)。

脳卒中センターから直接自宅に退院される患者さんの割合(自宅復帰率)は約58%でした(2016年)。この自宅復帰率に関しても、脳卒中センター発足後は、以前と比べてより高くなっています(資料7)。

より長期のリハビリが必要な患者さんに関しては、機を逸せず良好な状態で近隣のリハビリテーション病院などへ紹介させていただいています。

4. 各診療科との連携

1)廃用症候群への取り組み

2016年にリハビリ依頼のあった廃用症候群の患者さんの平均入院期間は死亡退院を除くと、平均23日で、入・退院時のADLの変化をBarthel Index(B.I)*2の平均値でみると、入院時52から退院時70と有意に改善されています。自立度が低い患者様(退院時BI65点未満)においても65%の方が自宅退院されており(資料8)、当院の多職種のスタッフと地域が連携し自宅で安全に過ごせるよう早期からの退院支援に取り組んでいます。

廃用症候群は早期発見と適切な離床が大切となります。当科では病棟の看護師と連携し、摂食機能・身体機能・病棟での活動状況に対して、各療法士が早い段階から介入し、各治療に合わせて適切なリハビリテーションも提供することで、「早期退院」「良い状態での退院」を目指しています(資料10・11)。

*2 Barthel Index(BI) : 日常生活動作(ADL)の能力を示す。  自分では何もできない0点から自立の100点までの点数で表す。

2)緩和ケアとリハビリ

緩和ケアのリハビリの目的は「患者さんの機能(ADL)の拡大が生活の質(QOL)の拡大につながる」ということ、そして、リハビリを行う基準としては「ご本人のリハへの理解があり、症状のコントロールができていること」です。あくまで、患者さんのペースに合わせて無理のないリハビリを提供します。

5. 各療法室の紹介

運動器リハビリテ−ション施設基準 T・脳血管疾患等リハビリテ−ション施設基準 T・がん患者リハビリテーション を取得し、充実したリハビリのサービスが提供しています(心大血管リハビリはH27年度中に開始予定)。

1)理学療法室(PT室)

理学療法室(PT室)

300m2以上の広さをもつPT室ではマットや平行棒、肋木や階段などを使用して寝返りや起き上がり、座位や歩行などといった基本動作の訓練を早期より開始しています。また、サイベックスや重心計による評価も取り入れています。必要な患者さんには温熱療法・超音波療法など各種の物理療法などを用いながら、痛みの軽減や緊張の緩和を行い、治癒の促進をはかっています。

その他、切断や麻痺のある患者さんに対しては、義肢や装具の適応を検討し必要な場合にはその作成を行います。

以上のような各種の運動療法を行いながら、日常生活動作の自立と社会復帰に向けた個別の訓練プログラムを立て患者さんの自立支援を促しています。

(2)作業療法室(OT室)

作業療法室(OT室)

OT室の広さは約100m2です。作業療法では、脳卒中や脳挫傷、脊髄損傷や慢性関節リウマチなどによる上肢や手指の機能障害のみでなく、失行や失認などといった高次脳機能障害などにも対応します。洗面・入浴・トイレなど基本的な日常生活訓練から、洗濯や掃除、調理などといった家事動作の訓練、さらに復職を想定した職業的な訓練など幅広く関わっていきます。 手芸や木工など、各種の作業を通じて精神的・身体的な機能の改善をめざすことや、自助具の作成などにより患者さんの日常生活を支援するといったところは作業療法の専門分野です。

(3)言語療法室(ST室)

言語療法室(ST室)

言語療法室では失語症や構音障害に対する言語療法、嚥下障害に対する摂食機能療法(嚥下訓練)を行います。また、知的障害や高次脳機能障害に対する評価なども行います。患者さんのコミュニケーション能力の改善をはかりながら、社会復帰に向けて支援します。また、嚥下障害に対しては、安全に口から食べていけることをめざして摂食機能療法を行い、安全な食事内容などについて検討します。

部長 稲川 利光