関東病院


放射線治療

放射線治療のめざましい進歩

放射線治療は、この10年間で急速に進歩しました。放射線を高い精度でがんに集中させることにより、がんを切らずに治すことがより一層可能になってきました。 その背景として、物理学、放射線生物学、並びに放射線治療技術の進歩があります。

物理学の進歩

がんに放射線を照射するには、どうしても周りの正常組織を通過させなくてはなりません。そのため放射線の量が多くなると副作用が出たりします。
いろいろな方向からいろいろな強度の放射線を照射することにより、正常組織にあたる量を分散させる一方、がんにはその形に合わせて三次元的に放射線強度を集中させるように正確な計算及び照射が行えるようになりました。 また、放射線強度ができるだけ均一になるように範囲を限定した照射を繰り返す多重照射にも取り組んでいます。

放射線生物学の進歩

がんは活発に分裂を繰り返して増殖しています。放射線はそのように活発に分裂する細胞ほど多くのダメージを与えられるという性質があります。 一方、正常組織もダメージを受けますが、その影響から回復しやすいという特徴を持っています。
放射線を何回にも分けて照射すること(分割照射)により、正常組織はがんよりも回復する効果を得ることができます。すなわち分割照射により、正常組織への影響を少なくできる一方、がんへの効果は高められることになります。 さらに、午前と午後に分けて照射する多分割照射にも取り組んでいます。

放射線治療技術の進歩

がんに放射線を集中させて治療するためには、専用コンピュータの「高精度三次元放射線治療計画システム」が用いられます。(図1)
放射線治療計画専用CTで撮影された画像を利用して、放射線治療計画専用コンピュータにより、患者さんごとに最適な治療計画を立案します。 専用コンピュータには、体内で放射線がどのように分布するかを非常に高い精度で三次元的に計算できるソフトウェアが組み込まれています。 がんと正常組織の放射線強度分布を正確に評価しながら検討することが可能です。 様々な方向からがんの形にあわせて放射線照射する治療法や強度変調放射線治療(IMRT)も専用コンピュータを用いることによって容易 になりました。
また放射線治療装置のリニアックでは「マルチリーフコリメータ」という5mm幅のしぼり放射線遮蔽板が多数配列されたものが使用されるようになり、 その一本一本をコンピュータ制御で任意の位置に設定することが可能になり、がんの形に合わせて放射線をあてることがより容易になりました。  このようにさまざまな放射線治療の技術が進歩したおかげで、より正確に、より安全に、がんを治療することができるようになりました。

前立腺に放射線が集中している様子を示すVMATによる前立腺がん治療の線量分布図【図1】前立腺に放射線が集中している様子を示す
VMATによる前立腺がん治療の線量分布図

【図2】IMRT線量分布検証用多次元検出器 Delta4 【図2】IMRT線量分布検証用多次元検出器 Delta4