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圧迫骨折(経皮的椎体形成術)

圧迫骨折に対するペインクリニックの治療とは?

人間の骨は20〜30代にかけてピークとなります。しかし、骨量は年齢とともに減少し、80歳くらいになると、若いときに比べて男性で約30%、女性は約40%も減少するといわれます。骨量の減少自体は生理的なものですが、20〜30%も骨量が減少し、骨の微細な構造が弱くなって、その結果として骨折しやすくなった状態が骨粗鬆症と呼ばれます。

骨量の減少は他の病気が原因となることもありますが、多くは主に骨の中のカルシウムが不足することによって起こります。初期にはほとんど自覚症状がなく、それ自体はあまり重篤な病気ではありませんが、骨折を起こすことにより、寝たきり状態となってしまうことが問題となります。一番の良い治療は、骨量を保ったり、少しずつ増やす薬の予防治療です。

圧迫骨折の治療―圧迫骨折の痛みに新治療の経皮的椎体形成術で治しましょう

一旦起こった激しい背骨の痛みには、骨粗鬆症による圧迫骨折,がん転移や骨腫瘍などが原因となって生じます。その痛みに対して骨のセメントを太い針から注入することで背骨を補強して、痛みを緩和する経皮的椎体形成術という治療が当病院で250例以上行われています。

この経皮的椎体形成術の利点は,小さな傷口ですみ、痛みに対して即効性の効果があることと、1回の治療で終わることです。がんの骨転移に対しては,セメントが一過性の熱を出し,セメント周囲の細胞は4mmの壊死が起こり,腫瘍の治療にもなる場合があります。

寝たきりにもなる【椎体圧迫骨折の増加】

高齢社会による骨粗鬆症の増加から、椎体圧迫骨折が増えています。骨粗鬆症の患者は約1000万人とされており、女性が全体の7割を占めています。日本人女性の椎体圧迫骨折の頻度は、50歳〜69歳で20%、70歳代で25%、 80歳代では43%です。男性では、50歳以上の12.5%が圧迫骨折を有しています。

椎体圧迫骨折の問題点としては、激しい痛みにより日常生活の質の低下が起きることで、“寝たきり”の原因の第3位にもなっています。

内科的な治療は、鎮痛剤の服用とベット上の安静ですが、入院期間が長くなり、長い臥床による運動機能や呼吸機能の低下が生じたり、骨粗鬆症が進行したりします。その上、行動を起こす意欲や気力が減退し、うつ状態になったりします。最悪の場合は、認知症などが起こります。

痛みに即効性のある【経皮的椎体形成術】

経皮的椎体形成術(図1) 経皮的椎体形成術(図1)

問題の解決方法として、薬物療法、運動療法、リハビリテーションによる保存療法を2週間以上行うことが一般的です。適応があれば手術療法も行われます。新しい治療法として、ペインクリニック科と放射線部が協同で行っている経皮的椎体形成術(図1)があり、即座に痛みを取り去り、動けるようになるという長所があります。これにより骨折した背骨を安定させ運動性の早期回復と疼痛緩和が可能になります。また、残った痛みは神経ブロックで軽減できます。

当科では、現在250例以上の症例を施行していますが、2004年4月から2005年3月までの1年間で32症例52椎体に対しこの治療を行いました。そのうち骨粗鬆症症例27例についてその治療効果を検討しました。

術前、術後の痛みの変化を比べると、この治療により明らかに疼痛が軽減することがわかり(図2)、また、治療後に問題となる合併症はありませんでした。経皮的椎体形成術は背骨の圧迫骨折の痛みの緩和に有効かつ安全な治療法です。治療後、痛みが軽くなって退院した後も、筋力などの回復のために近くの医療機関でのリハビリテーションと保存療法が必要となることがあります。また外来で残った痛みや圧迫骨折以外の痛みを神経ブロックなどの治療で行います。

経皮的椎体形成術の短期成績(図2) 経皮的椎体形成術の短期成績(図2)