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人工股関節置換手術

整形外科:人工股関節置換手術

人工股関節置換手術について

人工股関節置換手術(THA: Total Hip Arthroplasty)について

人工股関節置換手術は傷んでしまった股関節を人工の関節にとり替える手術です。
人工股関節は大腿コンポーネントと臼蓋(骨盤)コンポーネントからなります。これらには生体適合性の高いチタン合金、セラミック、ポリエチレン(プラスチック)などの素材が用いられています。
大腿コンポーネントの金属やセラミックのボールと、臼蓋(骨盤)コンポーネントのプラスチックのソケットの間で動く構造になっています。
人工股関節置換手術は、変形性関節症や他の股関節疾患のためにひどい痛みがあり、リハビリテーションや薬などの治療ではよくならない場合に適した治療法です。
人工股関節置換手術は股関節の痛みを軽くする効果が高く、活動的な生活ができるようになります。
日本では現在、年間4万例以上の手術が行われています。
人工関節置換手術は、短期的に、そして長期的に安定した結果が得られる手術治療とされています。

手術後の生活

股関節のひどい痛みがなくなって、活動的な生活ができるようになります。歩いたり、階段を上り下りしたりすることがスムーズにできるようになります。水泳、サイクリング、ゴルフやハイキングなどの適度な運動もできるようになります。一方で、無理をしすぎないことも人工関節を長く使うためには大切です。ジョギングやテニスなどの股関節に強い衝撃がかかる運動は、人工関節が破損したり、早く摩耗したりする可能性があるために勧められません。

人工関節の耐久性

新しい技術や素材が開発されて、人工関節の耐久性は向上しています。統計によると、手術後、10年では約90%、20年では約70%の方が人工関節をそのまま使い続けられています。それでも、人工関節の摩耗や、人工関節と骨との間のゆるみが進んでしまった場合は、人工関節を入れ替える再置換手術が必要になることがあります。 

手術の合併症

人工股関節置換手術は安全性の高い手術です。それでも、感染(化膿)、深部静脈血栓症・肺塞栓症、脱臼などの合併症が起きる可能性があります。

感染(化膿)

手術創部の感染は浅い部位におきる場合と、人工関節の周りの深い部位におきる場合があります。浅部の感染は多くの場合、抗菌薬によって治療することができます。深部の感染は治療がむずかしく、再手術が必要になることがあります。統計によると深部の感染がおきる率は約1%です。

深部静脈血栓症・肺塞栓症

手術後に下肢の静脈に血液の塊(血栓)ができてしまい、足が腫れたり痛んだりすることがあります(深部静脈血栓症)。稀に血栓が血管の中を移動して、肺の血管に詰まってしまうことがあります(肺塞栓症)。重症の肺塞栓症では死亡する可能性もあります。血栓症の予防のために、下肢を間欠的に圧迫する器械や、血液を少し固まりにくくする薬(抗凝固薬)を使うことがあります。

 

人工関節の脱臼

無理な姿勢をすると人工関節のボールがソケットからはずれて脱臼してしまうことがあります。 脱臼は数%くらいの率でおきるとされています。脱臼の危険性が特に高いのは手術後3ヶ月間くらいです。この時期は人工関節の周りの組織がまだしっかりと治っていないからです。

 

手術の準備

手術日が決まると、3–4週間前から準備を始めます。

健康診断

手術を安全に受けられることを確認するために、血液・尿検査、心電図、胸部レントゲンなどの検査をします。検査結果によって、さらに詳しい検査を受けていただいたり、他の診療科を受診していただいたりすることがあります。

併存症と薬

治療中の病気や服用されている薬を確認します。薬の種類によっては、手術前に休止したり、用量を調節したりする必要があります。

自己血貯血

手術のときに輸血が必要になることがあります。輸血には同種血輸血(日赤血による輸血)と自己血輸血の2つの方法があります。自己血輸血は、1–2週間前にご自分の血液をあらかじめ採血しておいて、手術の時にそれを輸血する方法です。貧血などのために、自己血輸血ができない場合もあります。

入院中の経過

入院期間は2週間くらいです。杖を使ってスムーズに歩けるようになることがゴールです。

手術

手術当日は病室から手術室に行きます。麻酔科医師が麻酔と手術中の全身管理を行います。手術時間は1時間くらいです。手術が終わると回復室に移り、全身状態が安定していることを確認した後、病室に戻ります。

痛み

手術後は痛みができるだけ少なくすむようにします。ご自分が感じる痛みの強さに応じて、痛み止めの薬の量を調節できる機器や、複数の薬剤を組み合わせる方法で痛みの管理を行います。痛みが少なければ、体を早くから動かすことができます。手術後早くから運動を始めることは、機能の回復のために、また静脈血栓症の予防のために効果があります。

リハビリテーション

手術の翌日から、立ったり歩いたりするリハビリテーションが始まります。理学療法士が股関節の運動や日常生活動作をご説明します。最初は平行棒や歩行器を使いますが、2週間くらいでほとんどの方は杖で歩けるようになります。ただ、リハビリテーションの進みかたには個人差があります。

手術の創

手術の創は縫合糸や金属の鉤を使って閉じてあります。糸や鉤は10日くらいで取り除きます。

退院後の経過

ほとんどの方は2ヶ月くらいで、杖がなくてもスムーズに歩けるようになります。この頃になると、いろいろな動作をするのに自信がついてきます。長い年月にわたって、ほとんど痛みのない生活ができます。ただ、症状がなくても1年に1回くらい、定期健診を受けるようにお勧めします。人工関節に何か不具合がおきた時には、自覚症状よりもレントゲン検査のほうが早く分かることが多いからです。