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聴神経腫瘍の治療

脳神経外科:聴神経腫瘍の治療

聴神経腫瘍について

聴神経腫瘍とは耳の奥、小脳橋角部という部分できる良性脳腫瘍の一種です。ほとんどが中年以降に一側性進行性の難聴で発病、バランスを司る前庭神経から発症する良性脳腫瘍です。脳腫瘍全体の約1割を占めます。この腫瘍は良性であり、全部取れれば根治が期待できます。ただし手術の最大の問題点は並行して走る顔の動きを支配する顔面神経や耳の聞こえを担う聴神経が手術で損傷を受ける危険性があることです。
そのため、近年ではガンマナイフという放射線治療が行われることが増えており、顔面神経の温存と、腫瘍の制御(大きくならないようにする)という点では、非常によい結果が報告されています。
一方、聴神経腫瘍が近くにある三叉神経を圧迫して、三叉神経痛と呼ばれる激痛を引きおこしている場合や、脳幹・小脳といった重要な構造を圧迫している場合、聴覚を温存したい場合には開頭手術による治療が勧められる場合があります。
以前は、手術中の操作により顔面神経や聴神経が切断されたり、機能しなくなったりすることが多かったようですが、現在は持続的に顔面神経や聴覚をモニターしながら手術することが可能になり顔面神経の機能的温存率は95%程度得られるようになっています。聴力を担う蝸牛神経に関しては、構造としては残っても(解剖学的温存)、実際に聞こえが残るのは30-40%です。

図1は当院で治療された症例ですが、若い男性で大きめの腫瘍であったため手術的にて摘出しました。術前聴力は良好で、術後もほぼ聴力は変化なく、また顔面神経麻痺もまったく出現していません。

図1:聴神経腫瘍 20代男性

術前MRI:術前聴力は10dB術前MRI:術前聴力は10dB

術後MRI 内耳道に筋肉片がおかれている
 術後聴力は16dB 顔面まひはなし 術後MRI 内耳道に筋肉片がおかれている
術後聴力は16dB 顔面まひはなし

また高齢者でも手術は有益です。図2の症例は80歳の男性症例ですが、10年来右耳難聴で聴神経腫瘍の診断はつけられておりましたが、治療を希望されず経過をみられていました。しかしうまく歩けなくなったと言うことで当院に紹介されてまいりました。
造影MRIでは大型の腫瘍を認め、周囲の脳幹や小脳が強く圧迫され腫れています。手術にて90%の腫瘍摘出を行い、脳の圧迫もとれ、症状もとてもよく改善し、治療後3年たった現在でも元気で外来に通っていらっしゃいます。

図2:80歳男性 歩行障害をきたした大型神経鞘種

治療前MRI・顕著な脳の圧迫を認める

治療前MRI・顕著な脳の圧迫を認める

治療前MRI・顕著な脳の圧迫を認める

術後2年後のMRI:薄い残存腫瘍をみとめるが再増大なく、脳の圧迫は改善している

術後2年後のMRI:薄い残存腫瘍をみとめるが再増大なく、脳の圧迫は改善している

術後2年後のMRI:薄い残存腫瘍をみとめるが再増大なく、脳の圧迫は改善している

図3はガンマナイフ後 残念ながら増大してしまった50代男性の腫瘍です。聴覚はすでに失われておりましたので、注意深く顔面神経を保護しつつ手術をおこない、95%摘出しました。術後問題なく社会復帰されています。

図3:50代男性 ガンマナイフ後3年半で拡大

ガンマナイフ時ガンマナイフ時

3年半後3年半後

ガンマナイフ後3年半で拡大

術後術後

この症例のように聴神経腫瘍の治療には手術・ガンマナイフ(放射線治療)の両方とその経験が必要です。
最近聴神経腫瘍に関しては、「小さなものは切らずにすむガンマナイフのほうがよい」と思って来院される患者様が増えていまが、手術とガンマナイフにはそれぞれ利点と欠点があります。
当院では双方の利点と欠点を十分お話できるように、手術・ガンマナイフ統合外来(頭蓋底腫瘍外来)を設けて相談に応じております。 脳神経外科手術に関しては井上が、ガンマナイフに関しては赤羽が相談に応じます。
そのほか、当院では遺伝性に聴神経腫瘍が発生する病気(神経線維腫症II型:左右両側に聴神経腫瘍、そのほか多くの神経腫瘍ができる病気)の患者様に対するアバスチン治療を行っております(保険外=自費診療)。
聴神経腫瘍の診療は 当科 井上ほか脳神経外科スタッフ、耳鼻科スタッフ、およびガンマナイフセンター赤羽のチームワークで行っています。

当科スタッフ医師がいつでもご相談に応じますので治療に関してご質問があれば、お尋ねください。
また当院における聴神経腫瘍の手術治療成績に関してはこちらをクリックしてください。
聴神経腫瘍手術治療成績

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