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脳腫瘍治療一般について

脳神経外科:脳腫瘍治療一般について

脳腫瘍の治療について

脳腫瘍というとガンよりも恐ろしい疾患のように思われるかもしれませんが、脳にできるできものはすべて脳腫瘍と総称されるので、実際にはその50%は良性のものです。

良性脳腫瘍:

良性腫瘍の代表として上げられるのが、髄膜腫と聴神経腫瘍および下垂体腺腫です。良性脳腫瘍の治療において最も重要なことは社会生活において活動レベルや質をおとさず、かつ長期間にわたって腫瘍を制御することです。

髄膜腫や聴神経腫瘍には、経過を見ていても全く形が変わらない、大きくもならないものが少なからずあります。もちろん、その一方で比較的急速に大きくなるものもあり、その見極めが重要になります。
そのため、良性脳腫瘍においては、

  1. まず、この腫瘍は治療した方が良いのか。それともMRIなどで経過をみて、大きくなってくるようなら治療するという選択肢もあるのか、を決定する必要があります。
    腫瘍の圧迫によって麻痺などの症状が出ている場合には判断は比較的かんたんですが、症状がなくても治療した方がよいと考えられる場合も実際にはあります。
  2. 治療を行う場合には、手術がよいのか、もしくはガンマナイフなどの放射線治療がよいのかという判断が必要になります。また場合によっては、手術では困難な部分を残して放射線治療も組み合わせるということ考える必要があります。
  3. その上で、外科手術がより有効と考えられる場合には、確実な手術が必要です。これは放射線治療に関しても同じであり、装置や放射線の特性、からだや病変への影響の深い理解が必要です。
  4. 麻酔や手術技術の進歩により、脳神経外科の手術も格段に安全性が高くなっていると言えますが、それでも長時間の手術が必要になることもあります。そのため、看護師やリハビリなどのスタッフを含め、術後の全身状態の管理が十全に行える体制が重要です。

当院では脳神経外科・ガンマナイフ統合外来を2007年より開設し、治療の適応の決断から方針までを、入院される前に詳しく説明し相談できる窓口としております。ナビゲーションや生理機能モニタリング、MRIやCT、エコーなどの画像情報を術中精細に検討できる環境を整え、術後の生活を重視した経験豊富なチームによる手術治療と、ガンマナイフの治療を腫瘍や病変の種類によって最もよい形で選択し、組み合わせる治療を推進しています。
良性脳腫瘍には下記に挙げるもの等があります。それぞれに特徴があり、治療方針も異なります。

1.髄膜腫 脳の髄膜(硬膜)から発生する腫瘍で脳の表面、頭蓋の底などに発生します。血管や神経に癒着する性質があり、これらから精密にはがせることが手術治療において重要です。 髄膜腫
2.神経鞘腫
(聴神経腫瘍)
特に前庭神経とよばれるバランスをつかさどる神経から出る聴神経腫瘍と言われるものがもっとも多いです。顔面神経や聴覚の神経と癒着しており、これらを残す微細な技術が手術においても、ガンマナイフ治療においても重要です。 神経鞘腫
3.下垂体腺腫 下垂体といわれる人間のホルモン調節の中枢から発生します。視神経に近く、視野・視力障害や、ホルモンの異常などを発症することが多い腫瘍です。 下垂体腺腫
4.頭蓋咽頭腫 下垂体のやや上方・視床下部近辺に発生する腫瘍です。視床下部や視神経、血管などの重要な神経構造につよく癒着することが多く、治療に熟練を要します。放射線はある程度の腫瘍抑制効果がありますが、再発も比較的多く報告されています。 頭蓋咽頭腫
5.類上皮腫
(類皮腫)
胎児期に上皮の一部が頭蓋内に遺残して発生してくるといわれています。小脳・橋の境界部(小脳橋角部と呼ばれます)やトルコ鞍の周辺に発生することが多い腫瘍です。三叉神経を圧迫して痛みを生じたり、水頭症などをきたすことがあります。被膜の部分が再発しやすく、細かい手術的な治療を要します。 類上皮腫
6.血管芽腫 血管の内皮細胞を起源とする腫瘍といわれています。脊髄や脳にのう胞を伴って発生することが多く、時に多発することがあります。その場合はフォンヒッペルリンドー病という病気を合併しており、腎臓や眼球に腫瘍ができることが多いので全身の検査が重要となります。 血管芽腫

おのおのの病気・進展度に応じて患者さんが一生を最もよい状況で過ごせる治療選択を検討し治療に当たっています。

悪性脳腫瘍:

悪性脳腫瘍は現在においても、生活の質を落とさずに長期間安定させることが難しい疾患です。個々の患者さんについて手術とガンマナイフ、他の放射線治療、化学療法など組み合わせて、これまでの経験と治療のエビデンスのもとに治療を進めることが重要です。
その代表的なものがグリオーマと転移性脳腫瘍です。そのほか頭蓋底にできる脊索腫や軟骨肉腫も低悪性度ですが治療の困難な脳腫瘍です。

1.グリオーマ 組織形によって大きく4段階に分けられており、それぞれに応じた治療方針の決定が重要となります。
ナビゲーションシステムや手術中の超音波検査を用いることで、麻痺などの症状を出さない範囲で、できる限り腫瘍を取り除くというタイプの手術が必要です。
グリオーマ
2.転移性脳腫瘍 肺がんや乳がん、大腸がんなどが脳に転移してできる腫瘍です。
3cm程度のかなり大きめの腫瘍でも、分割照射などの方法を用いることで、入院期間を短くできるガンマナイフ単独で行う治療を主体としています。
のう胞を伴ったり、大きさが非常に大きい場合は手術による摘出も加えて治療を行います。 転移のもとの癌の治療を行う医師と緊密な連携をとって治療を行うことが最も重要です。
転移性脳腫瘍
3.脊索腫、軟骨肉腫 低悪性度ですが、手術や放射線のみでは再発を防止することが極めて困難な腫瘍です。手術をおこなってできる限り腫瘍を減らし、粒子線治療などを組み合わせるのが最善の治療です。軟骨肉腫の中には成長が遅く摘出のみで長期に観察できるものもあります。 脊索腫、軟骨肉腫

当院では悪性腫瘍の治療に関しては、地域がん診療拠点病院としての役割を果たすべく、国立がんセンター中央病院や東京大学、同医科学研究所病院、放射線医学研究所、日赤医療センターサイバーナイフセンター等と診療を協力しながら進めています。
当科における脳腫瘍診療は脳神経外科 川合、木村ほか脳神経外科スタッフ、およびガンマナイフセンター 赤羽が協力してで行っています。当科スタッフ医師がいつでもご相談に応じますのでお尋ねください。

連絡先

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