関東病院


白血病

白血病は血液の「がん」です。白血病細胞を退治する抗白血病治療と、白血病に伴う感染症や出血などの予防や治療の支持療法があります。抗白血病治療としては化学療法、分子標的療法、造血幹細胞移植があります。

1.完全寛解と治癒

未治療の急性白血病の患者さんの体内にある白血病細胞の数は1兆個と考えられています。これを0にしていくために治療を行います。顕微鏡で白血病細胞が数えられなくなった状態を完全寛解とよびます。完全寛解といっても体内には白血病細胞がまだ多数残っているので、繰り返し治療をしていくことが大切です。

2.化学療法

いわゆる抗癌剤による治療です。この治療は正常な細胞に対しても障害を起こします。副作用には吐き気や脱毛などがあります。また、正常な血液細胞も減少して、感染、出血、貧血の症状が強くなります。

3.支持療法

支持療法は、白血病そのものによって、あるいは白血病に対する治療によって起こる感染症や出血や貧血に対する予防や対処です。抗菌薬の投与や輸血などがあります。

4.分子標的療法

最近の研究によって、白血病に関連したさまざまな分子の異常がわかってきました。分子標的療法薬は、この異常な部分にだけ働く薬です。また白血病細胞に発現している蛋白に対する抗体を使った治療も開発されています。慢性骨髄性白血病に用いられるグリベックは分子標的療法の代表的なものです。

5. 造血幹細胞移植療法

白血病や悪性リンパ腫は抗癌剤や放射線が有効な悪性腫瘍です。悪性腫瘍を根絶するために超大量の抗癌剤投与や放射線照射を行うと、悪性腫瘍にはとても効果がありますが、副作用で血液を作り出す力がなくなって患者さんは亡くなってしまいます。そこで、造血幹細胞を移植することで救うというのが造血幹細胞移植の原理です。移植する造血幹細胞に、あらかじめ採っておいた患者さん自身のものを使う場合を自家移植、自分以外のものを使う場合を同種移植、臍帯血を使う場合を臍帯血移植と言います。造血幹細胞は血液の一種ですので、移植といっても肝臓移植や腎臓移植などとは異なり、移植自体は輸血と外見は変わりません。

同種移植の場合、白血球の型(HLA)が合わなければ出来ません。同種移植の合併症には、移植片対宿主病(GVHD)があります。これはドナーのリンパ球が患者さんの内臓を異物と判断して攻撃する反応によるものです。その反面、ドナーのリンパ球が体の中に残っている腫瘍細胞を攻撃してくれる効果(GVL/GVT効果)があります。

臍帯血とは臍の緒と胎盤のなかの血液のことです。臍帯血はあらかじめ同意を得た妊婦さんから出産の時に胎盤を提供してもらって採取して凍結し、臍帯血バンクで保存されています。臍帯血移植の特長は、臍帯血がすでに保存されているので移植までに時間がかからないことです。また、臍帯血に含まれている免疫細胞が未熟なのでHLAが完全には一致しなくても有害な移植片対宿主病(GVHD)が起こりにくい特徴があります。

同種移植や臍帯血移植は、移植に伴う合併症のために、若い人で内臓の障害のない患者さんだけに限られていました。ミニ移植は、移植前の抗癌剤の強度を弱めて副作用を軽くすることにより、移植をより多くの患者さんに行えるようにした治療法です。ミニ移植では、移植前の抗癌剤の強度を弱めた分、悪性腫瘍に対する効果がありません。そのかわりに、GVL/GVT効果によって悪性腫瘍を治療するものです。