関東病院


診療実績

治療実績

消化器内科の治療実績のうちわかりやすい例をお示しします。

A)早期食道癌、早期胃癌、早期大腸癌に対する内視鏡的治療ESDについて (Endoscopic Submucosal Dissection:ESD)

  • 1.はじめに
  • 消化器癌に打ち克つべく進歩してきた日本の内視鏡診断学がその役割を治療へと発展を遂げました。外科的治療である腹腔鏡下胃局所切除法が開腹手術より負担の少ない治療法として注目されているなか、さらにお腹を全く切らずに内視鏡により癌の局所だけを切除するといった最も負担の少ない治療が日本で開発されました。早期癌の内視鏡的局所切除により患者さんのQOL(Quality of life)や臓器機能が温存され、より安全かつ短期な入院での癌の治療が可能となりました。
  • 2.ESDとは
  • 1980年代より内視鏡的粘膜切除(Endoscopic Mucosal Resection:EMR)がはじまり、低侵襲で臓器機能温存に優れている点で注目されてきましたが、小さな癌(2cm以下)の病変しか治療できず、大きな病変では分割切除になってしまうのが欠点でした。内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection:ESD)の開発により、より大きな早期癌を正確に一括切除できるようになりました。癌病変局所のみの切除となるため開腹手術で心配される治療後の癒着による腸閉塞、吻合不全、吻合部狭窄、ダンピング症状などの心配はありません。通常開腹手術であれば1ヶ月程度の入院が必要なところ1週間程度で退院できます。
  • 3.ESDの対象
  • ESDの対象となる早期癌は(1)原発巣が内視鏡的でとりきれるもの、(2)リンパ節転移を認めないもの、(3)潰瘍を伴わない粘膜内癌、(4)組織学的に高分化型、中分化型、乳頭状の腺癌。この条件を満たせば大きさは問いません。癌が粘膜下層に深く浸潤している場合や未分化型癌の場合は基本的には外科的切除の対象となります。
  • 4.当科でのESDの方法
  • 当科でのESDは内視鏡室にて静脈麻酔下(全身麻酔ではありません)で行います。人工呼吸器は使いませんがほとんどの方は治療中の記憶がない、という程度です。ただ、緊急時の対応などのために、治療当日はご家族の付き添いをお願いしております。患者さんのケアの質的向上と効率化を追及するためクリニカルパスを導入しております。

ESD 治療風景

ESD時の体制

ESDクリニカルパス

治療前日まで
主治医より治療の説明があり、治療に対する同意書を頂きます。説明当日はご家族とご一緒に説明をお聞きください。出血の危険を増す薬剤を内服している場合は治療前に休薬する必要があります。入院前に必ず内服薬の確認を主治医に行ってください。
治療当日
治療当日は朝より絶飲、絶食で持続点滴となります。手足に体の酸素濃度や脈拍・血圧・心電図を測る装置をつけた後、静脈麻酔を使い意識がもうろうとした状態で内視鏡を飲んで頂き治療を開始致します。
治療後
原則として治療後は3時間程度床上安静です。
治療後は順調に経過すれば、翌日の昼から食事を開始(流動食から)し、1日ごとに食事内容が上がっていきます。
治療後1週間で退院、退院後はすぐに日常生活を送ることができます。運動をさけていただければ、通常の職場への復帰も問題ありません。概ね治療後は自覚症状が全くないですが、治療部の潰瘍が完全に治るまでには約2ヶ月かかります。退院時の胃薬はきちんと飲んでください。

ClinicalPath

<具体的なESDの方法>

  • まず病変の周囲に電気メスでマーキング(目印)をつけます。
  • ついで粘膜下層に薬液を注入(局注)し、病変を盛り上げます。
  • マーキングを目印に病変の全周を特殊な電気メス(フックナイフ、ITナイフ)で切開します。
  • 病気の裏側の粘膜下層を電気的に剥離します。
  • 病変が完全に切除され、内視鏡で回収します。
  • 切除終了後は切除面の出血、露出血管を止血し、術後出血の予防を行います。
  • 治療時間は病変の大きさ、部位により異なってきますが、通常30分〜3時間程度です。

ESD

内視鏡でとった病気を顕微鏡で詳しく検査した結果、粘膜下への癌浸潤が高度であり、リンパ管浸潤、脈管浸潤をしていると判断された場合は追加手術を受けて頂くことになります。

ESD潰瘍治癒過程

  • 5.ESDの偶発症
  • 内視鏡下手術は、狭い空間での繊細な処置を要するため偶発症もあります。一般的なものでは、 通常内視鏡検査に伴う咽頭部損傷、誤嚥、誤嚥性肺炎、薬剤アレルギーなどでこれらは通常胃カメラの検査と起こす頻度は変わりません。 ESDに特徴的なものとしては、出血と穿孔があります。
    出血:出血は術後24時間までが最も頻度が高く突然、吐血、下血をすることもあります。当院での術後出血の頻度は5%以下です。内視鏡で止血できないときには緊急手術の可能性もありますが、当院では緊急手術のとなった症例はありません。穿孔:術中、術後に治療部位の胃壁に穴があいてしまうのが穿孔です。当院での頻度は3%以下です。内視鏡治療で対応できないときは緊急手術の可能性もあります。当院ではESDの前にEMRが行われたていた時期には緊急手術になった例が2件ありましたが、ESD開始後は緊急手術となった症例はありません。
  • 6.当科でのESDの成績
  • 胃ESD年間症例数

当院の胃ESDの年度別治療成績

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
症例数 263 245 246 253 275 258 287
完全切除率:% 100% 100% 100% 100% 100% 100% 100%
局所再発率:% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0%
穿孔率:%(症例数) 2.7%(7) 2.4%(6) 1.2%(3) 0.4%(1) 0.4%(1) 0% 0.3%(1)

当院のEMR時代の完全切除率 42.3%

B) 肝臓疾患の治療成績

工事中