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消化器内科

扱う疾患および特色

消化器内科は食道、胃、小腸、大腸、肝臓、膵臓、胆嚢さらに腹膜疾患など広い領域の病気を扱う科ですが、その中でも当科では高度な専門治療を要する病気の治療に力を入れています。特に肝臓癌のラジオ波焼灼療法や消化器の早期癌の内視鏡治療が消化器内科分野では最も重要な専門治療となっており、それらに力を入れてきました。その結果、各種病院ランキングで肝臓癌のラジオ波焼灼療法は全国第2位、早期胃癌の内視鏡治療(ESD)は全国第10位など上位に入っており、消化器病治療のセンターとしては全国トップの地位を占めています。このため専門治療の患者さんが主となっております。
学会施設認定は日本内科学会(部長の松橋は内科学会の当院での教育責任者となっています)の他、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会、日本肝臓病学会の各々の指導施設に指定されています。病院として疾患の診療が第一であることは当然ですが、それに留まらず、消化器病の診断・治療における新知見の開拓にも日夜努めており、東京大学医学部や国立がんセンターなどとの共同研究も行なってきております。 Peer-reviewのある学術雑誌への英語論文も2010年、2011年には各々8篇、13篇を数えました。

最近の年間入院患者数の推移を下表に示します。

2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
1795 1965 1998 2044 2155 2552 2751

2011年の入院は1965件でした。多種類の疾患の診療をしておりますが、多いものから順に原発性肝癌385件、大腸癌などの大腸腫瘍284件、胃癌などの胃腫瘍266件、大腸ポリープ139件、転移性肝癌133件、食道癌86件、膵癌49件などでした。胃癌や食道癌など上部消化管腫瘍の内視鏡的切除(内視鏡的粘膜下層剥離術、ESD)は322件、大腸腫瘍に対するESDは194件でした。肝癌に対するラジオ波治療は389件となっています。当院消化器内科には日本では最も早くからカプセル内視鏡検査を行ってきたことから小腸出血の検査・治療で大学や他の大病院から紹介されてくる方が多くなっています。それらのほか慢性肝炎に対するインターフェロン治療、総胆管結石の内視鏡的治療、炎症性腸疾患の治療(クローン病のレミケード治療など)なども行われます。2011年に内視鏡部で施行された上部消化管内視鏡検査は16104件、大腸内視鏡検査は6684件でした。(内視鏡部 参照)

このように消化器疾患全般にわたる高水準の治療を短期間に集中しておこなうのが消化器内科の基本姿勢です。

では、現在おこなっている診断・治療方法の概況を解説しましょう。

食道疾患

早期食道癌の内視鏡治療:
早期食道癌、早期胃癌、早期大腸癌に対する内視鏡的治療ESDについてを参照。
食道癌の手術、放射線、抗癌剤治療:
内視鏡的治療で完治が期待できない場合には手術、放射線、抗癌剤治療を必要に応じて組み合わせて行います。
逆流食道炎、バレット食道の診断治療:
日本でもライフスタイルの変化に伴い逆流食道炎やバレット食道が急増しており、これらに対する検査・治療を行っています。
食道静脈瘤の内視鏡治療:
食道静脈瘤硬化療法(EIS)は20年以上の歴史をもちます。静脈瘤穿刺による硬化療法を主に行っていますが食道静脈瘤結さつ術(EVL)も行います。

胃疾患

早期胃癌の内視鏡治療:
早期食道癌、早期胃癌、早期大腸癌に対する内視鏡的治療ESDについてを参照
進行胃癌の化学療法:
昔とことなり切除不能の胃癌も化学療法で縮小させることができるようになりました。外来での通院治療も選択肢にあります。
ピロリ菌の治療:
ピロリ菌は胃潰瘍、十二指腸潰瘍や胃癌の原因となりうることがはっきりし、2009年に日本ヘリコバクター学会によりヘリコバクター・ピロリの診断と治療のガイドラインが改訂され、ヘリコバクター・ピロリ保菌者は全員除菌が推奨されることとなりました。胃潰瘍や十二指腸潰瘍以外では自費診療となりますが、ご希望の方にはヘリコバクター・ピロリの検査、治療が可能です。
胃潰瘍出血の内視鏡治療:
緊急内視鏡検査は毎週のようにあり、熱による止血、クリップ法、エタノール局注法、アルゴンプラズマ凝固法などによる止血を行っています。
胃静脈瘤の内視鏡治療:
胃静脈瘤は治療困難例が多いのですが当院ではBRTO法やヒストアクリルによる直接穿刺法を使い分けて積極的に治療をしています。

小腸疾患

カプセル内視鏡 内視鏡部の項参照

クローン病の診断・治療:
ダブルバルーン内視鏡、カプセル内視鏡など小腸検査法が充実しているため、クローン病の診療に非常に助けとなります。治療では薬物療法、栄養療法、狭窄に対する内視鏡的治療や手術などがおこなわれます。レミケードやヒュミラは非常に強力な薬で治療成績が大きく向上しています。
消化管出血の診断と治療:
小腸出血ではカプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡が大きな威力を発揮しています。
腸閉塞の診断と治療:
CTは24時間撮影でき、速やかな診断と減圧治療ができます。減圧チューブの挿入は経鼻内視鏡を使って非常にスムーズに行なっています。

大腸疾患

大腸癌の診断と治療:
早期の小さなものでは外来治療で治ってしまうものもあります。ESDが急激に増加しており、多少大きめでも腸壁に深く入っていなければ手術なしで完治する例が多くなっています(早期食道癌、早期胃癌、早期大腸癌に対する内視鏡的治療ESDについてを参照)。その他進行度に応じて内科または外科に入院しての内視鏡治療、腹腔鏡的大腸部分切除、開腹手術、化学療法(抗癌剤)などを行ないます。大腸癌の肝転移では、ラジオ波治療が有用なことが多いです。
潰瘍性大腸炎やクローン病の診断と治療:
全国に先駆けてシクロスポリンやタクロリムスといった免疫抑制剤を潰瘍性大腸炎の治療に導入してきました。近年は生物学的製剤も選択肢に入り、治療成績が大きく向上してきています。不必要な検査はしないように努めており、質が高く負担の少ない治療を提供しています。
大腸ポリープ切除:
小さいものでは原則として外来での治療を行っていますが、大きいものでは短期入院で行ないます。
大腸憩室出血:
内視鏡での止血の他、簡便・有効なバリウム充填療法も行っています。この後者も私どもが工夫して導入した治療法です。

肝臓疾患

肝臓疾患の治療成績の項を参照

胆道・膵臓疾患

胆道・膵臓疾患の治療成績の項を参照

治療に関する入院について

食道、胃の早期癌で内視鏡治療(ESD)をする場合は合併症がなければ約6日の入院です。大腸ESDは約5日、大腸ポリープ切除は入院の場合は2-3日です。肝癌のラジオ波治療は約7日、膵癌のFNAは2泊3日の入院で可能、無症状の総胆管結石は3泊4日の入院で治療可能となっています。
消化器内科は、クリニカルパスを活用し、在院日数を極力短くした治療を心がけています。その結果、近年も平均入院期間がますます短くなってきています。

部長 松橋 信行