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第2回横須賀米海軍病院との合同研究会を開催しました

第2回横須賀米海軍病院−NTT東日本関東病院 合同研究会

平成24年5月18日、米海軍横須賀基地の将校クラブ内ホールにて「第2回横須賀米海軍病院−NTT東日本関東病院との合同研究会」を開催しました。昨年、11月の第1回開催に続いて2回目の合同研究会となりました。

当院からは、医師2名、看護師1名、薬剤師1名がそれぞれの学術研究や取り組みについて英語で発表し討論会が行われ、また、横須賀米海軍病院日本人インターンの先生1名にも講演いただき、アメリカでの医療の現状についても理解を深める事ができました。


講演者 宮田明典

初めに、当院外科医師の宮田明典よりS状結腸filiform(糸状)ポリープが癌化した一例の報告を行いました。【症例】79歳男性、2008年に便潜血検査陽性の精査目的に、大腸内視鏡検査を施行。炎症性腸疾患の既往はないが、S状結腸に炎症性ポリープの一つであるfiliformポリープを多数認めた。病理検査で悪性所見を認めず、以後経過観察目的に年1回の大腸内視鏡検査を施行した。2011年12月の大腸内視鏡検査でS状結腸に周囲をfilifromポリープで囲まれたtype2病変を認め、生検結果はadenocarcinoma(線がん) tub2であった。2012年1月に腹腔鏡下S状結腸切除術を施行し、術後経過は問題なく9PODに退院となった。病理検査結果では、filiformポリープで囲まれたtype2病変以外にfiliformポリープの先端にもadenocarcinomaがみられた。

【考察】filiform ポリープは指状の細長い形状のポリープで、炎症性ポリープの一つである。基礎疾患として炎症性腸疾患が大部分を占め、長期の経過でも悪性に形質転換しないため、基本的に手術適応はないとされている。本症例では、炎症性腸疾患の既往はないが、filiformポリープを生じ、さらにfiliformポリープの先端にadenocarcinomaがみられ、filiformポリープが悪性化した可能性が高いと思われた。filiformポリープが悪性化した報告は検索した限りみられなかったが、filiformポリープ症例は定期的な経過観察が必要と思われるとの報告を行った。

講演者 喜多川亮

次に、産婦人科医師の喜多川亮より進行・再発子宮頸癌に対する抗がん剤治療の最適化についての報告を行いました。

シスプラチンは子宮頸癌に最も有効な抗がん剤とされ、近年ではパクリタキセルとの併用治療が世界標準となっていた。しかし、その治療は嘔気も比較的強く、長い点滴のために入院を必要として生活の質を落とす欠点があった。シスプラチンと同系統のカルボプラチンは効果が若干劣るものの副作用は軽微で、パクリタキセルと相性がいいため併用療法は外来でも安全に治療できる見込みがあった。そこで、その併用療法を39人の患者さんに協力していただき、効果と副作用を検証した結果、シスプラチンを含む治療と同等の腫瘍縮小、および安全性が確認された。また2つの抗がん剤併用療法の同時比較を、全国30施設、253人の患者さんに御協力頂き行った。その結果は、2012年6月にシカゴで開催される世界的な学会で発表予定であり、子宮頸癌に対する抗がん剤治療の最適化が達成されるはずである。と報告を行った。


講演者 長坂桂子

続いて、看護部母性看護専門看護師 長坂桂子からは、「助産師によるドメスティック・バイオレンス対策の取り組みについて」の発表を行いました。DVケアチームメンバーは2006年に結成され、現在4名の助産師が中心となり、産婦人科病棟におけるスクリーニングや面談、リソースカードの設置を行っている。2012年には、院内看護職者への啓蒙のため部署を超え「DV出前講座」を開催した。勤務時間外での勉強会にもかかわらず70名(院内看護職員の11%)の参加を得、具体的な支援に関する討議が行われた。発表後、DVケアチームの助産師は横須賀米海軍病院の性暴力被害者支援ナースと交流をもつ機会を得、暴力被害者に対するケアはグローバルな課題であり、お互い継続して取り組んでいくことを確認しあった内容の発表を行った。


講演者 渕上仁美

当院から最後は、薬剤部 渕上仁美より「薬剤師による糖尿病患者教育の取り組みについて」の報告を行いました。世界的に糖尿病患者さんは増加の一途を辿っており、その増加を食い止める必要がある。そこで今回は、当院の糖尿病・内分泌内科で行われている3日間の糖尿病教室を紹介し、その中で薬剤師がどのような働きをしているかを発表を行った。

以前、薬剤師は患者さん個々で使用している薬の説明のみを行っていた。しかし、2009年より個別の薬の説明に加え、糖尿病治療薬全種類を説明する教室を始めた。そこでは薬剤師が作成した当院オリジナルのテキストを使用しており、薬の働き、病気をしたとき・食事が摂れなかったときの薬の飲み方など、糖尿病治療薬全部の使用時の注意点が載っている。このようなテキストを使って教室を行った結果、患者さんの治療成績が改善傾向となった。糖尿病の治療にあたり、当院では医師だけでなく、薬剤師、栄養士、検査技師、看護師で、患者さんが糖尿病をご自身でマネージメントできるような環境作りに努めているとの報告を行った。


講演者 三隅田尚樹先生

そして、横須賀米海軍病院 日本人インターンの三隅田尚樹先生より「他の神経疾患との鑑別に難渋した12歳の頭痛症例」について講演いただきました。生来健康で初経を迎えたばかりの女児が、徐々に増悪する生来初めての頭痛を訴えたため、横須賀米海軍病院小児科を受診した。頭痛、嘔気に加え、自分の靴がわからなくなるなどの視覚認知の異常変化があった。神経学的所見では中枢神経、末梢神経ともに特記すべき所見はなく、採血上も電解質、炎症反応など異常所見を認めなかった。頭部CT、MRIなどでも所見がなかったが、髄膜炎を否定するために、腰椎穿刺が行われたが、これでも、頭蓋内圧の亢進はなく、脳脊髄液の検鏡でも異常が認められなかったが、検査結果の偽陰性も考慮され、積極的な抗生剤、抗ウイルス剤の投与が行われた。その後時間の経過とともに頭痛、嘔気、視覚空間認知は改善した。経過から、初経との関係は明らかではないが、初発の偏頭痛発作があって、異常な空間認知はアリス症候群が関連している可能性が示唆されたとの講演を行っていただいた。