支店ホーム > ふくしま人 > アスリート 千葉麻美


アスリート 千葉麻美

千葉麻美

地域に根ざしたチームから復興を後押しする走りで再び世界へ

 2011年(平成23年)3月の震災直後、所属していたクラブの廃部に伴い、地元企業東邦銀行のCSR活動の一環として、新たに創設された陸上競技部への移籍が発表され、震災後も被災地の福島を拠点にトレーニングを重ねながら、地元企業の社会人チームの一員として、陸上を通して復興を後押しする様々な地域貢献活動に取り組む思いをお聞きしました。
 「震災後に東邦銀行陸上競技部へ所属させて頂きました。福島県出身の私にとって、地元の企業で陸上を続けられることは、とても幸せなことだと思っています。いつも県民の皆さんから温かい声援を頂いている分、東邦銀行という地元企業で、世界と戦える選手になりたいと思っています。そして、少しでもいい結果を県民の皆さんにお届けできたらと思っています。また、イベントなどを通し、陸上の楽しさを感じてもらい、陸上に興味を持って頂けたら嬉しいです。」
 移籍後のシーズンは、出産のために全競技生活から離れ、2012年(平成24年)の春から競技会へ復帰するものの、1年のブランクの影響で、本来スピードを生み出す体幹の筋力がまだ充分に元の状態に戻らず、今一つスピードに乗れないことで、苦悩を抱えたこともあったとのこと。しかし、それ以上に出産をしたことで精神的に強くなれ、何事も前向きに考えられるようになったとプラス面を話します。
 「出産後は、なかなか思い通りに走れないところもありました。ロンドンオリンピックを目標にやってきていたので、出場できなかったことはとても残念なことでした。しかし、出産をして自分の中で変われたことがたくさんあり、アスリートとしてはすごく成長できた一年でもありました。子育てと陸上を両立させるのは難しいことですが、子供に自分の頑張っている姿を見せたいという思いがあります。世界には、出産後もオリンピックでメダルを取る選手が沢山います。自分もそういう選手になりたいと思っています。そして、そういった選手が日本からもたくさん出てくることで、日本のスポーツ界も変わっていくのではないかと思います。後に続く、結婚、出産しても競技を続けるアスリートの皆さんにも頑張ってもらえたらなと思っています。」
 2012年(平成24年)10月の秩父宮杯第52回実業団・学生対抗陸上競技大会で、久し振りに400mの個人種目を制して表彰台のトップに上った千葉さんは、まだ自分の持つ日本記録にはほど遠いものの、「やっと自分らしいレースができてきた」と、試合後のメディアインタビューに答えています。ロシアでの世界陸上大会を迎えた2013年(平成25年)、最後に千葉さんご自身の目標と、東邦銀行陸上競技部としてのチーム目標をお聞きしました。
 「ロンドンオリンピックに出場できなかった分、ロシアの世界陸上の代表に返り咲きたいと思っています。そのために、世界で戦えるよう一からトレーニングをしたいと思っています。また、ロンドンオリンピックには東邦銀行からは一人も出場できなかったので、世界陸上では出場できるように頑張りたいと思います。福島県民の皆さんへいい結果を報告できるように、チーム一丸となって頑張っていきたいと思います。」
 インタビューを終えた頃のトラックでは、本格的なトレーニングに入る前のアップやジョグを始める選手の数が増え、ジョグを始めた千葉さんの表情も、既にアスリートの顔へと変わっていました。

取材後記

新年2013年(平成25年)を迎え、新春の「ふくしま人」第1回目を飾るに相応しくご登場頂いたのは、陸上競技女子400mの日本記録保持者、アスリートの千葉麻美さん。2011年9月、第1子の長女美月(みつき)ちゃんを出産後、2012年春に競技会へ復帰。ロシア世界陸上大会を迎えた今年、日本代表の出場権を奪取すべく、既に走り始めたアスリートとしての思いをお聞きしました。
◎東邦銀行陸上競技部:http://www.tohobank-athleticsclub.com