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金寳仁井田本家18代目蔵元 仁井田穏彦

仁井田穏彦

田村で蔵を続け蔵のある田村を継ぐ金寳“自然酒”仁井田本家

創業以来の「酒は健康に良い飲み物でなければならない」を使命に、ロハスな酒造りを目指してきた仁井田本家は、2009年(平成21年)自社田の自然米が「有機農産物(有機米)」のJAS認証を受け、翌2010年(平成22)には、「有機加工食品」と「有機農畜産物加工酒類生産行程管理者」のJAS認証を受けて、晴れてオーガニック(有機日本酒)の呼称を使用できることになりました。20人の社員全員が酒のプロ集団を目指し、杜氏の仁井田さんご自身もそれぞれの工程を手伝い、社員全員で5町歩※1を越える自社田の自然米栽培に参加をしながら、酒造り全ての工程を会得する努力を惜しみません。
また、緩やかな丘陵に青々とした美しい棚田が広がる自社田の一角には、「ふれあい田」と「キッズ田」と名付けた大小4枚の田圃があり、ここは子供から大人まで、幅広い仁井田本家のサポーターやファン、コアなお客様らが自ら参加をして、無農薬の自然米作りを体験する、まさに“ふれあい”の場となっています。例年、6月の田植えに始まって、植物が最も成長する梅雨から9月に掛けての草取り、そして10月の稲刈りを終えて一年の収穫を祝う「収穫祭」へと続き、冬の酒造りの仕込みまでを体験することが出来ます。
「田植えや収穫祭などのイベントへ、お客様に参加をして体験して頂くことは、私たちが使命としている“日本の田んぼを守る”ということをご理解頂いて、同じ意識を持って頂ければと考えて活動しています。体験といっても、作業時間も内容もハードですから、作業の労をねぎらわせて頂くために、無農薬で育てたお米を食べて頂いたり、お酒を飲んで頂いたりしています。新酒が出る桜の時季には、社屋前の創業年に植樹されたと言われる「金寳桜※2」の花見も兼ねてミニコンサートを開催したり、うちの蔵をよく知って頂いて、無農薬・無肥料の自然米作りのよき理解者、サポーター、コアなファンになって頂ければと思っています。また昨年から、農業で食っていきたい!という若者の農業研修を受け入れています。稲作の有機農業を学びたい、米とお酒が大好きで米作りと酒造りを勉強したいなど、動機はいろいろですが、農業インターンシップという形で受け入れて、一緒に自然米作りを体験してもらっています。同じ思いを持った仲間が増えることで、元気な田圃が増えて、“日本の田んぼを守る”ことに繋がれば一番いいですからね。」
「先代が始めた無農薬の純米酒造りを続けていくこと、そして次の代へ元気な田圃を出来るだけ多く残していくことが自分の大事な仕事だと思っています。山が豊かで、きれいな川が流れて、健康な田畑が広がる、自分たちが誇りに思えるような、そんな田舎に田村がなることを夢見てるんですよ。」
自社田を見渡す畦道を歩きながら、収穫祭用の小豆の栽培や、キッズ田の古代餅米「緑米」の話しを続けながら、同じ意識の地域の仲間達と一緒に、田村が有機栽培の先進地になり、沢山の生き物がいて、健康にいい米や野菜が採れて人間も集う。そんな田舎を自分たちで作るのが夢、と仁井田さんは印象深く話されました。

※町歩:1町=約9900m2
※2金寳桜(きんぽうざくら):樹齢300年。三春町の樹齢1000年を越える紅枝垂桜(ベニシダレザクラ)「三春滝桜(みはるたきざくら)」の孫と言われる。

取材後記

今回ご登場頂いた「ふくしま人」は、金寳仁井田本家18代目蔵元 仁井田穏彦(にいだ やすひこ)さん。日本で最初に先代が始められた、農薬・化学肥料を使わずに栽培する“自然米”の酒造りを受け継いでいます。無農薬や有機栽培という言葉はよく耳にしても、“無肥料”の米作りってスゴイですね。土そのものが持っている力、“地力”だけで稲を育てることが出来るんですね。田圃を拝見させて頂くと、明らかに他の稲より色が濃く、病気にもならず、草取り以外は手間が掛からないとのこと。恐るべし“地力”。
◎有限会社仁井田本家:http://www.kinpou.co.jp/
〒963-1151 福島県郡山市田村町金沢字高屋敷139番地 フリーダイヤル 0120-552-313
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