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ASU International LLC代表取締役、CSRコンサルタント。SBI大学大学院客員准教授、人間の安全保障フォーラム理事、目黒区環境審議会専門委員会委員。米国NYコロンビア大学大学院卒業。著書に『世界をよくする簡単な100の方法』(講談社)、『社会起業家〜社会責任ビジネスの新しい潮流』(岩波新書)、『ソーシャルビジネス入門(翻訳)』(日経BP)など。
「人と人、想いと想いをつなぐ。」NTT東日本グループのCSR報告書には「つなぐ」という同社のコンセプトがちりばめられています。トップ・社員が一丸となって事業を通じて、つながるためのCSR活動に取り組んでいる様子が伝わってきます。一番わかりやすい例が今回の東日本大震災後の対応ではないでしょうか。万が一の災害を想定して行われていた訓練や提携は、フルに活かされ通信サービスの早期復旧・復興に貢献しました。そして、さらなる安心・安全に向けた取り組みを強化しようという意気込みも感じられます。「電力見える化サービス(仮称)」を立ち上げたのも、震災後特に高まった節電ニーズにこたえた形といえます。自社の節電にも熱心。地球を未来につなごうとする取り組みの一例です。
震災後「絆」は時代のキーワードになりました。これまでの日本の利益一辺倒な思考の中で、生産量、効率、スピードばかりが強調され、どちらかというとなおざりにされてきた人と人のつながりやぬくもり。反省とともに、今こそ人の絆の大切さを見直す必要があるのではないでしょうか。だからこそ、「つながりのプロ集団」であるNTT東日本グループにこれからもその重要性を人々に伝えながら、事業を通じたCSR活動を継続していただくことを期待しています。バーチャルなつながりだけでなく、リアルなつながりの大切さを強調することも忘れないで欲しいです。
私がNTT東日本グループに先進性を感じるのは、例えばこんな取り組みです。
これらの活動をCSR委員会、さらにワーキンググループによる横断的な組織を設置しながら、PDCAのマネジメントを実施している点は特に評価に値すると思います。
一点だけ改善の余地があると思われるのは、CSR報告書の中に、必要以上にPR的であると感じられる箇所が若干見受けられる点です。良かったことだけを報告するのでなく、問題解決の過程での対応や制度の利用回数といったありのままの実態も知りたいです。例えば顧客からよせられた約14万件の意見や要望は、どう優先順位をつけられ、経営に反映されたのでしょうか。「企業倫理ヘルプライン相談窓口」がありますが、どの程度利用されたのでしょうか。ここでの問題はどう解決されたのでしょうか。今、ステークホルダーはNTT東日本グループに対して何を求めているのか、改めて分析することでCSRを社内に取り組むロジックを構築できると思います。企業を取り巻く社会問題を分析し、優先課題を経営活動に組み込むことで、より戦略的なCSR活動が可能となるはずです。
これからのつながりは「有機的」そして「未来への希望を創出すること」であることが重要だと考えます。例えば、国内における無縁社会の問題(少子化、介護、自殺、ワーキングプア、ドメスティックバイオレンス、いじめ、児童虐待、不登校など)、あるいは地球の裏側とつながるためにどうしたらよいかなどの視点もぜひ、考え合わせて欲しいです。
また、出産、育児を行う社員を対象にすでに700人の社員が在宅勤務を実施しているからこそ、NTT東日本グループがライフワークバランスのあり方を積極的に社会に提言していくことも可能なのではないでしょうか。「身近なICT企業」を謳うNTT東日本グループだからこそ出来るチャレンジだと思うのです。
NTT東日本グループにおいては、これまでも「つなぐ」をコンセプトにCSR報告書を発行してきました。「つなぐ」ことそれ自体が私たちならではのCSR活動であり、この取り組みを大切にしていきたい、そのように考えています。また、私たちは「CSR目標」を制定し、PDCAサイクルの実践に注力しているところですが、今後、一連のサイクルを回していく過程において、積極的にステークホルダーの皆さまのニーズおよび取り巻く社会的課題を踏まえることを通じて、NTT東日本グループならではのCSR活動の一層の充実に取り組んでいく所存です。これまでも、そしてこれからも、「身近な総合ICT企業」として、「つなぐ」ことを通じて、社会の持続的発展に貢献してまいります。
2011年10月
東日本電信電話株式会社
総務人事部CSR推進室