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ニュースリリース

2016年4月26日
株式会社NTTデータ経営研究所
東日本電信電話株式会社 千葉支店

子育て世代女性の活躍のカギは「潜在層」への働きかけと勤務時間の柔軟性〜千葉県木更津市 「ICTを活用した子育て世代女性支援事業」のアンケートで判明〜

 株式会社NTTデータ経営研究所(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:佐々木 康志)は、東日本電信電話株式会社千葉支店(千葉支店:千葉市美浜区、千葉事業部長 兼 千葉支店長:鳥越 隆)とともに、千葉県木更津市(市長:渡辺 芳邦)が進める「ICTを活用した子育て世代女性支援事業」に参画しました。
 急速な少子高齢化が進む人口減少社会の中、女性活躍推進法が成立する等、女性が活躍できる環境整備や子育て世代女性の再雇用・復職支援、育児と仕事が両立できる環境整備が進められています。一方で、子育て世代女性が育児や家事の大半を担っている現状で就労するには、子育て世代女性のニーズ及び受入側の企業のニーズを把握し、双方をマッチングするための課題を把握することが必要です。
 本事業では女性アンケート、企業等アンケートを通じて双方のニーズ把握と効果的なマッチングに向けた取り組みを検討するとともにICTを活用した就労支援環境を整備しました。その結果、同市には就労意欲はあるがあきらめていた就労・キャリアアップの「潜在層」が7割を占めること、子育て世代女性が就労でもっとも重視する要素は勤務時間であることが判明しました。また、潜在層をターゲットにした施策により参加者の2割が就労等の成果を出しました。子育て世代女性の活躍に向けた鍵は「潜在層に対する訴求」と「柔軟な勤務時間・体系」、「企業ニーズを踏まえた就労活動」にあると考えられます。


1.背 景

木更津市では、行財政改革を強力に押し進めたことに加え、定住促進持ち家奨励制度や東京湾アクアライン料金引下げの社会実験等が後押しをし、人口が増加に転じ、特に20〜40代の子育て世代女性の人口が増加しています。さらに国内最大級の大型商業施設の進出により、5,000人を超える雇用の場が創出され、移住した女性の雇用の受け皿となっています。
 その一方、「木更津市子ども・子育て支援事業計画」策定のため実施されたニーズ調査報告(2014年3月)によると、未就学児を持つ女性の約50%は未就労(このうち約72%に就労意欲あり)、また、小学校低学年の児童を持つ女性の約35%は未就労(このうち約72%に就労意欲あり)と、子育て世代女性の就労意欲の高さが表れています。
 同市はこうした就労意欲に応じるべく、2015年度に「ICTを活用した子育て世代女性支援事業」を実施。本事業を、将来にわたり人口増加傾向を継続させ、転出防止並びに同市への移住・定住促進につなげる地方創生の取り組みに位置づけ、多様な職種・働き方が可能な環境を整備し仕事を通じたやりがいを高めるとともに経済的安定も確保することで、より出産・子育てしやすいまちづくりに取り組みました。

 ※全体事業の概要は別紙参照


2.実施概要

NTTデータ経営研究所は、事業の全体設計とともに子育て世代女性の意識啓発セミナーやワークショップ第1弾(以下、セミナー等)の企画・運営、子育て世代女性の就労等ニーズ調査(以下、女性アンケート)及び企業等における子育て世代女性雇用ニーズ調査(以下、企業等アンケート)を実施、NTT東日本は、子育て女性の就労等に向けたe-ラーニング環境の方向性の整備及びICTセミナー室の整備を行いました。
 本事業にあたり、同市が過去に実施した調査から、昇進・昇給や専門知識・スキルを獲得するキャリアアップを明確に志向する「顕在層」は限定的である一方、子育てしながら働くことへの不安が解消されれば就労意欲が湧き、結果として顕在層に変容しうる「潜在層」が多いのではないかという仮説(図表1)を立てました。そして、セミナー等は潜在層を対象に、意識変容が行動変容につながる「きっかけ」と「プロセス」を提供すること、女性アンケートは潜在層の規模及び子育てしながら働くために重視している要素を把握することを目的に実施しました。企業等アンケートは、受入側のニーズを把握すること、ICTセミナー室は自宅以外の学習場所としての機能を想定して整備を行いました。

図表 1 子育て世代女性のキャリア志向の分布イメージ(仮説)


3.主な成果

  1. 潜在層は全体の約7割、ワークライフバランスを重視
     女性アンケート※概要は別紙参照では、仕事と子育て等の生活のバランスについての考え方を尋ねたところ、「仕事も、子育て等仕事以外の生活もほどほどのバランスでやりたい」(40%)、「子育て等仕事以外の生活に重点を置き、仕事はできる範囲でやりたい」(29%)と全体の約7割をキャリアや就労についての「潜在層」が占めました。キャリアを志向しうる「顕在層」は22%に留まりました。

  2. セミナー等受講後1ヶ月で、潜在層の2割以上が就労先決定か就労に向けて活動予定
    セミナー等において、子育てと仕事の両立の実際について先輩ママから体験談を聞き、子どもを預ける体験をしたことで、参加者の多くが子育てしながら働くことの可能性を感じ、ブランクや末子の年齢、働ける時間帯の制約等によりあきらめていた就労について、意欲的になる等、潜在層の意識変容が見られました。
     セミナー等参加者43名に電話調査したところ、参加後1ヶ月で4名が就職決定(うち1名は正社員)。1名が就労に向けてパソコン講座を受講し、4名が子どもの入園・入学など時期を見計らい就職活動を開始する予定と、セミナー等をきっかけに意識変容・行動変容が起こり、具体的な成果を得ることができました。

  3. 子育て世代女性が就労(就労継続)にあたり重視する要素は、仕事の内容や時給・給与よりも勤務時間
     女性アンケートにおいて、子育て世代女性の就労状況を末子の年齢別にみると、子どもの年齢があがるに従い就労率は39%(末子が0歳)から80%(末子が12歳以上)まで上昇しますが、中学に入学するまでは子どもの年齢があがるに従い正社員で働く割合は減少し、非正社員で働く割合が増加します。「現在働いている(正社員)」は「0歳」は25%に対して「9歳〜11歳」は13%、「現在働いている(非正社員)」は「0歳」は14%に対して「9歳〜11歳」は56%です。
     就労や就労継続にあたり重視する要素を末子の年齢別にみると、未就学児の場合は「勤務時間」(70.2%)、「子育てに対する会社の理解」(46.7%)と続き、小学生以上になると、「勤務時間」(72.6%)が最多、次いで「時給・給与」(39.2%)、「通勤のしやすさ」(37.3%)となります。いずれも、仕事内容や家族の理解・状況より、勤務条件・就労環境を重視する傾向が見られます。
     子育て世代女性の就労意欲にこたえるには、勤務時間の柔軟性をどのように確保するかが課題となります。

  4. 企業等が採用にあたり求めている能力・スキルは子育て世代女性の認識とギャップがある
     企業等アンケート※概要は別紙参照では、74%の企業等に採用意向があると判明しました。採用にあたり求めている能力・スキルを尋ねたところ、「コミュニケーション能力」(正社員50%、非正社員48%)、「職業人意識」(正社員53%、非正社員39%)、「業務遂行能力」(正社員42%、非正社員31%)が挙げられました。一方、子育て世代女性が働くにあたり身につけたいスキル・能力は、女性アンケートによると「コミュニケーションスキル」(51%)、「パソコン操作」(35%)、「職業人意識」(30%)で、両者の認識にはギャップが見られます。
     パソコン操作やビジネスマナー等の必要性は子育て世代女性にイメージしやすいためと想定されますが、むしろ過去の就労経験等を通じた職業人意識や業務遂行能力をアピールする方が、企業ニーズに合致する可能性があります。また、企業側からも求めている能力、スキルについて子育て世代女性にあらかじめ伝えることで、マッチングの可能性が向上すると考えられます。
  5. 図表 2 企業と子育て世代女性が求めている能力・スキルの差(N=698[女性]、N=119[企業等])

  6. eラーニングは個人のネット学習だけではなく「教室」、「コワーキングスペース」のようなコミュニティー環境整備が有効である
     本事業においてICTセミナー室は、第2弾のセミナー等におけるテレワークの実践場としても活用されました。
     ICTセミナー室は、時間の制約が多い子育て世代女性へ、学習環境を提供するだけでなく、子育て世代女性同士のコミュニケーションを生み、互いの知識や情報を共有できる場となりました。
     また、子育て世代女性がeラーニングを利用する場所は、体系化された一般的な知識であれば、スマートフォンやタブレットの普及もあり、在宅や外出先の空いた時間にインターネット経由での効率的な学習が可能となります。一方で、採用側ニーズは、「資格取得」、「専門的なスキル」だけではなく、「コミュニケーション能力」や「ビジネスマナー」といったスキルの習得が重要です。孤立化や学習継続の難しさという子育て世代女性のかかえる状況を考慮すると、集合して学習や仕事、交流ができる、「教室」、「コワーキングスペース」をあわせて提供することが有効と考えられます。

4.まとめ

木更津市における事業は、ICTを活用しながら「子育て世代女性が多様なワークスタイルを実現できるまち」を実現し、就労意欲はあるものの就労をあきらめていた潜在層をターゲットにすることで、同市への移住・定住促進につなげるという地方創生の取り組みに位置付けられるものです。また、本事業を通じて、子育て世代女性の活躍に向けた鍵は「潜在層に対する訴求」と「柔軟な勤務時間・体系」、「企業ニーズを踏まえた就労活動」にあると考えられます。

 NTTデータ経営研究所は、地方自治体の地方創生の取り組みを支援するとともに、少子高齢化や女性の活躍推進等、社会の転換期における暮らしの再構築をテーマに調査・研究やコンサルティングを行い、NTT東日本は、それらを実現するためのICT整備、活用を行っています。
 「先行モデル」として、本事業で得た成果が他の自治体にも有効に活用できるよう精査しつつ、今後も子育て世代女性の活躍推進に向けた取り組みを支援していきます。



5.その他

PDF 別紙資料[211KB]

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